“ひときは”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一際91.3%
一層8.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
與力よりきなかでも、盜賊方たうぞくがた地方ぢかたとは、實入みいりがおほいといふことを、公然こうぜん祕密ひみつにしてゐるだけあつて、よそほひでもまた一際ひときは目立めだつて美々びゝしかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
その内に彼の足もとの大蛇は、おもむろに山のやうなとぐろを解くと、一際ひときは高く鎌首を挙げて、今にも猛然と彼の喉へ噛みつきさうなけはひを示し出した。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
薄紅うすべにをさして居るのが一層ひときはいやらしく見える、が、一更いつこうすましたもので、其だるい京訛きやうなまりを大声で饒舌しやべつて居る、勿論えず煙草たばこはすつて居るので。
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
思はず傍にあつたグロキシニアの真赤な花を抓みつぶした——鏡の中に一層ひときは強く光つてゐた罪悪の結晶が血のやうに痙攣つりかゞんだ五つの指の間から点々と滲み出る。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)