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一際
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ひときは
ふりがな文庫
“
一際
(
ひときは
)” の例文
片足
(
かたあし
)
は、
水
(
みづ
)
の
落口
(
おちくち
)
に
瀬
(
せ
)
を
搦
(
から
)
めて、
蘆
(
あし
)
のそよぐが
如
(
ごと
)
く、
片足
(
かたあし
)
は
鷺
(
さぎ
)
の
眠
(
ねむ
)
つたやうに
見
(
み
)
える。……
堰
(
せき
)
の
上
(
かみ
)
の
水
(
みづ
)
は
一際
(
ひときは
)
青
(
あを
)
く
澄
(
す
)
んで
靜
(
しづか
)
である。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おつぎが
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
ざら
)
しの
袷
(
あはせ
)
を
棄
(
す
)
てゝ
辨慶縞
(
べんけいじま
)
の
單衣
(
ひとへ
)
で
出
(
で
)
るやうに
成
(
な
)
つてからは
一際
(
ひときは
)
人
(
ひと
)
の
注目
(
ちうもく
)
を
惹
(
ひ
)
いた。
例
(
れい
)
の
赤
(
あか
)
い
襷
(
たすき
)
が
後
(
うしろ
)
で
交叉
(
かうさ
)
して
袖
(
そで
)
を
短
(
みじか
)
く
扱
(
こき
)
あげる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
與力
(
よりき
)
の
中
(
なか
)
でも、
盜賊方
(
たうぞくがた
)
と
地方
(
ぢかた
)
とは、
實入
(
みい
)
りが
多
(
おほ
)
いといふことを、
公然
(
こうぜん
)
の
祕密
(
ひみつ
)
にしてゐるだけあつて、
其
(
そ
)
の
裝
(
よそほ
)
ひでもまた
一際
(
ひときは
)
目立
(
めだ
)
つて
美々
(
びゝ
)
しかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その内に彼の足もとの大蛇は、
徐
(
おもむろ
)
に山のやうなとぐろを解くと、
一際
(
ひときは
)
高く鎌首を挙げて、今にも猛然と彼の喉へ噛みつきさうなけはひを示し出した。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たゞ
一際
(
ひときは
)
目立つて此窓から望まれるものと言へば、現に丑松が奉職して居る其小学校の白く塗つた
建築物
(
たてもの
)
であつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
映画館を出ると短い秋の日はもう夕方近くになり、あたりの電灯は
一際
(
ひときは
)
明く輝き渡るにつれて、
往来
(
ゆきき
)
の人の賑ひもまた一層激しくなるやうに思はれた。
男ごゝろ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
以て大坂へ申
越
(
こせ
)
ば然ば急々上京すべし尤とも
此度
(
このたび
)
は大坂表へ
繰込
(
くりこみ
)
の
節
(
せつ
)
より
一際
(
ひときは
)
目立樣にすべしと
伊賀亮
(
いがのすけ
)
は萬端に心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平次は斯うして又一つ
失策
(
しくじ
)
つてしまひました。『手柄をしない平次』の名は、お蔭で又
一際
(
ひときは
)
高くなることでせう。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
椽側から
外
(
そと
)
を
窺
(
うかゞ
)
うと、奇麗な
空
(
そら
)
が、高い
色
(
いろ
)
を
失
(
うしな
)
ひかけて、
隣
(
となり
)
の
梧桐
(
ごとう
)
の
一際
(
ひときは
)
濃
(
こ
)
く見える
上
(
うへ
)
に、
薄
(
うす
)
い
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その波頭の白いので、黒ずんだ島が
一際
(
ひときは
)
明かに見えてゐる。それから二哩ばかり
陸
(
をか
)
の方へ寄つて、その島より小さい島がある。石の多い、恐ろしい不毛の地と見える。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そして私の飾附けがぴつたりと彼等の希望に
適
(
かな
)
つたのを感じて、また私のしたことが、二人の樂しい歸省に
一際
(
ひときは
)
活々とした魅力を加へたことを感じて、私は樂しかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
六つ七つばかりの美しき小娘二人その傍に遊び戲れ、花を摘みて
環
(
たまき
)
となす。されどそれより
一際
(
ひときは
)
美きは、此家の門口に立ち迎へたる女子なり。髮をば白き
枲布
(
あさぬの
)
もて束ねたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
満枝は
先
(
ま
)
づ
主
(
あるじ
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
して、さて荒尾に向ひては
一際
(
ひときは
)
礼を重く、しかも
躬
(
みづから
)
は手の動き、目の
視
(
み
)
るまで、
専
(
もつぱ
)
ら貴婦人の如く振舞ひつつ、
笑
(
ゑ
)
むともあらず
面
(
おもて
)
を
和
(
やはら
)
げて
姑
(
しばら
)
く
辞
(
ことば
)
を
出
(
いだ
)
さず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
闌秋
(
らんしう
)
に
化性
(
けしやう
)
したる如き
桔梗
(
ききやう
)
、
蜻蛉
(
とんぼ
)
の眼球の如き
野葡萄
(
のぶだう
)
の実、これらを束ねて地に引き
据
(
す
)
ゑたる間より、
樅
(
もみ
)
の木のひよろりと
一際
(
ひときは
)
高く、色波の旋律を指揮する童子の如くに立てるが
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
その心根を想ふと一つ一つの撥音にも
一際
(
ひときは
)
懐しさを覚えます。
〔婦人手紙範例文〕
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
永き
夜
(
よ
)
の土を
一際
(
ひときは
)
黒く
圧
(
お
)
す
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
伊達
(
だて
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
を
出
(
で
)
て
間
(
ま
)
もなく
踏切
(
ふみきり
)
を
越
(
こ
)
して、しばらくして、
一二軒
(
いちにけん
)
、
村
(
むら
)
の
小家
(
こいへ
)
の
前
(
まへ
)
に、
細
(
ほそ
)
い
流
(
ながれ
)
に
一際
(
ひときは
)
茂
(
しげ
)
つて
丈
(
たけ
)
ののびたのがあつて、すつと
露
(
つゆ
)
を
上
(
あ
)
げて
薄手
(
うすで
)
ながら
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
昼でさへ寂しいこの御所は、一度日が暮れたとなりますと、
遣
(
や
)
り
水
(
みづ
)
の音が
一際
(
ひときは
)
陰に響いて、星明りに飛ぶ五位鷺も、
怪形
(
けぎやう
)
の物かと思ふ程、気味が悪いのでございますから。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
朝顔
(
あさがほ
)
の花が
日毎
(
ひごと
)
に小さくなり、
西日
(
にしび
)
が燃える
焔
(
ほのほ
)
のやうに
狭
(
せま
)
い
家中
(
いへぢゆう
)
へ
差込
(
さしこ
)
んで来る
時分
(
じぶん
)
になると鳴きしきる
蝉
(
せみ
)
の声が
一際
(
ひときは
)
耳立
(
みゝだ
)
つて
急
(
せは
)
しく
聞
(
きこ
)
える。八月もいつか
半
(
なかば
)
過ぎてしまつたのである。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
行手
(
ゆくて
)
には、こんもりとした森が見えて、
銀杏
(
いてふ
)
らしい大樹が
一際
(
ひときは
)
傑
(
すぐ
)
れて高かつた。赤く
塗
(
ぬ
)
つた
鳥居
(
とりゐ
)
も見えてゐた。二人はそれを目當てに歩いた。お光は十
間
(
けん
)
餘
(
あま
)
りも
後
(
おく
)
れて、沈み勝にしてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
わが祕事は
訐
(
あば
)
かれたり。されどベルナルドオはこれを人に語るべくもあらず。ベルナルドオとわれとの交は、この時より
一際
(
ひときは
)
密になりぬ。
旁
(
かたはら
)
に人なき時は、われ等の物語は必ず神曲の事にうつりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
婦人は予を
凝視
(
みつ
)
むるやらむ、一種の電気を
身体
(
みうち
)
に感じて
一際
(
ひときは
)
毛穴の
弥立
(
よだ
)
てる時、彼は得もいはれぬ声を
以
(
も
)
て「藪にて見しは
此人
(
このひと
)
なり、テモ暖かに寝たる事よ」と
呟
(
つぶや
)
けるが、まざ/\と
聞
(
きこ
)
ゆるにぞ
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥