一層もつと)” の例文
あゝ、死は無言である。しかし丑松の今の身に取つては、千百の言葉を聞くよりも、一層もつと深く自分の一生のことを考へさせるのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
奧樣のお出來なされた處を見たり、ぴつたりと御出のとまつた處を見たり、まだ/\一層もつとかなしい夢を見て枕紙がびつしよりに成つた事もござんす
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
奥様のお出来なされた処を見たり、ぴつたりと御出のとまつた処を見たり、まだまだ一層もつとかなしい夢を見て枕紙まくらがみがびつしよりに成つた事もござんす
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左様さうすれば、口は減るし、喧嘩けんくわの種は無くなるし、あるひは家庭うち一層もつと面白くやつて行かれるかも知れない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
奧樣おくさまのお出來できなされたところたり、ぴつたりと御出おいでのとまつたところたり、まだ/\一層もつとかなしいゆめ枕紙まくらかみがびつしよりにつたこともござんす
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
同族の受けた種々さま/″\の悲しい恥、世にある不道理な習慣、『番太』といふ乞食の階級よりも一層もつと劣等な人種のやうにいやしめられた今日迄こんにちまでの穢多の歴史を繰返した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)