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一層
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ひとしお
ふりがな文庫
“
一層
(
ひとしお
)” の例文
表通を歩いて絶えず感ずるこの不快と嫌悪の情とは
一層
(
ひとしお
)
私をしてその陰にかくれた路地の光景に興味を持たせる最大の理由になるのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
扱帯
(
しごき
)
は
一層
(
ひとしお
)
しゃらどけして、
褄
(
つま
)
もいとどしく崩れるのを、
懶
(
ものう
)
げに持て扱いつつ、
忙
(
せわ
)
しく肩で
呼吸
(
いき
)
をしたが
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そも一秒時ごとに、汝と遠ざかりまさるなりなど、われながら日頃の
雄々
(
おお
)
しき心は
失
(
う
)
せて、児を産みてよりは、世の常の婦人よりも
一層
(
ひとしお
)
女々
(
めめ
)
しうなりしぞかし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そんな古い記憶を
喚
(
よ
)
び起こすにつけても、久しく会わなかった姉の老けた様子が
一層
(
ひとしお
)
健三の眼についた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おそらくその女も他の男に見いだされて余所に引きとられてしまったのだろうと
詮
(
あきら
)
めると、その女恋しさを
一層
(
ひとしお
)
切に感じ出しながら、その儘では何か立ち去りがたいように
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
眼の下に見下すこの貧民窟のブリキ屋根は
一層
(
ひとしお
)
汚らしくこうした人間の生活には草や木が天然から受ける恵みにさえ
与
(
あずか
)
れないのかとそぞろ悲惨の色を増すのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いうことの極めて確かに、心狂える様子もないだけ、廉平は
一層
(
ひとしお
)
慰めかねる。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日は
一層
(
ひとしお
)
静かである。主人も、娘も、下女も下男も、知らぬ
間
(
ま
)
に、われを残して、立ち
退
(
の
)
いたかと思われる。立ち退いたとすればただの所へ立ち退きはせぬ。
霞
(
かすみ
)
の国か、雲の国かであろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
臥床
(
ねどこ
)
の中から手を伸して枕もとに近い窓の幕を片よせると、朝日の光が軒を
蔽
(
おお
)
う
椎
(
しい
)
の茂みにさしこみ、垣根際に立っている柿の木の、取残された柿の実を
一層
(
ひとしお
)
色濃く照している。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
骨が細く、
躯
(
からだ
)
が細く、顔はことさら細く出来上ったうえに、取る年は争われぬ雨と風と苦労とを吹きつけて、
辛
(
から
)
い浮世に、辛くも取り留めた心さえ細くなるばかりである。今日は
一層
(
ひとしお
)
顔色が悪い。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“一層”の意味
《名詞》
一層(いっそう)
一つの層。
《形容動詞1》
一 層(いっそう)
ひときわ。さらに。ますます。
《形容動詞2》
一 層(いっそ、いっそう)
むしろ。思い切って。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
層
常用漢字
小6
部首:⼫
14画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥