“おし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オシ
語句割合
22.4%
19.7%
15.1%
10.0%
8.5%
5.5%
3.8%
3.0%
2.7%
唖者1.6%
御師1.5%
鴛鴦1.1%
1.1%
0.5%
0.5%
可惜0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
圧石0.1%
押機0.1%
0.1%
0.1%
唖児0.1%
唖子0.1%
御為0.1%
0.1%
0.1%
聾唖0.1%
聾唖者0.1%
被言0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だが、いつの間にか、彼女は、おしになっていたのだ。怪物の手の平が、ギュッと鼻口をおおって、呼吸さえ思うようにはできなかった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
小芝居こしばいや、素人しろうとまじりの改良文士劇や、女役者の一座の中で衰えさせてしまうのかと、その人の芸がおしくって、静枝は思わず涙ぐんだ。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
と、母親ははおやおしえました。するとみんな一生懸命いっしょうけんめい、グワッ、グワッと真似まねをして、それから、あたりのあおおおきな見廻まわすのでした。
彼が「俗なほかくのごとし」として僧侶におしえる美徳は、すべて儒教の徳なのであるが、彼はそれを仏徒にもふさわしいと見るのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
おしの強い事ばかり云つて。ひとの気も知らないで」と梅子は誠吾の方を見た。誠吾はあかまぶたをして、ぽかんと葉巻はまきけむいてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ふゝん! それでも少しは変な気がする筈だ。……変な気がするだろう!」負けおしみを言うな、譃だろう、というように冷笑する。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「もしどうしても返さなかったら」の一念が起ろうとする時、自分はむねおしつけられるような気がするのでその一念を打消し打消し歩いた。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そこにいまは、かのおしノ大蔵にあざむかれた吐雲斎の毛利時親が、茶いろの眸を、らんといで、太い獄格子ごくごうしに、つかまっていた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(やっぱりツェラの高原だ。ほんの一時のまぎれみなどは結局けっきょくあてにならないのだ。)う私は自分で自分におしえるようにしました。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
唖者おし娘のいちが、ときどき夜なかになにか持って出てゆく、それがべ物らしいので、たぶん権八のところへ届けるのだろう、ということであった。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
明藤開山めいとうかいざん、藤原角行かくぎょう(天文十年—正保三年)が開拓して、食行身禄じきぎょうみろく(寛文十一年—享保十八年)が中興した登山口だけあって、旧御師おし町らしいと思わせる名が
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
夫婦してひとつコップから好きな酒を飲み合い、暫時しばしも離れぬので、一名鴛鴦おしの称がある。夫婦は農家の出だが、別にたがやす可き田畑もたぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
燈火ともしびてんずるころ、かの七間四面の堂にゆかたはだかの男女おし入りて、きりをたつるの地なし。も若かりしころ一度此堂押にあひしが、上へあげたる手を下へさぐる事もならざるほどにせまたちけり。
同一の原因が相撞着する結果を生じて而も論理に戻らない。すべての色と其色合とが、器械の一おしで、紙に刷られて、生と名づける靈妙の畫を成すのである。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
かの魚類といえども生命をおしむの情に至っては人間と同じ事である。もしあなたの失うた愛児を悲しむの情が真実であるならばなぜかの残忍なる網打を止さないか。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
こうして大きく成って、可惜おしいようなものだが、仕方が無い。行く行くは一軒別にでもして、彼女が独りで静かに暮せるようだったら、それが何よりですよ
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
四つか五つの時分に、焼火箸やけひばしおしつけられたあとは、今でも丸々した手の甲の肉のうえにあざのように残っている。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ううむ。成人したのう。やはり旅の風は人の子に世を歩む道をおしえてくれる」
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心細さに馬夫まごに物言ひ掛くれば、聞き分き難き聲立てゝ、指を唇に加へたり。さてはおしなるよと思ひぬ。
お登和嬢「あれは開いた鮎へ沢山な塩を当てて樽へ詰めて圧石おしを置いてちょうど沢庵漬のようにしておきます。 ...
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
鮎の腹へあふす位に詰めて手でよく抑えてそれから鮓箱すしばこへ入れますが鮓箱がなければ落し蓋のある箱へ並べて薄く切った生姜しょうがをバラバラと載せて蓋の上から圧石おし
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いくさを聚めしかども、軍をえ聚めざりしかば、仕へまつらむと欺陽いつはりて、大殿を作りて、その殿内とのぬち押機おしを作りて待つ時に、弟宇迦斯おとうかしまづまゐ向へて、をろがみてまをさく
「僕が兄兄宇迦斯、天つ神の御子の使を射返し、待ち攻めむとして軍を聚むれども、え聚めざれば、殿を作り、その内に押機おしを張りて、待ち取らむとす、かれまゐ向へて顯はしまをす」
幼年より病身びやうしんと雖も御惣領ごそうりやうなればおし家督かとくに立給しが綱教卿も同年九月九日御年廿六さいにて逝去せいきよなり然るに次男じなん頼職卿よりなりきやう早世さうせいなるにより紀伊家はほとん世繼よつぎたえたるが如し三なん信房卿同家へ養子やうしならせられてなけれ共外に御血筋ちすぢなき故まづ左京太夫頼純よりすみの四男宗通むなみちの次男を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見定みさだめ出帆しゆつぱん然るべしといふ吉兵衞はじめ皆々今日のごとき晴天せいてんによも雨下あまおろしなどのなんは有べからずと思へば杢右衞門又々水差みづさしに向ひ成程足下そくかの云るゝ處も一理なきにも有ねどあまよき天氣てんきなればよも難風なんぷうなど有まじく思ふなりおし出帆しゆつぱんすべく存ずると云に水差みづさしも然ばとて承知し兵庫のおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこまでがほんとの話で、突然いきなり、まつはつらいとみなおしゃんすけれどもなア——とケロケロとうたいだすのだった。そして小首をかしげて
それと一緒に口数が少くなって、ちょっと見ると唖児おしではないかと思われるほど、静かな児になった。そうして時たま口を利く時には、その大きな眼を一パイに見開いて、マジマジと相手の顔を見る。
人の顔 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
君方小刀細工やらずに、マトモに出ると、此後私ア唖子おしになって君方の名誉を保って上げるが、君方ア判官や検事を欺こうと謀っていろ/\ワルサをやるからワシは唖子になる事は出来ません。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
すると母は真面目まじめな顔をして、「二郎、御前がいなくなると、うちさむしい上にも淋しくなるが、早く好い御嫁さんでも貰って別になる工面くめん御為おしよ」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
王実は牛がいたく死を懼れ羊は殺さるるも鳴かぬ故、小の虫を殺して大の虫をかせてふ意でかく言ったのだが、国人は皆王が高価な牛をおしんで、廉価の羊と易えよと言ったと噂した。
その女はおしのように口をきかぬとS—は言った。もっとも話をする気にはならないよと、また言った。いったい、やはり瘂の、何人位の客をその女は持っているのだろうと、その時喬は思った。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
聾唖おしの木魚の阿呆陀羅経だよ。さてもしかるにスカラカ、チャカポコ。そもやホントウ民衆国は。表向きでは世界の強国。世界一ならお国の自慢じゃ。自由正義の本場ときまった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何かの宣告のような……地獄のおとづれのような……この世のおわりのような……自分の心臓に直接に触れるようなそのノックの音を睨みつめ聾唖者おしのように藻掻もがおののいた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
復活祭前イースターまへ新調胴衣したておろしたとうて、ある裁縫師したてやつかひ、あたらしいくつふるひもけをったとうて、誰某たれやらとも爭論いがうた。それでゐておれ鬪爭けんくわをすまいぞと異見いけんめいたことを被言おしゃるのか?
しかし忠兵衛は大家たいけ若檀那わかだんなあがりで、金をなげうつことにこそ長じていたが、おしんでこれを使うことを解せなかった。工事いまだなかばならざるに、費す所は既に百数十両に及んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)