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訓
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おし
ふりがな文庫
“
訓
(
おし
)” の例文
このようなことはあながち彼の創意でもなく、敵前渡河のときは、かく
操
(
あやつ
)
るものと
訓
(
おし
)
えている前人の貴い経験に基づくものであった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が「俗なほかくのごとし」として僧侶に
訓
(
おし
)
える美徳は、すべて儒教の徳なのであるが、彼はそれを仏徒にもふさわしいと見るのである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
東常縁は尭孝から右の『井蛙抄』の
訓
(
おし
)
えをそのまま受け売りされて随喜しているのであって、『東野州聞書』につぎのように記している
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
あとでそのことを
良人
(
おっと
)
に語ったら、その少しまえに、「武士はがまん強くなければならぬ」と
訓
(
おし
)
えたということがわかった。
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
訓
(
おし
)
えてくださった「蠢くもの」は私の醒めがたい悪夢から
這
(
は
)
いださしてくださいました——私がここから釈放された時何物か意義ある筆の力を
死児を産む
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
▼ もっと見る
マヌウの法典のほとんどあらゆるところで、あらゆる種類の肉欲満足は力強く排斥されており、そして貞節は宗教的義務として
訓
(
おし
)
えられている。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
私たちが日常向い合っている物事について、私たちが考えたり、行為したりする態度を自由にしなさいと
訓
(
おし
)
えた言葉です。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
蛇は犬の奸計とは気付かず爾来頭が痛むごとに律義に犬の
訓
(
おし
)
え通り官道へ横たわり行く。つまり頭が打ち砕かれたら死んでしまうから療治も
入
(
い
)
らず。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それでも、老人たちの残した
訓
(
おし
)
えは固く守られていると見えて、今でも、この島の最後の者たるべき女の児は、
喇嘛
(
ラマ
)
の
活仏
(
いきぼとけ
)
のように大事にされている。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「過去を探り現在を識り、未来を察して世を渡らば、人間間違いはないものじゃ」こう正成は
訓
(
おし
)
えるように云った。
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
秀忠がその淡泊に驚いて、あゝ漢の張良とはこの人のことよと嘆声をもらして群臣に
訓
(
おし
)
へたといふが、それが徳川の如水に与へた奇妙な恩賞であつた。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼らの父祖が
訓
(
おし
)
えたように、相果てるまでだ。すると、残った彼らの一団に傷はつかないのだ。従って、打開すべき新たな方法も浮んで来るであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
手前に
訓
(
おし
)
えてやらあ、今度お上さんが出かけるだったらな、どうもお楽しみでございますねって、そう言って見や、鼻薬の十銭や二十銭黙ってくれるから
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
浅草ではどんな風にわれわれ二人が
訓
(
おし
)
えられたか、それを今語ってみたい。藤村は例の玉乗り興行場の前に立ちどまって、ゆっくりと煙草をふかしている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
父母たるものは、その
児
(
こ
)
の
幼穉
(
ようち
)
にして感得の力もっとも
盛
(
さかん
)
なるときにあたり、これを
訓
(
おし
)
ゆる、
造次
(
ぞうじ
)
も必ずここにおいてし、
顛沛
(
てんぱい
)
も必ずここにおいてするを
得
(
う
)
。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
その辺の心掛けは、
夙
(
とう
)
から
訓
(
おし
)
えて置いたつもりゆえ、格別、案じもせねど、また、何かと、このようなじじいでも、頼りになるときがあらばたずねて来るがよい
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
銀
(
しろがね
)
も黄金も玉も何かせんです! ⦅金を持つより、善き友を持て⦆と或る賢人も
訓
(
おし
)
えていますからね。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
しかしこの柔和なれと
訓
(
おし
)
うるは
独
(
ひと
)
り
耶蘇教
(
やそきょう
)
に限ったことでない。道徳とさえいえば、マホメットの
回々教
(
フイフイきょう
)
を除き、たいてい
柔和
(
にゅうわ
)
の徳を主として教えざるものはない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
も
訓
(
おし
)
えざるなきものなるがゆえに、また、そは永く家庭にとどまりて次々に伝わるものなるがゆえに
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
昔、仏教は
訓
(
おし
)
えた、次の世界に極楽と地獄のあることを、それを思い合わせて見ると、この地獄極楽を訓えた者も或は僕の如くこの幻の世界の彷徨者であったかも知れぬ
息を止める男
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
姫君はまったく無邪気で、どう戒めても、
訓
(
おし
)
えてもわかりそうにないのを見て大臣は泣き出した。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
折から「夕べの祈りをせよ」と
訓
(
おし
)
ふるようなお寺の鐘が、静かに静かに聞えてまゐりました。
女王
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
ただ単に山に入ってはいけないという
訓
(
おし
)
えだけではすまず、どうしていけないかと問う者のあった時に、ちっとでも具体的に印象づけようとする用意であったかと思われる。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それにもかかわらずイエス様は一度召された十二人を、イスカリオテのユダのように自分からそむき去った者は別として、終わりまで忍びて見すてず、愛して
訓
(
おし
)
え給いました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
そしてその
御物越
(
おんものご
)
しは
至
(
いた
)
ってしとやか、
私
(
わたくし
)
どもがどんな
無躾
(
ぶしつけ
)
な
事柄
(
ことがら
)
を
申上
(
もうしあ
)
げましても、
決
(
けっ
)
してイヤな
色
(
いろ
)
一
(
ひと
)
つお
見
(
み
)
せにならず、どこまでも
親切
(
しんせつ
)
に、いろいろと
訓
(
おし
)
えてくださいます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
おそらく
謙
(
へりくだ
)
る心のみが、彼らの仕事を清め深めるでありましょう。特に工藝の領域では、他力の恩沢を想いみるべきであります。絵土瓶は、そう吾々に
訓
(
おし
)
えてはいないでしょうか。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
間もなく都の豪家の
傅日英
(
ふじつえい
)
という者が、子弟を
訓
(
おし
)
えてくれと言って頼みに来た。
富貴発跡司志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
人間は身体を責めて働かなあかんという他吉の
訓
(
おし
)
えを忘れたわけではなかったが、どれだけ口を酸っぱく薦めても、いまだに隠居しようとせず、よちよち俥をひいて走っている他吉を見ると
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
またかの家庭の
訓
(
おし
)
えは母親にありというなるに。そが母は元よりの
田舎
(
いなか
)
そだちにて。一と通りの読み書きさえもおぼつかなきゆえに。浜子はいとど見落しつつ。教育なき女子は仕方なしなどと。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
余は幼きころより
厳
(
きび
)
しき庭の
訓
(
おし
)
えを受けし
甲斐
(
かい
)
に、父をば早く
喪
(
うしな
)
いつれど、学問の
荒
(
すさ
)
み衰うることなく、
旧藩
(
きゅうはん
)
の学館にありし日も、東京に出でて
予備黌
(
よびこう
)
に通いしときも、大学法学部に
入
(
い
)
りし後も
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
相手の身になって一応考えて見ることによって、つまらぬ心の焦燥を霧消させ得た経験はその
後
(
ご
)
限りなくある。私が
理研
(
りけん
)
の研究室を辞して今の所へ赴任した時に、先生から
戴
(
いただ
)
いた
訓
(
おし
)
えはこうであった。
指導者としての寺田先生
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかし保胤は
夙
(
はや
)
くより人間の
紛紜
(
ふんうん
)
にのみ心は傾かないで、当時の風とは言え、出世間の清寂の思に
胷
(
むね
)
が
染
(
そ
)
みていたので、親王の御為に講ずべきことは講じ、
訓
(
おし
)
えまいらすべきことは訓えまいらせても
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
という表現も、同じことを
訓
(
おし
)
えている。
駄パンその他
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
しかし、佐渡がよく見よと
訓
(
おし
)
えたのは、そういう
技
(
わざ
)
の末のことではあるまい。人と天地との微妙な
一瞬
(
ひととき
)
の作用を見よといったのだろう。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さらぬ会席ならば高吟もすべし」と
訓
(
おし
)
えているのを見ると、ここにもとめられている新しい抒情が、もとより風雅であることを知るのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
僧徒にこの板が風に随うて動きやまぬごとく少しも
懈
(
おこた
)
らぬよう
訓
(
おし
)
えたとジュカンシュは言ったが、グラメー説には、塔頂に十字架に添えて鶏の形を設くるは
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
あなたも伯母さまのお
訓
(
おし
)
えをよく守って、お祖父さまに負けないすぐれた人にならなければいけません。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とは、
真
(
しん
)
の男子の態度であろう。男もこの点まで
思慮
(
しりょ
)
が進むと、先きに述べたる宗教の
訓
(
おし
)
うる趣旨に
叶
(
かの
)
うてきて、
深沈
(
しんちん
)
重厚
(
じゅうこう
)
の
資
(
し
)
と
磊落
(
らいらく
)
雄豪
(
ゆうごう
)
の
質
(
しつ
)
との
撞着
(
どうちゃく
)
が消えてくる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
と娘に
訓
(
おし
)
えた。賢い人に聞いて見ても、占いをさせてみても、二条の院へ渡すほうに姫君の幸運があるとばかり言われて、明石は子を放すまいと固執する力が弱って行った。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
家中に於ける責任ある位置が、響きを立てて
廻
(
めぐ
)
る目まぐるしい時世のうちに凝固した。いかなる場合にも善処すること——と、そういったのは、早世した父の
訓
(
おし
)
えであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
すると
玉依姫様
(
たまよりひめさま
)
はほほとお
笑
(
わら
)
い
遊
(
あそ
)
ばしながら、
斯
(
こ
)
う
訓
(
おし
)
えてくださいました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
雪之丞が、孤軒老師の
訓
(
おし
)
えのままに投げた、恐ろしい暗示によって動いた、長い間、悪謀をともにして来た、言わば親友の広海屋の
詐略
(
さりゃく
)
のために、ふたたび
起
(
た
)
つあたわぬ打撃をうけてしまった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その所長は研究員の人に「君たちは百僚有司のその有司の一人じゃないか、こういう場合には、そんな馬鹿な話があるはずがないと言下に言い切れるようにならなくてはいけない」と
訓
(
おし
)
えられたそうである。
流言蜚語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
用いず
損
(
そこ
)
なわずに戦わんとは、余にも
解
(
げ
)
せぬことである。——左様な奇略があるなれば、信長、膝を屈しても、そちに
訓
(
おし
)
えを乞うであろう
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず正徹は
東常縁
(
とうのつねより
)
に答えて、常光院尭孝はつねに『草庵集』を見るようにいう由だが、頓阿時分に心をかけるのは余りだと
訓
(
おし
)
える(『
東野州聞書
(
とうやしゅうききがき
)
』)
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
いわんや人間万事思うままに行くものかという
訓
(
おし
)
えの神詠とかで、今も紀州の人は不運な目に逢うごとにこれを引いて諦めるが、熊野猿ちゅう
諺
(
ことわざ
)
通りよほどまずい神詠だ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と
訓
(
おし
)
えられたが、フリードリヒ帝の強さは相応に
解
(
わか
)
った人でなければ
図
(
はか
)
り得ぬことである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
と
訓
(
おし
)
えておいでになるのを聞いていて、紫夫人の偉さが明石にうなずかれた。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
長橋のおばあさまに、それからのちにもお
訓
(
おし
)
えをうけたことが多い。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかも家康は、乱世の武門として、これから行くべき弓矢の大義を
訓
(
おし
)
えられた。くれぐれも老婆の死後はねんごろにいたしてやれ
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“訓”の意味
《名詞》
漢字を和語で読んだもの。訓読み。
(出典:Wiktionary)
訓
常用漢字
小4
部首:⾔
10画
“訓”を含む語句
教訓
訓言
訓導
訓戒
庭訓
訓誡
訓練
訓示
和訓栞
訓誨
垂訓
戯場訓蒙図彙
訓詁
十訓抄
乙訓
庭訓往来
女庭訓
和訓
古訓
訓諭
...