古川緑波
1903.08.13 〜 1961.01.16
著者としての作品一覧
ああ東京は食い倒れ(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
戦争に負けてから、もう十年になる。戦前と戦後を比較してみると、世相色々と変化の跡があるが、食いものについて考えてみても、随分変った。 ちょいと気がつかないようなことで、よく見ると変 …
読書目安時間:約5分
戦争に負けてから、もう十年になる。戦前と戦後を比較してみると、世相色々と変化の跡があるが、食いものについて考えてみても、随分変った。 ちょいと気がつかないようなことで、よく見ると変 …
浅草を食べる(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
十二階があったころの浅草、といえば、震災前のこと。中学生だった僕は、活動写真を見るために毎週必ず、六区の常設館へ通ったものだ。はじめて、来々軒のチャーシュウ・ワンタンメンというのを …
読書目安時間:約4分
十二階があったころの浅草、といえば、震災前のこと。中学生だった僕は、活動写真を見るために毎週必ず、六区の常設館へ通ったものだ。はじめて、来々軒のチャーシュウ・ワンタンメンというのを …
色町洋食(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
大久保恒次さんの『うまいもん巡礼』の中に、「古川緑波さんの『色町洋食』という概念は、実に的確そのものズバリで」云々と書いてある。 ところが、僕は、色町洋食なんて、うまい言葉は使った …
読書目安時間:約5分
大久保恒次さんの『うまいもん巡礼』の中に、「古川緑波さんの『色町洋食』という概念は、実に的確そのものズバリで」云々と書いてある。 ところが、僕は、色町洋食なんて、うまい言葉は使った …
うどんのお化け(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
目下、僕は毎日、R撮影所へ通って、仕事をしている。そして、毎昼、うどんを食っている。 此の撮影所は、かなり辺鄙な土地にあるので、食いもの屋も、碌に無い。だから、一番安心して食えるの …
読書目安時間:約5分
目下、僕は毎日、R撮影所へ通って、仕事をしている。そして、毎昼、うどんを食っている。 此の撮影所は、かなり辺鄙な土地にあるので、食いもの屋も、碌に無い。だから、一番安心して食えるの …
想い出(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
よき日、よき頃のはなしである。 フランスの汽船会社M・Mの船が、神戸の港へ入ると、その船へ昼食を食べに行くことが出来たものだった。 はじめての時は、フェリックス・ルセルという船だっ …
読書目安時間:約5分
よき日、よき頃のはなしである。 フランスの汽船会社M・Mの船が、神戸の港へ入ると、その船へ昼食を食べに行くことが出来たものだった。 はじめての時は、フェリックス・ルセルという船だっ …
甘話休題(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
もう僕の食談も、二十何回と続けたのに、ちっとも甘いものの話をしないものだから、菓子については話が無いのか、と訊いて来た人がある。僕は、酒飲みだから、甘いものの方は、まるでイケないん …
読書目安時間:約15分
もう僕の食談も、二十何回と続けたのに、ちっとも甘いものの話をしないものだから、菓子については話が無いのか、と訊いて来た人がある。僕は、酒飲みだから、甘いものの方は、まるでイケないん …
牛鍋からすき焼へ(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
「おうなにしますか、それとも、ギュウがいいかい?」 と、僕の祖母は、鰻を「おうな」牛肉を「ギュウ」と言った。 無論、明治の話。然し、それも末期だ。だから、その頃は、牛鍋は、ギュウナ …
読書目安時間:約11分
「おうなにしますか、それとも、ギュウがいいかい?」 と、僕の祖母は、鰻を「おうな」牛肉を「ギュウ」と言った。 無論、明治の話。然し、それも末期だ。だから、その頃は、牛鍋は、ギュウナ …
下司味礼賛(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
宇野浩二著『芥川龍之介』の中に、芥川龍之介氏が、著者に向って言った言葉、 ……君われわれ都会人は、ふだん一流の料理屋なんかに行かないよ、菊池や久米なんどは一流の料理屋にあがるのが、 …
読書目安時間:約5分
宇野浩二著『芥川龍之介』の中に、芥川龍之介氏が、著者に向って言った言葉、 ……君われわれ都会人は、ふだん一流の料理屋なんかに行かないよ、菊池や久米なんどは一流の料理屋にあがるのが、 …
神戸(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
久しぶりで、神戸の町を歩いた。 此の六月半から七月にかけて、宝塚映画に出演したので、二十日以上も、宝塚の宿に滞在した。 撮影の無い日は、神戸へ、何回か行った。三の宮から、元町をブラ …
読書目安時間:約15分
久しぶりで、神戸の町を歩いた。 此の六月半から七月にかけて、宝塚映画に出演したので、二十日以上も、宝塚の宿に滞在した。 撮影の無い日は、神戸へ、何回か行った。三の宮から、元町をブラ …
氷屋ぞめき(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
近頃では、アイスクリームなんてものは、年がら年中、どこででも売っている。そば屋にさえも、アイスクリームが、あるという。 私たちの子供のころは、アイスクリームなんてものは、むろん夏に …
読書目安時間:約2分
近頃では、アイスクリームなんてものは、年がら年中、どこででも売っている。そば屋にさえも、アイスクリームが、あるという。 私たちの子供のころは、アイスクリームなんてものは、むろん夏に …
このたび大阪(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
五月上旬から、六月へかけて、梅田コマスタジアムで「道修町」出演のため、大阪に滞在すること、約一ヶ月。 大阪での僕のたのしみの一つは、おどり(生海老)を食うことである。酔後、冷たいす …
読書目安時間:約6分
五月上旬から、六月へかけて、梅田コマスタジアムで「道修町」出演のため、大阪に滞在すること、約一ヶ月。 大阪での僕のたのしみの一つは、おどり(生海老)を食うことである。酔後、冷たいす …
清涼飲料(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
九月の日劇の喜劇人まつり「アチャラカ誕生」の中に、大正時代の喜歌劇(当時既にオペレットと称していた)「カフエーの夜」を一幕挿入することになって、その舞台面の飾り付けの打ち合せをした …
読書目安時間:約5分
九月の日劇の喜劇人まつり「アチャラカ誕生」の中に、大正時代の喜歌劇(当時既にオペレットと称していた)「カフエーの夜」を一幕挿入することになって、その舞台面の飾り付けの打ち合せをした …
駄パンその他(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
武者小路先生の近著『花は満開』の中に、「孫達」という短篇がある。先生のお孫さんのことを書かれた、美しい、たのしい文章である。 その中に、四人のお孫さん達が、食べものの好き嫌いがある …
読書目安時間:約6分
武者小路先生の近著『花は満開』の中に、「孫達」という短篇がある。先生のお孫さんのことを書かれた、美しい、たのしい文章である。 その中に、四人のお孫さん達が、食べものの好き嫌いがある …
食べたり君よ(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
亡くなられた菊池寛先生に、初めてお目にかかったのは、僕が大学一年生の時だから、もう二十何年前のことである。 当時、文藝春秋社は、雑司ヶ谷金山にあり、僕はそこで、先生の下に働くことに …
読書目安時間:約5分
亡くなられた菊池寛先生に、初めてお目にかかったのは、僕が大学一年生の時だから、もう二十何年前のことである。 当時、文藝春秋社は、雑司ヶ谷金山にあり、僕はそこで、先生の下に働くことに …
売薬ファン(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
先に言つて置く。僕は、賣藥ファンといふ奴、それも、ミーちやんハーちやん的のファンで、理窟も何もない、たゞ、いろんな藥を服みたくつてしようがない性分である。 たとへば、錠劑の、眞つ赤 …
読書目安時間:約4分
先に言つて置く。僕は、賣藥ファンといふ奴、それも、ミーちやんハーちやん的のファンで、理窟も何もない、たゞ、いろんな藥を服みたくつてしようがない性分である。 たとへば、錠劑の、眞つ赤 …
八の字づくし(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
名古屋ってとこ、戦前から戦争中にかけて、僕は好きじゃなかった。名古屋へ芝居で来る度に、ああまた名古屋か、と、くさったものだ。というのは、食いものが、何うにも面白くなかった。 一口に …
読書目安時間:約3分
名古屋ってとこ、戦前から戦争中にかけて、僕は好きじゃなかった。名古屋へ芝居で来る度に、ああまた名古屋か、と、くさったものだ。というのは、食いものが、何うにも面白くなかった。 一口に …
富士屋ホテル(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
箱根宮の下の富士屋ホテルは、われら食子にとって、忘れられない美味の国だった。 戦前戦中、僕は、富士屋ホテルで、幾度か夏を過し、冬を送ったものだった。それが、終戦後、接収されて、日本 …
読書目安時間:約17分
箱根宮の下の富士屋ホテルは、われら食子にとって、忘れられない美味の国だった。 戦前戦中、僕は、富士屋ホテルで、幾度か夏を過し、冬を送ったものだった。それが、終戦後、接収されて、日本 …
古川ロッパ昭和日記:01 昭和九年(新字旧仮名)
読書目安時間:約3時間12分
昭和八年度は、活躍開始の記憶すべき年だった。一月七日から公園劇場で喜劇爆笑隊公演に特別出演し、之は一ヶ月にてポシャり、二月は一日より大阪吉本興行部の手で、京都新京極の中座といふ万才 …
読書目安時間:約3時間12分
昭和八年度は、活躍開始の記憶すべき年だった。一月七日から公園劇場で喜劇爆笑隊公演に特別出演し、之は一ヶ月にてポシャり、二月は一日より大阪吉本興行部の手で、京都新京極の中座といふ万才 …
古川ロッパ昭和日記:02 昭和十一年(新字旧仮名)
読書目安時間:約3時間32分
昭和十年は、浅草から丸の内へといふ、僕にとっての一大転機の年として記念すべき年であった。 昭和七年一月宝塚中劇場のスタート以来、七年一杯をわれらがレヴィウ「悲しきジンタ」の大阪松竹 …
読書目安時間:約3時間32分
昭和十年は、浅草から丸の内へといふ、僕にとっての一大転機の年として記念すべき年であった。 昭和七年一月宝塚中劇場のスタート以来、七年一杯をわれらがレヴィウ「悲しきジンタ」の大阪松竹 …
古川ロッパ昭和日記:03 昭和十二年(新字旧仮名)
読書目安時間:約3時間26分
雨かと思はれた天気も先づ元旦の薄陽ざし、十一時起き。入浴して、さっぱりしたとこで、雑煮、屠蘇。二時から舞台稽古、「歌ふ弥次喜多」の道具調べと久富に動きをつける。五時半開演、楽屋で弁 …
読書目安時間:約3時間26分
雨かと思はれた天気も先づ元旦の薄陽ざし、十一時起き。入浴して、さっぱりしたとこで、雑煮、屠蘇。二時から舞台稽古、「歌ふ弥次喜多」の道具調べと久富に動きをつける。五時半開演、楽屋で弁 …
古川ロッパ昭和日記:04 昭和十三年(新字旧仮名)
読書目安時間:約3時間26分
有楽座初日。 十時に起きる。雨の正月だ。入浴し、羽織袴でお屠蘇をのみ、雑煮を少々。親子夫婦揃っての正月は今年が始めて。一時半、母上・道子とも/″\雑司ヶ谷へ墓参。雑司ヶ谷祖母上のと …
読書目安時間:約3時間26分
有楽座初日。 十時に起きる。雨の正月だ。入浴し、羽織袴でお屠蘇をのみ、雑煮を少々。親子夫婦揃っての正月は今年が始めて。一時半、母上・道子とも/″\雑司ヶ谷へ墓参。雑司ヶ谷祖母上のと …
古川ロッパ昭和日記:05 昭和十四年(新字旧仮名)
読書目安時間:約3時間25分
起床十二時。屠蘇・雑煮。母上・道子同道出かける。中野実出征留守宅へ「新婚二人三脚」の脚本料を届けに行く。それから雑司ヶ谷墓地に参り、三時に東宝グリルへ行く。一座の新年祝賀会である。 …
読書目安時間:約3時間25分
起床十二時。屠蘇・雑煮。母上・道子同道出かける。中野実出征留守宅へ「新婚二人三脚」の脚本料を届けに行く。それから雑司ヶ谷墓地に参り、三時に東宝グリルへ行く。一座の新年祝賀会である。 …
古川ロッパ昭和日記:06 昭和十五年(新字旧仮名)
読書目安時間:約4時間31分
世の中が中々むづかしいのは、 悧巧者が居過ぎるからなら有がたいが、 実は馬鹿が多く居過ぎるためだからやりきれない。 八月二十日ふと思ふ。 有楽座初日。 明治神宮から靖国神社へ廻り、 …
読書目安時間:約4時間31分
世の中が中々むづかしいのは、 悧巧者が居過ぎるからなら有がたいが、 実は馬鹿が多く居過ぎるためだからやりきれない。 八月二十日ふと思ふ。 有楽座初日。 明治神宮から靖国神社へ廻り、 …
古川ロッパ昭和日記:24 昭和三十三年(新字旧仮名)
読書目安時間:約2時間15分
九時すぎに起され、入浴。PHもなき、静けき正月なり。金がないだけが、哀れだが。朝食、母上も離れから来られる。屠蘇と雑煮、何が正月だい!と叫びたき心地。年賀はがき、何百枚か着く。出さ …
読書目安時間:約2時間15分
九時すぎに起され、入浴。PHもなき、静けき正月なり。金がないだけが、哀れだが。朝食、母上も離れから来られる。屠蘇と雑煮、何が正月だい!と叫びたき心地。年賀はがき、何百枚か着く。出さ …
“古川緑波”と年代が近い著者
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
今年で没後X百年
ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
アナトール・フランス(没後100年)
原勝郎(没後100年)
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(没後100年)
郡虎彦(没後100年)
フランツ・カフカ(没後100年)