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内俯
この心を知らずや、と
情極りて彼の
悶え
慨くが手に取る如き隣には、貫一が
内俯に
頭を
擦付けて、
巻莨の消えしを
擎げたるままに
横はれるなり。
こは何事と
駭ける貫一は、身を
避る
暇もあらず三つ四つ撃れしが、
遂に取つて抑へて両手を働かせじと為れば、
内俯に引据ゑられたる満枝は、物をも言はで彼の
股の
辺に
咬付いたり。
可憐き束髪の
頸元深く、
黄蘖染の
半衿に
紋御召の
二枚袷を重ねたる
衣紋の
綾先づ謂はんやう無く、
肩状優う
内俯したる
脊に
金茶地の
東綴の帯高く、
勝色裏の
敷乱れつつ