可憐いたいけ)” の例文
兄は、妹のそのようすに気がつくと、「このような、可憐いたいけな少女の心にも何かなやみと云ったようなものがあり得るものだろうか。」
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
南岸みなみぎしは崖になつてゐるが、北の岸は低く河原になつて、楊柳やなぎが密生してゐる。水近いこいしの間には可憐いたいけ撫子なでしこが処々に咲いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
南無冥加なむみょうがあらせたまへ! 多勢おほぜいそだてた嬰兒あかさんうちいっ可憐いたいけであったはおまへぢゃ。そのまへ御婚禮ごこんれいることが出來でくれば、わし本望ほんまうでござります。
おお指折り數へよ、この可憐いたいけな生のしるし
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
可憐いたいけな小い体を、提灯の火が薄く照らした。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)