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彫
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ほり
ふりがな文庫
“
彫
(
ほり
)” の例文
「ですが……」と、娘もその時は、だいぶ度胸がすわって来たものでしょう、押し返して、
彫
(
ほり
)
のふかい面だちを
真面
(
まとも
)
に白くふり向けて
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
好
(
い
)
いあんばいに、天人の彫りは無事で、
焦
(
こ
)
げた
箇所
(
ところ
)
は
波形
(
なみがた
)
だけですが、その波形は
彫
(
ほり
)
でなくって、みんな、薄い板が組み合せてあるのです。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
金襴も
軸
(
ぢく
)
の
彫
(
ほり
)
も
和物
(
わもの
)
らしく、切り離した刄の跡は、ひどく亂暴で
斜
(
なゝめ
)
になつてをりますが、刄物は
鋏
(
はさみ
)
ではなく、鋭い切出しか匕首などの樣子です。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やまいを得るまえに最近仕上げた陣太刀づくりの大小を手にとり赤銅にむら雲の
彫
(
ほり
)
をした刀の柄をはずして、その
中心
(
なかご
)
に後半の
火密
(
かみつ
)
を巻きこめ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と
四辺
(
あたり
)
を見れば腹の立つは、伊之助と若草の比翼紋の附いた物ばかり、湯呑から烟管の
彫
(
ほり
)
から烟草入から、
傍
(
そば
)
にころげて有る
塗枕
(
ぬりまくら
)
の
金蒔絵
(
きんまきえ
)
の比翼紋を見て
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
車を急に止めさせて降りた。軒の低い古家で、右の片隅に貧しい飾り棚を設け、
硝子
(
ガラス
)
ごしに様々な
彫
(
ほり
)
のある
金具
(
かなぐ
)
が並べてある。どれも
埃
(
ほこり
)
でぼんやりしている。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
蒔絵
(
まきえ
)
の金銀のくもりを
拭清
(
ふききよ
)
むるには如何にせばよきや。
堆朱
(
ついしゅ
)
の盆
香合
(
こうごう
)
などその
彫
(
ほり
)
の間の塵を取るには如何にすべきや。盆栽の梅は
土用
(
どよう
)
の
中
(
うち
)
に
肥料
(
こやし
)
やらねば来春花多からず。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
(下に図するこれなり)
彫
(
きざみ
)
たる人の
頭
(
かしら
)
を左りに
顧
(
むか
)
せ、その
下
(
しも
)
に五字を
彫
(
ほり
)
つけしは、是より左り
蛾眉山下橋
(
がびさんかのはし
)
なりと人にをしゆる
標準
(
みちしるべ
)
なりとかたられき。是にて
義理
(
ぎり
)
渙然
(
くわんぜん
)
たり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
彫
(
ほり
)
と云い、
地金
(
じがね
)
と云い、見事な物さ。銀の煙管さえ持たぬこちとらには見るも眼の毒……」
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その家の重たい、
彫
(
ほり
)
のある扉のそばには、「法律顧問官ライネル」という名が読まれた。
道化者
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
但
(
たゞ
)
し
拵
(
こしら
)
へ
付
(
つき
)
貳尺四寸
餘
(
よ
)
無名物
(
むめいもの
)
縁
(
ふち
)
赤銅
(
しやくどう
)
鶴
(
つる
)
の
彫
(
ほり
)
頭
(
かしら
)
角
(
つの
)
目貫
龍
(
りよう
)
の
純金
(
むく
)
丸
鍔
(
つば
)
瓢箪
(
へうたん
)
の
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
鞘
(
さや
)
黒塗
(
くろぬり
)
鐺
(
こじり
)
銀
(
ぎん
)
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そこに
方丈
(
ほうじょう
)
の壇をむすび、何かの符を書いてそれを
焼
(
や
)
くと、たちまちに符の使い五、六人、いずれも身の
丈
(
た
)
け一丈余にして、
黄巾
(
こうきん
)
をいただき、
金甲
(
きんこう
)
を着け、
彫
(
ほり
)
のある
戈
(
ほこ
)
をたずさえ
世界怪談名作集:18 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
瞿佑
(著)
さりとては
怪
(
け
)
しからず
麗
(
うるわ
)
しき
幻
(
まぼろし
)
の花輪の中に
愛嬌
(
あいきょう
)
を
湛
(
たた
)
えたるお辰、気高き
計
(
ばか
)
りか後光
朦朧
(
もうろう
)
とさして
白衣
(
びゃくえ
)
の観音、古人にも
是
(
これ
)
程の
彫
(
ほり
)
なしと
好
(
すき
)
な道に
慌惚
(
うっとり
)
となる時、物の
響
(
ひびき
)
は
冴
(
さ
)
ゆる冬の夜
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
為高麗国在陣之間敵味方
閧死
(
こうし
)
軍兵皆令入仏道也といふ文字が
彫
(
ほり
)
つけてあつた。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
其
(
そ
)
の
彫
(
ほり
)
の
巧
(
たくみ
)
なること、
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
の
得
(
え
)
て
造
(
つく
)
るべきものにあらず。いざや、と
此
(
これ
)
を
拔
(
ぬ
)
かんとするに、
弛
(
ゆる
)
く
柔
(
やはら
)
かに、
細
(
ほそ
)
く
白
(
しろ
)
くして、
然
(
しか
)
も
拔
(
ぬ
)
くこと
能
(
あた
)
はず。
頭領陽知春
(
とうりやうやうちしゆん
)
制
(
せい
)
して
曰
(
いは
)
く、わい
等
(
ら
)
、
其
(
それ
)
は
止
(
よ
)
せと。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
伸びあがって光枝が見ていると、その額はずいぶん大した
彫物細工
(
ほりものざいく
)
であった。額の奥から、一番前に出ている陽明門の
廂
(
ひさし
)
まで、
奥行
(
おくゆき
)
が二寸あまりもあって、極めて繊細な
彫
(
ほり
)
がなされてあった。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
角ばってはいるが、北国人らしいおもながの、
彫
(
ほり
)
のふかい顔には、堅い自信と張りきった力感があふれている。それがいま、こみあげてくる微笑のために、誇りとよろこびとで輝くようにみえた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
友「左様で、お金物はこれは
目貫物
(
めぬきもの
)
で飛んだ面白いもので、
作
(
さく
)
は
宗乘
(
そうじょう
)
と申しますが、銘はございませんが宗乘と云うことでございます、これは良い
彫
(
ほり
)
でげす」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
(下に図するこれなり)
彫
(
きざみ
)
たる人の
頭
(
かしら
)
を左りに
顧
(
むか
)
せ、その
下
(
しも
)
に五字を
彫
(
ほり
)
つけしは、是より左り
蛾眉山下橋
(
がびさんかのはし
)
なりと人にをしゆる
標準
(
みちしるべ
)
なりとかたられき。是にて
義理
(
ぎり
)
渙然
(
くわんぜん
)
たり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
中へ入って見ると、壁紙の模様から、カーテンの刺繍から、欄間の欄干の
彫
(
ほり
)
まで
悉
(
ことごと
)
く
向日葵
(
ひまわり
)
で、立派な応接間には、有名な書家の描いた、
真物
(
ほんもの
)
の
向日葵
(
ひまわり
)
の絵まで
掲
(
か
)
けてあります。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
誰もあの見事な
彫
(
ほり
)
のふっくらした金具を
需
(
もと
)
めはしなくなった。安ものの薄手のへなへなな品でなくば売れはしない。正直な仕事はここでも貧乏を招く。だが正しい品物はいつか光る。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
鬼と見て我を
御頼
(
おたのみ
)
か、
金輪
(
こんりん
)
奈落
(
ならく
)
其様
(
そのよう
)
な義は御免
蒙
(
こうむ
)
ると、心清き男の強く云うをお辰聞ながら、櫛を手にして見れば、ても美しく
彫
(
ほり
)
に
彫
(
ほっ
)
たり、
厚
(
あつさ
)
は
僅
(
わずか
)
に
一分
(
いちぶ
)
に足らず、幅は
漸
(
ようや
)
く二分
計
(
ばか
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今かく
中古
(
ちゅうぶる
)
に
草臥
(
くたび
)
れても
同一
(
おなじ
)
香
(
におい
)
の香水で、
追
(
おっ
)
かけ追かけ
香
(
にお
)
わせてある持物を取出して、気になるほど爪の伸びた、湯が
嫌
(
きらい
)
らしい手に短い
延
(
のべ
)
の銀
煙管
(
ぎせる
)
、何か目出度い薄っぺらな
彫
(
ほり
)
のあるのを控えながら
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奇妙な
彫
(
ほり
)
の
指環
(
ゆびわ
)
まで贈物として僕によこしたじゃないか。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鱗形
(
うろこがた
)
の
彫
(
ほり
)
をした
黄楊
(
つげ
)
の箱から
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鶴の
彫
(
ほり
)
と聞より治助大に
悦
(
よろこ
)
び
宜々
(
よい/\
)
夫
(
それ
)
だぞ賣人は
誰
(
たれ
)
だ/\十兵衞
待
(
まち
)
なせへよ三間町の
虎松
(
とらまつ
)
に相違は無いとて
原田
(
はらだ
)
の前に
出
(
いで
)
彼
(
か
)
の脇差は淺草三間町の虎松と申す者より買入しに
相違
(
さうゐ
)
御座りませぬと
云
(
いへ
)
ば原田
然
(
しか
)
らば御用は
無
(
ない
)
引取
(
ひきとれ
)
と申渡すに十兵衞は
有難
(
ありがた
)
しと家主
諸共
(
もろとも
)
引取
(
ひきとり
)
ける斯て原田大右衞門コレ
幸
(
かう
)
藏此治助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
件
(
くだん
)
の石に
彫
(
ほり
)
つけありしと
古書
(
こしよ
)
に見えたるを
拠
(
よりところ
)
として、
渡唐
(
とたう
)
の
神影
(
しんえい
)
を画き
伝
(
つた
)
へたるなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
一日二晩
絶間
(
たえま
)
なく感心しつめて
天晴
(
あっぱれ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
と信仰して居る
御前様
(
おまえさま
)
を、縛ることは
赤旃檀
(
しゃくせんだん
)
に
飴細工
(
あめざいく
)
の刀で
彫
(
ほり
)
をするよりまだ難し、
一昨日
(
おととい
)
の晩忘れて行かれたそれ/\その櫛を見ても
合点
(
がてん
)
なされ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
件
(
くだん
)
の石に
彫
(
ほり
)
つけありしと
古書
(
こしよ
)
に見えたるを
拠
(
よりところ
)
として、
渡唐
(
とたう
)
の
神影
(
しんえい
)
を画き
伝
(
つた
)
へたるなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彫
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“彫”を含む語句
彫刻
牙彫
木彫
浮彫
彫刻物
象牙彫
透彫
彫塑
彫刻師
鋳型彫
彫物
彫琢
彫像
高彫
彫付
筋彫
朱彫
彫心鏤骨
欄間彫
彫刻家
...