懈怠けだる)” の例文
新吉もそばで読んでいた講談物を閉じて、「サアこうしちアいられねえ。」とき立てられるような調子で、懈怠けだるそうな身節みぶしがミリミリ言うほど伸びをする。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「をツさん、筆……筆。」と、お文は銀場の筆を叔父の手から取り戻して、懈怠けだるさうに、叔父の肥つた膝の温味ぬくみの殘つた座蒲團の上に坐ると、出ないのを無理に吐き出すやうな欠伸を一つした。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「をツさん、筆……筆。」と、お文は銀場の筆を叔父の手から取り戻して、懈怠けだるさうに、叔父の肥つた膝の温味ぬくみの残つた座蒲団の上に坐ると、出ないのを無理に吐き出すやうな欠伸あくびを一つした。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)