“おこた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オコタ
語句割合
84.5%
10.8%
胡燵0.7%
0.7%
御火燵0.7%
0.7%
炬燵0.7%
0.7%
0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
次郎は荒田老の顔の動きに注意をおこたらなかった。黒眼鏡がかすかに動いて、朝倉先生の声のするほうに向きをかえたように思われた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
つまは実直なるさがなれば家業におこたることなく、妻も日頃謹慎の質にして物多く言はぬほど糸針の道には心掛ありしとのうはさなり。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
奥様の御差図さしずで、葡萄酒を胡燵おこたの側に運びまして、玻璃盞コップがわりには京焼の茶呑茶椀ぢゃわんを上げました。静な上に暖で、それはだまされたような、夢心地のする陽気。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御一緒に胡燵おこたにあたりながら、奥様は例の小説本、私は古足袋のそそくい、長野の御噂さやら歯医者の御話やら移り移って盗賊の噂さになりますと、奥様は急に寂しがって
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鼻うごめかすと俗にも云ふ如く心の色何となく此処ここうつるものなり、心におこたりある時の如き最もよく鼻にて知らるゝものなれば意をとどし(下略)
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「心の底のおこたりが最もよく鼻に現われる」
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「三毛は御飯をたべるかい」「いいえ今朝からまだなんにも食べません、あったかにして御火燵おこたに寝かしておきました」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
殺婦長者既に多くの妻を先立てし罪業をおそれ、新妻を娶るとぐさま所有あらゆる鎖鑰じょうかぎを彼女にわたし、わが家の旧法仏僧に帰依すれば、汝も随時僧に給事して、おこたるなかれというた。
『手が冷い? そんなら早く行つて炬燵おこたへあたれ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
思いがけなき大疾を得て、その病も少しはおこたらんとするを喜べるほどもなく、死ねといわるるはなお慈悲の宣告を受け、愛し愛さるる良人はありながら容赦もなく間を裂かれて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
二月きさらぎ初旬はじめふと引きこみし風邪かぜの、ひとたびはおこたりしを、ある夜しゅうとめの胴着を仕上ぐるとて急ぐままにふかししより再びひき返して
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)