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懈
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おこた
ふりがな文庫
“
懈
(
おこた
)” の例文
しかれども侍衛の臣、内に
懈
(
おこた
)
らず、忠志の士、身を外に忘るるものは、けだし先帝の
殊遇
(
しゅぐう
)
を負うて、これを陛下に報いんと欲するなり。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫
(
つま
)
は実直なる
性
(
さが
)
なれば家業に
懈
(
おこた
)
ることなく、妻も日頃謹慎の質にして物多く言はぬほど糸針の道には心掛ありしとのうはさなり。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
夙に興き夜に寝ね、未だ曾て一月も
懈
(
おこた
)
らず、天を敬し民を撫するの意、天下に
孚
(
ふ
)
あり、而して其効験の未だ大に赫著せざるものは何ぞや。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
公事を帯びて行くのでないと、必ず鳥居を潜り
広前
(
ひろまへ
)
に進んで拝した。又祭日等に、ことさらに参詣するときは、
幣
(
みてぐら
)
を供ふることを
懈
(
おこた
)
らなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
実に筆を執つて皮相の観察を書くことなどは
少
(
すくな
)
からぬ苦痛なのである。自然予等は通信の義務を
懈
(
おこた
)
ることが多かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
家の者はすこし
懈
(
おこた
)
ってきた。主人はその時
厠
(
かわや
)
に往った。と、俄かに狐兵があらわれて、弓を張って主人を取り囲んで乱射した。矢が
臀
(
しり
)
にあつまってきた。
胡氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
勿論翁の斯道に対する
研鑽
(
けんさん
)
と、不退転の猛練習とは晩年に到っても
懈
(
おこた
)
る事がなかった筈であるが、しかしこの以後の修養は
所謂
(
いわゆる
)
悟り後の聖胎長養時代で
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
僧徒にこの板が風に随うて動きやまぬごとく少しも
懈
(
おこた
)
らぬよう
訓
(
おし
)
えたとジュカンシュは言ったが、グラメー説には、塔頂に十字架に添えて鶏の形を設くるは
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
全く廃してしまったわけではない。唯系統を追って読むことを
懈
(
おこた
)
っているのみで、目に触れるものは随意にこれを漫読していることは過ぎし日と更にかわりはない
「珊瑚集」解説
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
余
花卉
(
かき
)
を愛する事人に超えたり。病中猶年々草花を種まき日々水を
灌
(
そそ
)
ぐ事を
懈
(
おこた
)
らざりき。今年
草廬
(
そうろ
)
を麻布に移すやこの辺の地味花に宜しき事大久保の旧地にまさる事を知る。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
而して母氏も亦女紅の隙を以て其愛児を教育せり。後来の大儒は
屡〻
(
しば/\
)
温習を
懈
(
おこた
)
り屡〻睡れり。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
夫の留守中何事も
懈
(
おこた
)
りがちなりければ、裏の
圃
(
はたけ
)
に
大葱
(
おおねぎ
)
の三四茎日に蒸されて
萎
(
な
)
えたるほか、
饗応
(
きょうおう
)
すべきものとては二葉ばかりの
菜蔬
(
さいそ
)
もなかりき、法事をせずば仏にも近所にも済まず
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
われはさる説法のためにこゝに來しにはあらず。われは
市長
(
ボデスタ
)
一家の使節なり。おん身の伺候を
懈
(
おこた
)
ること三日なりしは、ロオザに聞きつ。何といふ
亡状
(
ぶじやう
)
ぞや。
疾
(
と
)
く往きて
荊
(
いばら
)
を負ひて罪を謝せよ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
女
(
をんな
)
は
氣
(
き
)
の
狹
(
せま
)
いもの、
待
(
ま
)
つと
成
(
な
)
つては
一時
(
いつとき
)
も
十年
(
じふねん
)
のやうに
思
(
おも
)
はれるであらうを、お
前
(
まへ
)
の
懈
(
おこた
)
りを
私
(
わし
)
の
故
(
せゐ
)
に
取
(
と
)
られて
恨
(
うら
)
まれても
徳
(
とく
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
、
夜
(
よる
)
は
格別
(
かくべつ
)
の
用
(
よう
)
も
無
(
な
)
し、
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
つて
聽
(
き
)
いて
遣
(
や
)
るがよからう
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
太子
対
(
こた
)
えて、〈もし人至心にして所作事あるを欲せば、弁ぜざるなし、我この宝を得まさに用いて一切群生を饒益し、この功徳を以て用いて仏道を求むべし、わが心
懈
(
おこた
)
らず
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ソノ人ニ接スルヤ温乎玉ノ如ク、子弟ヲ薫陶スルヤ極メテ厳正ニ、老ニ到ツテ
懈
(
おこた
)
ラズ。福岡地方神社ノ祭能ヲ主宰シ
恪勤
(
かっきん
)
衆ニ過グ。一藩人士翁ノ名ヲ聞キテ襟ヲ正サザルナシ。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
口惜
(
くちを
)
しげに
相手
(
あひて
)
を
睨
(
にら
)
みしこともありしがそれは
無心
(
むしん
)
の
昔
(
むかし
)
なり
我
(
わ
)
れ
性來
(
せいらい
)
の
虚弱
(
きよじやく
)
とて
假初
(
かりそめ
)
の
風邪
(
ふうじや
)
にも
十日
(
とをか
)
廿日
(
はつか
)
新田
(
につた
)
の
訪問
(
はうもん
)
懈
(
おこた
)
れば
彼處
(
かしこ
)
にも
亦
(
また
)
一人
(
ひとり
)
の
病人
(
びやうにん
)
心配
(
しんぱい
)
に
食事
(
しよくじ
)
も
進
(
すゝ
)
まず
稽古
(
けいこ
)
ごとに
行
(
ゆ
)
きもせぬとか
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
懈
漢検1級
部首:⼼
16画
“懈”を含む語句
懈怠
気懈
怠懈
懈怠無慚
懈怠至極
懈惰
懈惰者
氣懈
求法華経無有懈倦
疎虞懈怠
精進懈怠