“なほ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナホ
語句割合
35.4%
17.9%
17.3%
14.8%
4.1%
平癒1.4%
1.1%
0.8%
修繕0.8%
0.5%
0.5%
快癒0.5%
治癒0.5%
0.5%
0.5%
刪正0.3%
全快0.3%
回復0.3%
0.3%
改良0.3%
0.3%
0.3%
素直0.3%
縫直0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その代り空の月の色は前よりもなほ白くなつて、休みない往来の人通りの上には、もう気の早い蝙蝠かうもりが二三匹ひらひら舞つてゐました。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
二洲は山陽の父春水の友で、妻猪川氏を喪つた時、春水が妻飯岡氏静の妹なほをして続絃ぞくげんせしめた。即ち二洲は山陽の従母夫じゆうぼふである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「どつさりあるからいくらでも上げるけれど、丸子はやつと病気がなほつたばかりだからね。百合子は少し余計食べてもかまはない。」
二人の病人 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
御身おんみの位地として相当の準備なくてはかなはず、第一病婦の始末だに、なほきがたき今日の場合、如何いかんともせんやうなきを察し給へ。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
此男は何かにつけてカラン/\と玉盤を打つやうな響をさして笑ふのが常で、馬鹿に涙脆くつて腹も立てやすい代りに機嫌もなほりやすい。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
『安さんがあんなのらくらもんだつしやろな、茂一が、あんなに病み付いて居りましても食物をやつたり、やらなかつたりする位だすよつてにな、病気だつて平癒なほれしませんわ』
長吉がもとへあやまりに遣られる事必定なれば、三五郎は口惜しさを噛みつぶして七日十日と程をふれば、痛みの場處のなほると共に其うらめしさも何時しか忘れて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それでは彼方あちらへ参つて、又皆さんに御心配を懸けるとけませんから、お庭を一周ひとまはりしまして、その内には気分がなほりますから、さうしてお座敷へ参りませう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
内田氏はぶつ/\ぼやきながら、時計屋に修繕なほさせに出掛けて往つた。
なほかのゆらぎ傳へて、身にははやく
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「——さあ、病気は早よなほるかどうか、お稲荷さんのお告げはあらたかなもんだつせ、さア」
大凶の籤 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
うせ行くとしましても、それやマア祖母おばあさんが奈何どうにか、アノ快癒なほつてからの事で御座いますから、何時の事だか解りませんけれども、何だかアノ、生れ村を離れて北海道あたりまで行つて
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何程仕事の大事ぢやとて昨日の今日は疵口の合ひもすまいし痛みも去るまじ、泰然ぢつとして居よ身体を使ふな、仔細は無けれど治癒なほるまでは万般よろづ要慎つゝしみ第一と云はれた御医者様の言葉さへあるに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あるとき嘉十かじふは、くりからちて、すこひだりひざわるくしました。そんなときみんなはいつでも、西にしやまなかくとこへつて、小屋こやをかけてとまつてなほすのでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「いかゞ致したものでせう、一つ大急ぎにおなほし下さらないものでせうか知ら。」
丑松は先づ其詑そのわびから始めて、刪正なほしてりたいは遣りたいが、最早もう其をる暇が無いといふことを話し、斯うして一緒に稽古を為るのも実は今日限りであるといふことを話し
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『ホウ、作文が刪正なほつて来た。』とある生徒が言つた。『図画も。』と又。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『何うしてもきませんか。それぢや全快なほつても死でしまひます。いゝから此儘で手術をなさいと申すのに』
泉鏡花作『外科室』 (旧字旧仮名) / 宮崎湖処子(著)
『来て下さいね。お約束して置きますよ。あなたが来て看護して下さるなら、すぐと回復なほりますよ……あなたそらさうと肺はどうなの?』
今日さいはひの處へ御入來なりし拙僧せつそう大慶たいけいに存ずる仔細しさいは拙僧がをひなる赤川大膳と申者此度將軍家の御落胤ごらくいんなる天一坊樣のお供致し拙寺せつじへ御入にて御逗留中ごとうりうちうなり近々江戸表へ御名乘出おんなのりいでにて御親子御對顏遊ばすはずならば時宜に依ては西にしまるなほらせらるゝか左無とも御三家順格ごさんけじゆんかくには受合なり然時は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こんどは此のおもちやの此処ンところをかう改良なほして来い!
玩具の賦:昇平に (新字旧仮名) / 中原中也(著)
幾多いくらかねこしらへたところで、君はその分では到底慰めらるる事はありはせん。病が有るからと謂うて毒を飲んで、その病がなほるぢやらうか。君はあたかも薬を飲む事を知らんやうなものじやぞ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私の過失をなほす力を持つてないし、先生の賞讃も、私はそれをこの上もなく高いものに見てゐるのだけれど、それでさへ私に
いみじくも枝垂しだるるさくらもと良子ながこ女王によわう素直なほきおんまゆ
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
縫直なほして着よと下されたのとは汝の眼にはうつらぬか、一方ならぬ御恩を受けて居ながら親方様の対岸むかうへ廻るさへあるに、それを小癪なとも恩知らずなとも仰やらず
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
〔譯〕自らかへりみてなほきは、われ無きなり。千萬人と雖吾れ往かんは、物無きなり。
其中固つた所を拾ひ上げては假名遣をなほして行くと云ふ樣なことならば、漸を以てしても宜しからうと思ひますけれども、其の文語に定まつて居るものは正として
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)