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直
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なほ
ふりがな文庫
“
直
(
なほ
)” の例文
一たび愛慾の
迷路
(
めいろ
)
に入りて、
七五
無明
(
むみやう
)
の
七六
業火
(
ごふくわ
)
の
熾
(
さかん
)
なるより鬼と化したるも、ひとへに
七七
直
(
なほ
)
くたくましき
性
(
さが
)
のなす所なるぞかし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
二洲は山陽の父春水の友で、妻猪川氏を喪つた時、春水が妻飯岡氏静の妹
直
(
なほ
)
をして
続絃
(
ぞくげん
)
せしめた。即ち二洲は山陽の
従母夫
(
じゆうぼふ
)
である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
上
(
うへ
)
の男は、それで、手を
離
(
はな
)
して、
膝
(
ひざ
)
を
立
(
た
)
てゝ、袴の
襞
(
ひだ
)
を
正
(
たゞ
)
しく、
居住居
(
ゐずまゐ
)
を直した。見れば立派な男である。先生もすぐ起き
直
(
なほ
)
つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、たゞ、ぶらつくので。」とばかり
申
(
まを
)
し
合
(
あ
)
はせた
如
(
ごと
)
く、
麥稈
(
むぎわら
)
をゆり
直
(
なほ
)
して、そこで、
左
(
ひだり
)
へ
佐賀町
(
さがちやう
)
の
方
(
はう
)
へ
入
(
はひ
)
つたのであるが。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
品
(
しな
)
は
朝
(
あさ
)
から
心持
(
こゝろもち
)
が
晴々
(
はれ/″\
)
して
日
(
ひ
)
が
昇
(
のぼ
)
るに
連
(
つ
)
れて
蒲團
(
ふとん
)
へ
起
(
お
)
き
直
(
なほ
)
つて
見
(
み
)
たが、
身體
(
からだ
)
が
力
(
ちから
)
の
無
(
な
)
いながらに
妙
(
めう
)
に
輕
(
かる
)
く
成
(
な
)
つたことを
感
(
かん
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
しかしてこれをばいと賤しと判ずる心を我はいと善しと認む、思ひを他の物にむくる人はげに
直
(
なほ
)
しといふをえむ 一三六—一三八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
が、
又
(
また
)
直
(
たゞち
)
に
自分
(
じぶん
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聽
(
き
)
く
者
(
もの
)
は
無
(
な
)
い、
其
(
そ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
解
(
わか
)
るものは
無
(
な
)
いとでも
考
(
かんが
)
へ
直
(
なほ
)
したかのやうに
燥立
(
いらだ
)
つて、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
りながら
又
(
また
)
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
が、すすり
泣
(
な
)
きはじめた
奧
(
おく
)
さんの
肩
(
かた
)
に
手
(
て
)
をかけると、また心をとり
直
(
なほ
)
しながら、力
強
(
つよ
)
く、
慰
(
なぐさ
)
めるやうにその耳元にささやいた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
若
(
も
)
し
眼
(
め
)
が
星
(
ほし
)
の
座
(
ざ
)
に
直
(
なほ
)
り、
星
(
ほし
)
が
姫
(
ひめ
)
の
頭
(
つむり
)
に
宿
(
やど
)
ったら、
何
(
なん
)
とあらう!
姫
(
ひめ
)
の
頬
(
ほゝ
)
の
美
(
うつく
)
しさには
星
(
ほし
)
も
羞耻
(
はにか
)
まうぞ、
日光
(
にっくわう
)
の
前
(
まへ
)
の
燈
(
ランプ
)
のやうに。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
甲斐
(
かひ
)
のない
一生
(
いつしやう
)
を
送
(
おく
)
るは
眞實
(
しんじつ
)
情
(
なさけ
)
ない
事
(
こと
)
と
考
(
かんが
)
へられ、
我身
(
わがみ
)
の
心
(
こゝろ
)
をため
直
(
なほ
)
さうとはしないで
人
(
ひと
)
ごとばかり
恨
(
うら
)
めしく
思
(
おも
)
はれました。
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
同一時に於て此所彼所に同一人民の部落存在せりとは、取りも
直
(
なほ
)
さず、其前の時代に於て移住行はれたりと云ふ事なり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
も
伴
(
ともな
)
ひ奉つれり依て
御生長
(
ごせいちやう
)
の土地は美濃國にて候
此度
(
このたび
)
受戒
(
じゆかい
)
得道
(
とくだう
)
なし奉つり常樂院の
後住
(
ごぢう
)
にも
直
(
なほ
)
し申べくと存じ候得ども
正
(
まさ
)
しく當將軍の
御落胤
(
ごらくいん
)
たるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ジエィン、お前は、はつきり事が
解
(
わか
)
つてゐないのですよ。子供の惡いところは
直
(
なほ
)
して貰はなければいけません。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
日本人
(
にほんじん
)
が
歐文
(
おうぶん
)
を
飜譯
(
ほんやく
)
するとき、
年紀
(
ねんき
)
や
所在地
(
しよざいち
)
の
書
(
か
)
き
方
(
かた
)
は、これを
日本流
(
にほんりう
)
に
大
(
だい
)
より
小
(
せう
)
への
筆法
(
ひつぱふ
)
に
直
(
なほ
)
すが、
固有名
(
こゆうめい
)
は
矢張
(
やは
)
り
尊重
(
そんちよう
)
して
彼
(
かれ
)
の
筆法
(
ひつぱふ
)
に
從
(
したが
)
ふのである。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
件
(
くだん
)
の石を
軒
(
のき
)
の
外
(
そと
)
に
直
(
なほ
)
し
置
(
おき
)
、朝飯などしたゝめて彼の石を見んとするに石なし、いかにせし事やらんとさま/″\にたづねもとむれども行方しれずとなん。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
『まァ、
可厭
(
いや
)
な
動物
(
どうぶつ
)
だこと、
人
(
ひと
)
に
命令
(
いひつ
)
けたり、
人
(
ひと
)
に
學課
(
がくくわ
)
のやり
直
(
なほ
)
しをさせたりして!』と
愛
(
あい
)
ちやんは
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
稽古
(
けいこ
)
の男は
小稲半兵衛
(
こいなはんべゑ
)
をさらつた
後
(
のち
)
同じやうなお
妻
(
つま
)
八郎兵衛
(
はちろべゑ
)
の
語出
(
かたりだ
)
しを二三度
繰返
(
くりかへ
)
して帰つて行つたのである。
蘿月
(
らげつ
)
は
尤
(
もつと
)
もらしく
坐
(
すわ
)
り
直
(
なほ
)
して
扇子
(
せんす
)
で軽く
膝
(
ひざ
)
を
叩
(
たゝ
)
いた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これで先生も
使賃
(
つかひちん
)
をやる事を
覚
(
おぼ
)
え、
又
(
また
)
小僧
(
こぞう
)
さんも
行儀
(
ぎやうぎ
)
が
直
(
なほ
)
つたといふお話で、誠に
西洋
(
あちら
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんは
狡猾
(
かうくわつ
)
で
怜悧
(
りこう
)
の
処
(
ところ
)
がありますが、
日本
(
こちら
)
の
小僧
(
こぞう
)
さんは
極
(
ごく
)
穏当
(
をんたう
)
なもので。
西洋の丁稚
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
先づ萬づの
吉善
(
よき
)
を
直
(
なほ
)
と云に對ひて萬の凶惡を
麻賀
(
まが
)
と云ふ。故に御祓の段に禍(まが)と書けり。扨其は體言なるを用言にして
麻賀流
(
まがる
)
と云ふ。物の形の曲るも其中の一也。
詛言に就て
(旧字旧仮名)
/
南方熊楠
(著)
瘠
(
や
)
せた男は役人生活をしてゐるからには、
何日
(
いつ
)
また大臣の椅子に
直
(
なほ
)
らうかも知れぬ加藤さんだ、一寸出迎へをした位で、そんな場合に官等の一つも
上
(
あが
)
る事が出来たなら
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この
歌
(
うた
)
の
興味
(
きようみ
)
は、ごく
際
(
きは
)
どい
工夫
(
くふう
)
にあるので、
若菜
(
わかな
)
を
摘
(
つ
)
まうとしてゐた
心
(
こゝろ
)
に、
自然
(
しぜん
)
が
適
(
かな
)
つてくれないといふことを、
自分勝手
(
じぶんかつて
)
に、つごうよく
作
(
つく
)
り
直
(
なほ
)
したものであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
あるひは
腐
(
くさ
)
つてゐないものは
拾
(
ひろ
)
つて
他
(
ほか
)
の
器物
(
きぶつ
)
に
造
(
つく
)
り
直
(
なほ
)
したりするといふことがある
上
(
うへ
)
に、
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
がはじめから
石器
(
せつき
)
のように
惜
(
を
)
し
氣
(
げ
)
もなく
捨
(
す
)
てることをしなかつたのです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そこで
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
が
非
(
ひ
)
を
悟
(
さと
)
つて
改革
(
かいかく
)
を
圖
(
はか
)
れば
此度
(
こんど
)
は
暮
(
くら
)
しを
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
して
自分
(
じぶん
)
の
支出
(
ししゆつ
)
を
何割
(
なんわり
)
か
減
(
げん
)
じて、さうして
其剩餘
(
そのじようよ
)
を
以
(
もつ
)
て
從來
(
じうらい
)
の
借金
(
しやくきん
)
の
整理
(
せいり
)
をして
行
(
い
)
くより
外
(
ほか
)
には
途
(
みち
)
はないのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
ヨハネの
所謂
(
いはゆる
)
悔改とは、即ち心を
直
(
なほ
)
くするにあり、ヨハネの所謂道を備ふるとは、即ち心を
虚
(
むなし
)
うするにあり、心を虚うする後にあらざれば、真理は望む事を得べからざればなり。
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
実
(
げ
)
に人生の悲しみは
頑是
(
ぐわんぜ
)
なき愛児を手離すより悲しきはなきものを、それをすら
強
(
し
)
ひて堪へねばならぬとは、是れも
偏
(
ひとへ
)
に秘密を
契
(
ちぎ
)
りし罪悪の罰ならんと、吾れと心を取り
直
(
なほ
)
して
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
砥
(
と
)
の如く平らかに矢の如く
直
(
なほ
)
くして、
目地
(
めぢ
)
遙かに人影を見ざる中を、可なりの速力で駛らせると、恰も活動寫眞を觀るが如くに遠くの小さな物が忽ち中位になり、大きくなつて
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
『ミストル・ヘーガ』。
日本人
(
にほんじん
)
の
給仕
(
きふじ
)
が
気
(
き
)
を
利
(
きか
)
せて『
芳賀
(
はが
)
さん』と
読
(
よ
)
み
直
(
なほ
)
す。『ミストル・ホーライ』。これは
堀
(
ほり
)
だ。『ミストル・アイカイ』。
之
(
これ
)
は
猪飼
(
ゐかひ
)
だ。『ミストル・キャツダ』。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
A
持藥
(
ぢやく
)
は
好
(
よ
)
かつたね。
何
(
なに
)
しろマアそれでヒステリー
病
(
びやう
)
だの
悋氣病
(
りんきびやう
)
だのが
直
(
なほ
)
れば
結構
(
けつこう
)
だ。
年始状
(
ねんしじやう
)
を
無暗
(
むやみ
)
に
澤山
(
たくさん
)
出
(
だ
)
したりするのに
比
(
くら
)
べると、
君等
(
きみら
)
のは
蓋
(
けだ
)
し
葉書利用法
(
はがきりようはふ
)
の
上乘
(
じやうじよう
)
なるものだね。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
東皐子
(
とうくわうし
)
はそれを
聞
(
き
)
いて、
手紙
(
てがみ
)
で『
思
(
おも
)
ひ
直
(
なほ
)
して
來
(
く
)
る
氣
(
き
)
は
無
(
な
)
いか
鳥
(
とり
)
も
枯木
(
かれき
)
に二
度
(
ど
)
とまる』と
言
(
い
)
つて
寄越
(
よこ
)
す。
幻翁
(
げんおう
)
もすゝめる。
罵
(
のゝし
)
りながらも
實
(
じつ
)
は
行
(
ゆ
)
きたいので、
又
(
また
)
出掛
(
でか
)
ける。
相變
(
あひかは
)
らず
何
(
なに
)
も
無
(
な
)
い。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
良
(
い
)
い親類を持つと云ふものは、人で
謂
(
い
)
へば
取
(
とり
)
も
直
(
なほ
)
さず良い友達で、お前にしてもさうだらう、良い友達が有れば、万事の話合手になる、何かの力になる、なう、謂はば親類は
一家
(
いつか
)
の友達だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
あなあはれ、雀子よとて雀子を撫でさすり、掻い撫でさすり、偽りなせそ、むさぼりそよ、おのづからなれ、正しく、
直
(
なほ
)
く
常童
(
とこわらべ
)
にて、
天地
(
あめつち
)
の神ごころにも通へとぞ、悲しかれよと
宣
(
の
)
りましき。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
此
(
こ
)
の
意氣地
(
いくぢ
)
なしども! そんなら
一昨年
(
おととし
)
の二百十
日
(
か
)
のやうに、また一と
泡
(
あわ
)
吹
(
ふ
)
かしてくれやうか」と
怒鳴
(
どな
)
りつけやうとは
思
(
おも
)
つたが、
何
(
なに
)
をいふにも
相手
(
あひて
)
はたか のしれた
人間
(
にんげん
)
だとおもひ
直
(
なほ
)
して
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
それはね、これの
校了
(
かうれう
)
の
校正刷
(
かうせいずり
)
を
讀
(
よ
)
んでゐて
誤植
(
ごしよく
)
を
一
(
ひと
)
つ
發見
(
はつけん
)
して
直
(
なほ
)
して
置
(
お
)
いた
事
(
こと
)
だ。
尤
(
もつと
)
もその
手柄
(
てがら
)
と、こんなことを
卷頭
(
くわんとう
)
に
書
(
か
)
いて
君
(
きみ
)
の
美
(
うつく
)
しい
本
(
ほん
)
をきたなくする
罪
(
つみ
)
とでは、
差引
(
さしひき
)
にならないかも
知
(
し
)
れない。
「三つの宝」序に代へて
(旧字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
取
(
と
)
りも
直
(
なほ
)
さず
學問
(
がくもん
)
を
實際
(
じつさい
)
の
用
(
よう
)
に
立
(
た
)
てるの
凖備
(
じゆんび
)
であります。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
『
書
(
か
)
き
給
(
たま
)
へ、
僕
(
ぼく
)
は
其間
(
そのま
)
にこれを
直
(
なほ
)
すから。』
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
無意味
(
むいみ
)
な
教練
(
きょうれん
)
のやり
直
(
なほ
)
しについて
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
直
(
なほ
)
らぬ病、身は痩せぬ。
夕
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
『あゝつ、』と
忌
(
いま
)
はしさに
手
(
て
)
で
払
(
はら
)
つて、
坐
(
すは
)
り
直
(
なほ
)
して
其処等
(
そこら
)
を
眴
(
みまは
)
す、と
密
(
そつ
)
と
座敷
(
ざしき
)
を
覗
(
のぞ
)
いた
女中
(
ぢよちゆう
)
が、
黙
(
だま
)
つて、スーツと
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
し
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いかにも
言
(
い
)
はれる
通
(
とほり
)
で、
其
(
その
)
頭痛
(
づつう
)
のために
出立
(
しゆつたつ
)
の
日
(
ひ
)
を
延
(
の
)
ばさうかと
思
(
おも
)
つてゐますが、どうして
直
(
なほ
)
してくれられる
積
(
つもり
)
か。
何
(
なに
)
か
藥方
(
やくはう
)
でも
御存
(
ごぞん
)
じか。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
『
屹度
(
きつと
)
間
(
ま
)
もなくお
直
(
なほ
)
りでせう。』と、ニキタは
復
(
また
)
云
(
い
)
ふてアンドレイ、エヒミチの
脱捨
(
ぬぎすて
)
た
服
(
ふく
)
を
一纏
(
ひとまと
)
めにして、
小腋
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へた
儘
(
まゝ
)
、
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てゝ
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
松麁朶
(
まつそだ
)
で卅五
把
(
は
)
ぢや
相場
(
さうば
)
はさうでもねえが、
商人
(
あきんど
)
がまるき
直
(
なほ
)
すんだから
小
(
ちひ
)
さくもなる
筈
(
はず
)
だな」
勘次
(
かんじ
)
は
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けていつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
殘らず
呼集
(
よびあつ
)
め次右衞門三五郎正座に
直
(
なほ
)
り
座傍
(
かたはら
)
には
寺社奉行
(
じしやぶぎやう
)
并びに遠藤喜助小林軍次郎等
列座
(
れつざ
)
にて一人々々に
呼出
(
よびいだ
)
し澤の井の宿を
吟味
(
ぎんみ
)
に及ぶも名主を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
居
(
ゐ
)
て
見
(
み
)
、
首筋
(
くびすぢ
)
が
薄
(
うす
)
かつたと
猶
(
なほ
)
ぞいひける、
單衣
(
ひとへ
)
は
水色友仙
(
みづいろゆうぜん
)
の
凉
(
すゞ
)
しげに、
白茶金
(
しらちやきん
)
らんの
丸帶
(
まるおび
)
少
(
すこ
)
し
幅
(
はゞ
)
の
狹
(
せま
)
いを
結
(
むす
)
ばせて、
庭石
(
にはいし
)
に
下駄
(
げだ
)
直
(
なほ
)
すまで
時
(
とき
)
は
移
(
うつ
)
りぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
兄
(
にい
)
さん、
少
(
すこ
)
し
御話
(
おはなし
)
があつて
來
(
き
)
たんですが」と
開
(
ひら
)
き
直
(
なほ
)
られたので、
宗助
(
そうすけ
)
は
少
(
すこ
)
し
驚
(
おど
)
ろいた
氣味
(
きみ
)
で、
暑苦
(
あつくる
)
しい
洋服
(
やうふく
)
さへ
脱
(
ぬ
)
ぎ
更
(
か
)
へずに、
小六
(
ころく
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
件
(
くだん
)
の石を
軒
(
のき
)
の
外
(
そと
)
に
直
(
なほ
)
し
置
(
おき
)
、朝飯などしたゝめて彼の石を見んとするに石なし、いかにせし事やらんとさま/″\にたづねもとむれども行方しれずとなん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
我等門の閾の内に入りし後(魂の惡き愛
歪
(
ゆが
)
める道を
直
(
なほ
)
く見えしむるためこの門開かるゝこと稀なり) 一—三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
『
宛
(
まる
)
で
咽喉
(
のど
)
に
骨
(
ほね
)
でも
痞
(
つか
)
へてゐるやうだ』と
云
(
い
)
つてグリフォンは、
其背中
(
そのせなか
)
を
搖
(
ゆす
)
つたり
衝
(
つ
)
いたりし
初
(
はじ
)
めました。
遂
(
つひ
)
に
海龜
(
うみがめ
)
の
聲
(
こゑ
)
は
直
(
なほ
)
りましたが、
涙
(
なみだ
)
は
頬
(
ほゝ
)
を
傳
(
つた
)
はつて——
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
カピ長 うゝ、
御坊
(
ごばう
)
の
庇
(
かげ
)
で、ちと
料簡
(
れうけん
)
も
直
(
なほ
)
りをらうわい。
氣儘
(
きまゝ
)
な、
沒分曉的
(
わからずや
)
の
賤婦
(
あまっちゃ
)
めぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
おのれ善をなして、おのれその
報
(
むく
)
ひの来るを待つは
直
(
なほ
)
きこころにもあらずかし。又
悪業
(
あくごふ
)
慳貪
(
けんどん
)
の人の
富
(
と
)
み
昌
(
さか
)
ふるのみかは、
寿
(
いのち
)
めでたくその
終
(
をはり
)
をよくするは、
一〇四
我に
異
(
こと
)
なることわりあり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
あなあはれ、雀子よとて雀子を撫でさすり、掻い撫でさすり、偽りなせそ、むさぼりそよ、おのづからなれ、正しく、
直
(
なほ
)
く、
常童
(
とこわらべ
)
にて、
天地
(
あめつち
)
の神ごころにも通へとぞ、悲しかれよと
宣
(
の
)
りましき。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“直”の意味
《名詞》
(じき)
(じか)
(あたい/あたえ 歴史的仮名遣い:あたひ/あたへ)古代日本において、県主等に与えられた姓。
(すぐ)将棋の棋譜での用語で、駒をまっすぐ前に進めること。
《形容動詞》
(じき)短い期間のうちに、すぐにと言うわけではないが、そうなるまでに大きな変化はなく。
(出典:Wiktionary)
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“直”を含む語句
正直
直接
直下
素直
真直
直道
直立
驀直
強直
直衣
眞直
立直
硬直
直角
御直
直後
直面
宿直
直々
直截
...