トップ
>
猶
>
なほ
ふりがな文庫
“
猶
(
なほ
)” の例文
予等は
旅中
(
りよちう
)
の見聞記を毎月幾回か東京朝日新聞に寄せねばならぬ義務があつた。
猶
(
なほ
)
晶子は雑誌婦人画報などに寄稿する
前約
(
ぜんやく
)
があつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その代り空の月の色は前よりも
猶
(
なほ
)
白くなつて、休みない往来の人通りの上には、もう気の早い
蝙蝠
(
かうもり
)
が二三匹ひらひら舞つてゐました。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そつと
旧
(
もと
)
のやうに書物の
間
(
あひだ
)
に収めて、
猶
(
なほ
)
もその
辺
(
へん
)
の一冊々々を
何心
(
なにごゝろ
)
もなく
漁
(
あさ
)
つて
行
(
ゆ
)
くと、今度は思ひがけない一通の手紙に
行当
(
ゆきあた
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
盖
(
けだし
)
冥々
(
めい/\
)
には年月を
置
(
おか
)
ずときけば百年も
猶
(
なほ
)
一日の如くなるべし。(菅公の神灵にるゐする事和漢に多し、さのみはとこゝにもらせり。)
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
聞て
狂氣
(
きやうき
)
の如く
悲
(
かなし
)
みしかども又
詮方
(
せんかた
)
も非ざれば無念ながらも
甲斐
(
かひ
)
なき日をぞ送りける其長庵は心の内の悦び大方ならず
猶
(
なほ
)
種々
(
さま/″\
)
と辯舌を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
斯う云ふ記憶法でありますが、是れなどを
猶
(
なほ
)
研究したならば、教へる方法は今日よりも一層完全に出來得るかと思ふのであります。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
然
(
しか
)
も
猶
(
なほ
)
これは
眞直
(
まつすぐ
)
に
眞四角
(
ましかく
)
に
切
(
きつ
)
たもので、およそ
恁
(
かゝ
)
る
角
(
かく
)
の
材木
(
ざいもく
)
を
得
(
え
)
ようといふには、
杣
(
そま
)
が八
人
(
にん
)
五日
(
いつか
)
あまりも
懸
(
かゝ
)
らねばならぬと
聞
(
き
)
く。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかはあれ、人もしわれらの
書
(
ふみ
)
を
一枚
(
ひとひら
)
また一枚としらべなば、我はありし昔のまゝなりと
録
(
しる
)
さるゝ紙の今
猶
(
なほ
)
あるを見む 一二一—一二三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
花もなかばは散り過ぎて、
二六五
鶯の声もやや流るめれど、
猶
(
なほ
)
よき
方
(
かた
)
に
二六六
しるべし侍らんとて、
夕食
(
ゆふげ
)
いと清くして食はせける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
宿
(
やど
)
に
凝
(
じつ
)
としてゐるのは、
猶
(
なほ
)
退屈
(
たいくつ
)
であつた。
宗助
(
そうすけ
)
は
匆々
(
そう/\
)
に
又
(
また
)
宿
(
やど
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
てゝ、
絞
(
しぼ
)
りの
三尺
(
さんじやく
)
と
共
(
とも
)
に
欄干
(
らんかん
)
に
掛
(
か
)
けて、
興津
(
おきつ
)
を
去
(
さ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
フランチエスカ夫人は面に微笑を浮べて客に接し給へど、その良心のまことに平なるにあらざるをば、われ
猶
(
なほ
)
能くこれを知れり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
上件ハ唯、大兄
計
(
ばかり
)
ニ内〻申上候事なれバ、余の論を以て、樋口真吉及其他の吏〻ニも
御
(
ママ
)
御申聞
被
レ
成
(なされ)
候時ハ、
猶
(
なほ
)
幸の事ニ候。不一
手紙:114 慶応三年十月十八日 望月清平あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
たゞ
宿酔
(
しゆくすゐ
)
猶
(
なほ
)
残つて眼の中がむづゝく人もあらば、羅山が詩にした大河の水ほど淡いものだから、
却
(
かへ
)
つて胃熱を洗ふぐらゐのことはあらうか。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
おや/\と
思
(
おも
)
ひながら、
猶
(
なほ
)
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れて
土
(
つち
)
を
取
(
と
)
つて
見
(
み
)
ると、
把手
(
とつて
)
の一
部
(
ぶ
)
のみ
缺
(
か
)
けて
他
(
た
)
は
完全
(
くわんぜん
)
なる
土瓶
(
どびん
)
であつた。(第三圖イ參照)
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
猶
(
なほ
)
又、駄菓子屋の店先に並んだ番重の中から
有平糖
(
あるへいたう
)
を盗み取る常習犯であつたことまで数へ立てて、私を、ぬすツと、と言つて触れ廻つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
我
(
わが
)
十年の約は
軽々
(
かろがろし
)
く破るべきにあらず、
猶
(
なほ
)
謂無
(
いはれな
)
きは、一人娘を
出
(
いだ
)
して
嫁
(
か
)
せしめんとするなり。
戯
(
たはむ
)
るるにはあらずや、心狂へるにはあらずや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
死はいかなる敵をも
和睦
(
わぼく
)
させると言ふではないか。であるのに、死んだ後までも
猶
(
なほ
)
その死骸を葬るのを拒むとは、何たる情ない心であらう。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
私
(
わたくし
)
は
默然
(
もくねん
)
として、
猶
(
なほ
)
も
其處
(
そこ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
を
)
ると、
暫時
(
しばらく
)
して
其
(
その
)
不思議
(
ふしぎ
)
なる
岩陰
(
いわかげ
)
から、
昨日
(
きのふ
)
も
一昨日
(
おとゝひ
)
も
聽
(
き
)
いた、
鐵
(
てつ
)
の
響
(
ひゞき
)
が
起
(
おこ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
○
人
(
ひと
)
無茶苦茶に後世を呼ぶは、
猶
(
なほ
)
救け舟を呼ぶが如し。身の
半
(
なかば
)
は
既
(
はや
)
葬られんとするに当りて、せつぱつまりて出づる声なり。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
読んでお夏が「我も
室
(
むろ
)
で育ちし故、母方が悪いの、
傾城
(
けいせい
)
の風があるのとて、何処の嫁にも嫌はるゝ、これぞ
宜
(
よ
)
い事幸ひと、
猶
(
なほ
)
女郎の風を似せ」
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
あはれ
果敢
(
はか
)
なき
塵塚
(
ちりづか
)
の
中
(
うち
)
に運命を持てりとも、
穢
(
きた
)
なき
汚
(
よご
)
れは
蒙
(
かふ
)
むらじと思へる身の、
猶
(
なほ
)
何所
(
いづこ
)
にか悪魔のひそみて、あやなき物をも思はするよ。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
猶
(
なほ
)
その
愚
(
おろ
)
かな
母
(
はゝ
)
に
對
(
たい
)
してそゝぎ
得
(
う
)
るだらうか? あゝ
若
(
も
)
しもさうだとしたならば——?
彼女
(
かのぢよ
)
はたゞ
子供
(
こども
)
のために
無慾
(
むよく
)
無反省
(
むはんせい
)
な
愛情
(
あいじやう
)
のために
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
日本に居て
猶
(
なほ
)
不足がましく歎息などをしてゐる自分を見出して愧ぢた。冬と云ふのにこの冴えた瑠璃色の空はどうであらう。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
実際、父が丑松に対する時は、厳格を通り越して、残酷な位であつた。亡くなつた後までも、
猶
(
なほ
)
丑松は父を
畏
(
おそ
)
れたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其の様を見るに三尺児と
雖
(
いへど
)
も
猶
(
なほ
)
弁ずべきを、頑然首を差伸べて来る。古狸
巧
(
たくみ
)
に人を
誑
(
たぶらか
)
し、其極終に昼出て児童の獲となること、古今の笑談なり。
大衆維新史読本:07 池田屋襲撃
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「えゝから、
此
(
こ
)
れつ
切
(
きり
)
ぢやきかねえのがんだから」
勘次
(
かんじ
)
はおつぎを
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
彼
(
かれ
)
は
更
(
さら
)
に
袋
(
ふくろ
)
の
蕎麥粉
(
そばこ
)
を
桶
(
をけ
)
へ
明
(
あ
)
けて
畢
(
しま
)
つて
猶
(
なほ
)
ぶつ/\して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
猶
(
なほ
)
此後
(
こののち
)
もこれに
盡
(
つく
)
さんの
料
(
れう
)
にせまほしとておのれに
其
(
その
)
よしはし
書
(
かき
)
してよとこはれぬかゝる
方
(
かた
)
に
心
(
こゝろ
)
ふかうものし
給
(
たま
)
へるを
うもれ木:01 序
(旧字旧仮名)
/
田辺竜子
(著)
それだから
猶
(
なほ
)
、逢はす事は出来んのだ。女が一旦
嫁
(
とつ
)
ぐ事にきめた家を出るといふのは、これはよく/\なのだ。そこを君も考へてくれんければ困る。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
焔
(
ほのほ
)
の
下
(
した
)
をくゞるときは、
手拭
(
てぬぐひ
)
にて
頭部
(
とうぶ
)
を
被
(
おほ
)
ふこと。
手拭
(
てぬぐひ
)
が
濕
(
ぬ
)
れてゐれば
猶
(
なほ
)
よく、
座蒲團
(
ざぶとん
)
を
水
(
みづ
)
に
浸
(
ひた
)
したものは
更
(
さら
)
によし。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
その中のどれでも
差支
(
さしつかへ
)
がなく、二つ一緒なら
猶
(
なほ
)
好
(
い
)
いとさへ思つてゐるらしかつたが、桂田氏の電報には思ひがけなく「文部ときめよ」と書いてあつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
本能的な愛などは
猶
(
なほ
)
さら感じ得ませんでした。そして私は自分の腕一本切つて罪となつた人を聞いた事がありません
獄中の女より男に
(新字旧仮名)
/
原田皐月
(著)
彼時に五十一、英気堂々
猶
(
なほ
)
屈する所なき也。而して健康は彼の雄心に伴はず、病は突然彼をして永く黙せしめたり。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
親しましめ、相抱かしめ、一茎の草花、一片の新葉に対するも、
猶
(
なほ
)
彼が其子女に対するが如き懸念と熱心と愛情とを起すに至らしめたるにはあらざるか。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
頼家 いや、
猶
(
なほ
)
かさねて
主人
(
あるじ
)
に所望がある。この娘を予が手許に召仕ひたう存ずるが、奉公さする心はないか。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
、
彼
(
かれ
)
は
醫科大學
(
いくわだいがく
)
を
卒業
(
そつげふ
)
して
司祭
(
しさい
)
の
職
(
しよく
)
には
就
(
つ
)
かなかつた。
而
(
さう
)
して
醫者
(
いしや
)
として
身
(
み
)
を
立
(
た
)
つる
初
(
はじ
)
めに
於
(
おい
)
ても、
猶
(
なほ
)
今日
(
こんにち
)
の
如
(
ごと
)
く
別段
(
べつだん
)
宗教家
(
しゆうけうか
)
らしい
所
(
ところ
)
は
少
(
すく
)
なかつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
我輩
(
わがはい
)
は
先
(
ま
)
づ
建築
(
けんちく
)
の
最
(
もつと
)
も
重要
(
ぢうえう
)
なる一
例
(
れい
)
即
(
すなは
)
ち
住家
(
ぢうか
)
を
取
(
とつ
)
て
之
(
これ
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
るに「
住
(
ぢう
)
は
猶
(
なほ
)
食
(
しよく
)
の
如
(
ごと
)
し」と
云
(
い
)
ふ
感
(
かん
)
がある。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
松さんや他の下男に命じて、栄蔵を探させるだらう。それでも
猶
(
なほ
)
、栄蔵は見つからない。何しろ栄蔵は鰈になつて、その上鰐ざめに
喰
(
く
)
はれてしまつたのだから。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
上
(
うへ
)
なう
甘
(
あま
)
い
蜂蜜
(
はちみつ
)
は
旨過
(
うます
)
ぎて
厭
(
いや
)
らしく、
食
(
く
)
うて
見
(
み
)
ようといふ
氣
(
き
)
が
鈍
(
にぶ
)
る。ぢゃによって、
戀
(
こひ
)
も
程
(
ほど
)
よう。
程
(
ほど
)
よい
戀
(
こひ
)
は
長
(
なが
)
う
續
(
つゞ
)
く、
速
(
はや
)
きに
過
(
す
)
ぐるは
猶
(
なほ
)
遲
(
おそ
)
きに
過
(
す
)
ぐるが
如
(
ごと
)
しぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
画工はまた
予
(
あらかじ
)
め
其心
(
そのこころ
)
して、我を伴ひ
入
(
い
)
りぬ。先づ蝋燭一つ
点
(
とも
)
し、一つをば
猶
(
なほ
)
衣
(
ころも
)
のかくしの中に
貯
(
たくは
)
へおき、
一巻
(
ひとまき
)
の
絲
(
いと
)
の端を入口に結びつけ、さて我手を引きて進み入りぬ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人夫等岩崖を
仰
(
おほい
)
で唯
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
むるあるのみ、心は即ち帰途に
就
(
つ
)
くにあればなり、此に於て余等数人
奮発
(
ふんぱつ
)
一番、先づ
嶮崖
(
けんがい
)
を
攀登
(
はんとう
)
して其
登
(
のぼ
)
るを得べき事を
示
(
しめ
)
す、人夫等
猶
(
なほ
)
肯
(
がへ
)
んぜず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
... 一国をさゝでは
此哥
(
このうた
)
にかなはず、次下に、三輪山の事を綜麻形と書なせし事など相似たるに依ても、
猶
(
なほ
)
上の訓を取るべし」とあり、なお真淵は、「こは
荷田大人
(
かだのうし
)
のひめ
哥
(
うた
)
也。 ...
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
雪の
奇状
(
きじやう
)
奇事
(
きじ
)
其
大概
(
たいがい
)
は初編に
出
(
いだ
)
せり。
猶
(
なほ
)
軼事
(
てつじ
)
有
(
ある
)
を以此二編に
記
(
しる
)
す。
已
(
すで
)
に初編に
載
(
のせ
)
たるも事の
異
(
こと
)
なるは
不舎
(
すてず
)
して
之
(
これ
)
を
録
(
ろく
)
す。
盖
(
けだし
)
刊本
(
かんほん
)
は
流伝
(
りうでん
)
の
広
(
ひろ
)
きものゆゑ、初編を
読
(
よま
)
ざる
者
(
もの
)
の
為
(
ため
)
にするの
意
(
い
)
あり。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
其の生涯の孤獨といふ考には
心
(
こゝろ
)
から
同情
(
どうじやう
)
しながらも、
猶
(
なほ
)
他に
良策
(
りやうさく
)
があるやうに思はれてならなかツた。少くとも自分だけは、もう些ツと
温
(
あたたか
)
な、生涯を送りたいやうな氣がしてならなかツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
詞
(
ことば
)
もあやし、殊に日足もたけぬと見ゆ、雨なほそぼ降りて、けしきも心細し、さのみ行きいそぐべきにもあらず、人里に遠ざかりなばせんかたもあるまじ、
猶
(
なほ
)
くはしく尋ね問ひて鬼のこと言はば
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
父母に伴はれてエルサレムよりの帰るさ、弟子を伴ふてユダヤよりの帰途、
基督
(
きりすと
)
は如何に其なつかしき、つれなき程
猶
(
なほ
)
なつかしき其ふるさとをば眺め玉ひけむ。おゝあれがナザレか、近いかなナザレ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「そんなら
猶
(
なほ
)
悪いよ。そんな態度は享楽主義も初期ぢやないか。」
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
尤
(
もつと
)
も最初から逃げ出さなきや
猶
(
なほ
)
良いが、そこが
凡夫
(
ぼんぷ
)
の悲しさだ
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
猶
(
なほ
)
行末々
(
ゆくすえずえ
)
たがふまじと誓ひて過ぎたまふ。
急々如律令
(
きゅうきゅうにょりつりょう
)
。
敬白
(
けいはく
)
。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
兄は
猶
(
なほ
)
一碗の茶を喫すると、腰を上げてから
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
と云つたものゝ
猶
(
なほ
)
気の毒そうに眺めてゐた
夜汽車
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
猶
常用漢字
中学
部首:⽝
12画
“猶”を含む語句
猶太人
猶予
猶太
猶豫
猶且
猶更
猶々
猶子
御猶予
猶與
今猶
御猶子
猶太殿堂
猶又
猶悲
執行猶予
猶大
猶太教
猶太語
猶近
...