なほ)” の例文
難有ありがたぞんじます、ちツともねむくはござりません、前刻さツきからだあらひましたので草臥くたびれもすつかりなほりました。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それでは彼方あちらへ参つて、又皆さんに御心配を懸けるとけませんから、お庭を一周ひとまはりしまして、その内には気分がなほりますから、さうしてお座敷へ参りませう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふるくから、ひとつた有名いうめい引手茶屋ひきてぢやや。それが去年きよねん吉原よしはら火事かじけて、假宅かりたく營業しやうばいをしてたが、つゞけて營業しやうばいをするのには、なほしをしなくてはならぬ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
りませう。誰がこんな気違きちがひにはすつたのです。私気が違つてゐるなら、今朝から変に成つたので御座いますよ。お宅にあがつて気が違つたのですから、元の正気になほしてお還し下さいまし
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
初手しよてわかをとこばかりにいたが、段々だん/″\老人としよりにもおよぼして、のちには婦人をんな病人びやうにんもこれでなほる、なほらぬまでも苦痛いたみうすらぐ、根太ねぶとうみつてすさへ、びた小刀こがたな引裂ひツさ医者殿いしやどの腕前うでまへぢや
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴僧あなたまをせばなんでも出来できませうとおもひますけれども、此人このひとやまひばかりはお医者いしやでもみづでもなほりませなんだ、両足りやうあしちませんのでございますから、なにおぼえさしましてもやくにはちません。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)