なほ)” の例文
焼味噌のすこし黒焦くろこげに成つたやつを茶漬茶椀かなんかに入れて、そこへ熱湯にえゆ注込つぎこんで、二三杯もやつて見給へ。大抵の風邪はなほつてしまふよ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
長吉がもとへあやまりに遣られる事必定なれば、三五郎は口惜しさを噛みつぶして七日十日と程をふれば、痛みの場處のなほると共に其うらめしさも何時しか忘れて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
正太は大人らしうかしこまりて加減が惡るいのですかと眞面目に問ふを、いゝゑ、と母親怪しき笑顏をして少し經てばなほりませう、いつでも極りの我まゝさん、嘸お友達とも喧嘩しませうな
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はゝゝゝゝ、瀬川君の病気は不良わるくなるのも早いし、くなるのも早い。まあ大病人のやうに呻吟うなつてるかと思ふと、また虚言うそを言つたやうになほるから不思議さ——そりやあ、もう、毎時いつも御極りだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
正太は大人らしうかしこまりて加減が悪るいのですかと真面目に問ふを、いいゑ、と母親怪しき笑顔をして少し経てばなほりませう、いつでも極りの我ままさん、さぞお友達とも喧嘩しませうな
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『なあに、最早なほつたんだよ。明日は是非出掛ける。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
三五郎は口惜くやしさをみつぶして七日十日と程をふれば、痛みの場処のなほると共にそのうらめしさも何時いつしか忘れて、かしらの家の赤ん坊が守りをして二銭が駄賃をうれしがり、ねんねんよ、おころりよ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
母親はゝおやあやしき笑顏ゑがほをしてすこてばなほりませう、いつでもきまりのわがまゝさんさぞ友達ともだちとも喧嘩けんくわしませうな、眞實ほんにやりれぬぢようさまではあるとてかへるに、美登利みどりはいつか小座敷こざしき蒲團ふとん抱卷かいまき持出もちいでゝ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)