おこたり)” の例文
彼は次第にその人と近づきになり、さうしてその間、おこたりなき注意をこの人に払つて彼の知遇を得るために努めたので、相手の態度だけはいつも見逃さないだけになつた。
老師らうしといふのは五十格好がつかうえた。赭黒あかぐろ光澤つやのあるかほをしてゐた。その皮膚ひふ筋肉きんにくことごとくしまつて、何所どこにもおこたりのないところが、銅像どうざうのもたらす印象いんしやうを、宗助そうすけむねけた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
店で商いを致しながら父の看病をおこたりなく致しまする故か、孫右衞門の病気も怠った様でございますが、頓と身体が利きません、先ず中気の様に成りました、仕方がないから家主藤兵衞とうべえへ相談の上
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またおこたり快楽けらくさそうて1600
老師というのは五十格好がっこうに見えた。赭黒あかぐろ光沢つやのある顔をしていた。その皮膚も筋肉もことごとくしまって、どこにもおこたりのないところが、銅像のもたらす印象を、宗助の胸に彫りつけた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)