稚兒ちご)” の例文
新字:稚児
小指は家中うちぢゆう祕藏兒ひざうつこ、泣蟲の小僧だが、始終母親の腰巾著になつて引摺られてゐるから、まるで啖人鬼女ひとくひをんなの口にぶらさが稚兒ちごのやうだ。
五本の指 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
婦人ふじんたちの、一度いちどをさましたとき、あの不思議ふしぎめんは、上﨟じやうらふのやうに、おきなのやうに、稚兒ちごのやうに、なごやかに、やさしくつて莞爾につこりした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
芝居へ出て來る先代萩せんだいはぎの千松のやうに、たもとの長い絹物の紋附を着て、頭も顏もお稚兒ちごさんのやうに綺麗になつて居ましたが、不思議なことに、はかまの裾はぼけて、足は見えませんでした
稚兒ちごになつて出た町の小娘たちの中で、髮のひ振り、顏の作りから、着物のがら、身の𢌞はりのこしらへまで、すべてが都風みやこふうで、支度したくに大金をかけた町長の娘にも光を失はしたお光のうはさは
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
乳房によりそふ稚兒ちごの如く
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
美くしう稚兒ちごめくひとと
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
稚兒ちごひとり恐怖おそれをしらず
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
まだけがれを知らぬ清淨しやうじやう少女をとめり出して、稚兒ちごに立てねばならなかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
稚兒ちごありや、懷かしき
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
稚兒ちごひとり小籠こかごすわ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
『君はもうお稚兒ちごに出られないだらうな。』と、小池は笑つた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)