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児
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ちご
ふりがな文庫
“
児
(
ちご
)” の例文
旧字:
兒
「にくげなる
児
(
ちご
)
を、おのれが心地にかなしと思ふままに、うつくしみ遊ばし、これが声の真似にて、言ひけることなど語りたる」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
児
(
ちご
)
を静かに寝床にうつして、
女子
(
をなご
)
はやをら
立
(
たち
)
あがりぬ。
眼
(
め
)
ざし
定
(
さだ
)
まりて口元かたく結びたるまゝ、畳の破れに足も取られず、心ざすは何物ぞ。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
児
(
ちご
)
を愛する人たちもこれをよく記憶していて、喜びにつけ悲しみにつけ、始終地蔵さんの前に来て、いろいろの願いごとをしては拝んでいた。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
愛執に依って蛇となったは、『沙石集』七に、ある人の娘鎌倉若宮僧坊の
児
(
ちご
)
を恋い、死んで児を悩死せしめ、蛇となって児の
尸
(
しかばね
)
を
纏
(
まと
)
うた譚あり。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
行歩
(
ぎやうぶ
)
に
叶
(
かな
)
へる者は、吉野十津川の方へ落ゆく。
歩
(
あゆみ
)
もえぬ老僧や、尋常なる修業者、
児
(
ちご
)
ども
女
(
をんな
)
童部
(
わらんべ
)
は、大仏殿、
山階
(
やましな
)
寺の内へ我先にとぞ
迯
(
にげ
)
行ける。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
▼ もっと見る
「心ときめきするもの。——雀のこがひ。
児
(
ちご
)
あそばする所の前わたりたる。よき
薫物
(
たきもの
)
たきて一人
臥
(
ふ
)
したる。
唐鏡
(
からのかがみ
)
の少しくらき見いでたる。云々。」
めくら草紙
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
矢よりも
疾
(
はや
)
く
漕寄
(
こぎよ
)
せた、同じ
童
(
わらべ
)
が
艪
(
ろ
)
を押して、より幼き他の
児
(
ちご
)
と、親船に寝た
以前
(
さき
)
の船頭、三体ともに船に
在
(
あ
)
り。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
児
(
ちご
)
が
嶽
(
たけ
)
というけわしい峯が御陵のうしろにそびえたち、
千仞
(
せんじん
)
のふかい谷底からは雲霧がわきあがってくるので、眼前のものさえはっきりしない心地がされる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
仲国はむろん団十郎で、
小督局
(
こごうのつぼね
)
が秀調、小女房
冷泉
(
れいぜい
)
が新蔵、「高野物狂」では
高師四郎
(
たかしのしろう
)
が団十郎、
児
(
ちご
)
龍若が
女寅
(
めとら
)
であったが、取分けて仲国が優れてよかった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
また
筍
(
たけのこ
)
の皮を男のおよびごとに入れてめかかうして
児
(
ちご
)
をおどせば顔赤めてゆゆしうおぢたるかた云々
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ここまで話して、黒い外套の怪婦人は、呪の宝石を弔い顔に
児
(
ちご
)
ヶ
淵
(
ふち
)
の荒波を見詰めました。
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
直ぐ向うのならびが岡の
兼好
(
けんこう
)
が書いた遊びずきの法師達が、
児
(
ちご
)
を連れて落葉に
埋
(
うず
)
めて置いた弁当を探して居やしないか、と
見廻
(
みま
)
わしたが、人の影はなくて、唯小鳥の
囀
(
さえず
)
る声ばかりした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
音にきゝたる
児
(
ちご
)
が
岳
(
たけ
)
とは今白雲に蝕まれ居る
峨〻
(
がゞ
)
と聳えし
彼
(
あの
)
峯ならめ、さては此あたりにこそ
御墓
(
みしるし
)
はあるべけれと、ひそかに心を配る折しも、見る/\
千仭
(
せんじん
)
の谷底より霧漠〻と湧き上り
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
先づ
大網
(
おほあみ
)
の湯を
過
(
すぐ
)
れば、
根本山
(
ねもとやま
)
、
魚止滝
(
うおどめのたき
)
、
児
(
ちご
)
ヶ
淵
(
ふち
)
、
左靱
(
ひだりうつぼ
)
の険は
古
(
ふ
)
りて、
白雲洞
(
はくうんどう
)
は
朗
(
ほがらか
)
に、
布滝
(
ぬのだき
)
、
竜
(
りゆう
)
ヶ
鼻
(
はな
)
、
材木石
(
ざいもくいし
)
、
五色石
(
ごしきせき
)
、
船岩
(
ふないわ
)
なんどと
眺行
(
ながめゆ
)
けば、
鳥井戸
(
とりいど
)
、
前山
(
まえやま
)
の
翠衣
(
みどりころも
)
に染みて、
福渡
(
ふくわた
)
の里に
入
(
い
)
るなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
春の雨高野の山におん
児
(
ちご
)
の
得度
(
とくど
)
の日かや鐘おほく鳴る
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
灌仏
(
かんぶつ
)
や捨子則ち寺の
児
(
ちご
)
其角
(
きかく
)
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
飾磨
(
しかま
)
郡増位山随願寺の
会式
(
えしき
)
で僧俗集まり宴
酣
(
たけなわ
)
なる時、薬師寺の
児
(
ちご
)
小弁は
手振
(
てぶり
)
に、桜木の小猿という児は詩歌で座興を助けるうち争論起り小猿打たる
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
傍
(
そば
)
には
可愛
(
かあゆ
)
き
児
(
ちご
)
の
寐姿
(
ねすがた
)
みゆ。
膝
(
ひざ
)
の上には、「無情の君よ、我れを打捨て給ふか」と、殿の
御声
(
おこゑ
)
ありあり聞えて、
外面
(
そとも
)
には
良人
(
をつと
)
や
戻
(
もど
)
らん、更けたる月に霜さむし。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
うす紅梅の
児水干
(
ちごすいかん
)
をきせて、漢竹の
楊条
(
ようじょう
)
を腰にささせたらば、あわれ何若丸とか名乗る山門の
児
(
ちご
)
として悪僧ばらが
渇仰随喜
(
かつごうずいき
)
の
的
(
まと
)
にもなりそうな美しく勇ましい児ぶりであった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
松
(
まつ
)
柏
(
かしは
)
は奥ふかく
茂
(
しげ
)
りあひて、
二一
青雲
(
あをぐも
)
の
軽靡
(
たなび
)
く日すら
小雨
(
こさめ
)
そぼふるがごとし。
二二
児
(
ちご
)
が
嶽
(
だけ
)
といふ
嶮
(
けは
)
しき
嶽
(
みね
)
背
(
うしろ
)
に
聳
(
そばだ
)
ちて、千
仞
(
じん
)
の
谷底
(
たにそこ
)
より
雲霧
(
くもきり
)
おひのぼれば、
咫尺
(
まのあたり
)
をも
鬱俋
(
おぼつかな
)
きここちせらる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
道々西洋人と
小児
(
こども
)
の姿を見なかったかと聞き乍ら、
金亀楼
(
きんきろう
)
の前から
児
(
ちご
)
ヶ
淵
(
ふち
)
の方へ、行こうとして、フト見ると、私等の前へ、道の無い所を右へ切れて、黒貂外套が藪を分けて行くのです。
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
宇治は、
嵯峨
(
さが
)
は。——いや、いや、南禅寺から将軍塚を山づたいに、
児
(
ちご
)
ヶ
淵
(
ふち
)
を抜けて、音羽山
清水
(
きよみず
)
へ、お参りをしたばかりだ、というと、まるで、御詠歌はんどすな、ほ、ほ、ほ、と笑う。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
をさなき
児
(
ちご
)
むかひ居て散りかかりたる花を拾ひとるかたある所をよめる
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「『あはれ、
残
(
のこり
)
すくなき世に、おひ出づべき人にこそ』とて、抱きとり給へば、いと心やすくうち笑みて、つぶつぶと肥えて白ううつくし。大将などの
児
(
ちご
)
生
(
お
)
ひ、ほのかに思し出づるには似給はず。」(「同」)
物語の絵画化についてなど
(新字旧仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
母が心の
何方
(
いづかた
)
に走れりとも知らで、乳に
倦
(
あ
)
きれば乳房に顔を寄せたるまゝ思ふ事なく
寐入
(
ねいり
)
し
児
(
ちご
)
の、
頬
(
ほう
)
は
薄絹
(
うすぎぬ
)
の
紅
(
べに
)
さしたるやうにて、何事を語らんとや、
折々
(
をり/\
)
曲
(
ま
)
ぐる口元の愛らしさ
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
児
常用漢字
小4
部首:⼉
7画
“児”を含む語句
嬰児
孩児
女児
幼児
小児
赤児
児童
男児
童児
児女
児戯
遺児
私生児
稚児
混血児
迷児
狗児
乳児
天児屋根命
児曹
...