“遺児”のいろいろな読み方と例文
旧字:遺兒
読み方割合
わすれがたみ77.8%
いじ5.6%
かたみ5.6%
のこしご5.6%
わすれご5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
五十に近い私が、お嬢さまに求婚するなどと笑ひ話にもなりません。実は、当人と申すのは私の倅、今年二十五になります。亡妻の遺児わすれがたみです。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
年寄りはそれは御苦労なこったという顔をしてうなずいて、その節榑立ふしくれだった指さきで、もとの同僚の遺児いじの頬を不憫そうに撫でた。トシは人見知りをしない子で、すぐあいそ笑いをした。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
私自身を言うて見ても、秩父ちゝぶ暴動と云ふことは、明治の舞台を飾る小さき花輪になつて居るけれ共、其犠牲になつた無名氏の一人の遺児かたみが、父母より譲受ゆづりうけた手と足とを力に
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
だが、その遺児のこしごにまで、どうこう考えてやるほどな好意はない。反対に、ふと頭をかすめたのが、日頃から彼の最も嫌忌している穢の心配だった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旧主の遺児わすれごに会った親しさをもって答えたが、実之助は、市九郎の声音こわねに欺かれてはならぬと思った。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)