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遺児
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わすれがたみ
ふりがな文庫
“
遺児
(
わすれがたみ
)” の例文
旧字:
遺兒
五十に近い私が、お嬢さまに求婚するなどと笑ひ話にもなりません。実は、当人と申すのは私の倅、今年二十五になります。亡妻の
遺児
(
わすれがたみ
)
です。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
だから、その無理は止めるとして、その代りに、人様の生んだ子だ。しかもその家にとっては嘗て心棒であった先妻の生んで遺していった
遺児
(
わすれがたみ
)
だ。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かくて僕
去
(
いぬ
)
る日、黄金ぬしに追れしより、かの
月丸
(
つきまる
)
が
遺児
(
わすれがたみ
)
、僕及び大王を、
仇敵
(
かたき
)
と狙ふ由なりと、金眸に告げしかば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
おそらく夫を失って
遺児
(
わすれがたみ
)
のあの少年の養育に専念するためであったろうと想像すると、私にはこの清らかな音楽家の心事に心から共鳴感の叫べるような
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
してその親とは……とこう問い問われてきてはじめて黒川孝蔵の
遺児
(
わすれがたみ
)
たることが分る段取りにはなるのである。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
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遺児
(
わすれがたみ
)
の山県紋也は、尊王事件をあばき立てたところの、裏切り者の張本人の、桃ノ井久馬の遺児の、桃ノ井兵馬とこのようにして、今や露骨に向かい合った。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……大金持ちの
遺児
(
わすれがたみ
)
で、この上もない親孝行者で……とか何とかいうので、学校の成績のよかった事や
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
六波羅
(
ろくはら
)
の清盛や小松殿の一門とも、肩をならべていた左馬頭義朝の
紛
(
まぎ
)
れない
遺児
(
わすれがたみ
)
なのである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
立花博士の
遺児
(
わすれがたみ
)
、今年十四になる綾子は、
呆気
(
あっけ
)
に取られて正平爺やの顔を見詰めました。
水中の宮殿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
五十に近い私が、お嬢さまに求婚するなどと笑い話にもなりません。実は、当人と申すのは私の
倅
(
せがれ
)
、今年二十五になります。亡妻の
遺児
(
わすれがたみ
)
です。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
われは
爾
(
なんじ
)
が
毒牙
(
どくが
)
にかかり、非業にも最期をとげたる、月丸が
遺児
(
わすれがたみ
)
、黄金丸といふ犬なり。
彼時
(
かのとき
)
われ母の胎内にありしが、その
後
(
のち
)
養親
(
やしないおや
)
文角ぬしに、
委敷
(
くわし
)
き事は聞きて知りつ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
それと同時にまた一方——
御嶽
(
おんたけ
)
方面の郡代からは、御嶽山上に籠っているマドリド司僧の
遺児
(
わすれがたみ
)
の御嶽冠者が一味を率い、降り積もる雪を踏み分けて押し寄せて来るとの風聞を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
品夫はたしかに
氏素性
(
うじすじょう
)
のハッキリしない者の娘で、しかも変死者の
遺児
(
わすれがたみ
)
に相違無いのです。つまり、その犯人が捕まらないために、何もかもが
有耶無耶
(
うやむや
)
に葬られた形になっているので……
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
北上川の河床の
隧道
(
トンネル
)
を入って、水中宮殿の絵図面を筋彫にした銅板を手に入れた立花博士の
遺児
(
わすれがたみ
)
の綾子と、そのお友達の燿子、燿子の兄で有名な水泳選手の翠川健一少年は、誰とも知れぬ者に
水中の宮殿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あげくに良人の資朝は、討幕の元兇とあって佐渡ヶ島で斬られ、その
遺児
(
わすれがたみ
)
四人をかかえて、ここに落ちぶれ果てている親子なのだった。しかも子供らの生命すらも決して安心なのではなかった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「藤井右門の
遺児
(
わすれがたみ
)
としては、お粂は
己
(
おれ
)
には怨敵だが、しかし
己
(
おれ
)
はあの女が好きだ。手に入れて
自由
(
まま
)
にした上で、息の根を止めてやることにしよう」——で源兵衛にも
旨
(
むね
)
を含め
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
木曽の大領義明に打ち滅ぼされた
西班牙
(
イスパニア
)
の司僧マドリド教主の
遺児
(
わすれがたみ
)
の
千曲姫
(
ちくまひめ
)
と申す者こそ、仮に
妾
(
わらわ
)
の娘となり、この篠井に住みましたなれど、今は行方を
眩
(
く
)
らまして、
窃
(
ひそ
)
かに敵を狙っている筈。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
誅
(
ちゅう
)
せられたマドリド司僧には男女二人の
遺児
(
わすれがたみ
)
があるとのこと、今頃は既によい年頃、恐らく二人とも木曽のお館を父の
仇敵
(
かたき
)
と思い詰めて、付け狙いおるも計れず、いやいや人
伝
(
づ
)
てに聞くところでは
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「好い娘だな。別嬪だな。月姫殿の
遺児
(
わすれがたみ
)
かな?」
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“遺児”の意味
《名詞》
遺児(いじ)
親が死んでしまった子。
捨て子。
(出典:Wiktionary)
遺
常用漢字
小6
部首:⾡
15画
児
常用漢字
小4
部首:⼉
7画
“遺”で始まる語句
遺
遺憾
遺骸
遺書
遺物
遺言
遺恨
遺品
遺跡
遺漏