ちご)” の例文
新字:
しき夫人おくがたむかへたまひぬともあいらしきちごうまたまふとものつらさがおもはるゝぞとてほろ/\と打泣うちなけばお八重やへかなしく
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
贄櫃モンストランチアの前には、ちごあまた提香爐ひさげかうろを振り動かして歩めり。これに續きたるは、こゝらあたりの美しき少女をり出でて、花の環を取らせたるなり。
此白衣は膝のあたりまで屆きて、寺に仕ふるちごの着るものに同じかりき。母上はかく爲立てゝ、我を鏡に向はせ給ひき。
ちごしづかに寢床ねどこうつして女子をなごはやをら立上たちあがりぬ、まなざしさだまりて口元くちもとかたくむすびたるまゝ、たゝみやぶれにあしられず
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はゝこゝろ何方いづかたはしれりともらで、ちゝきれば乳房ちぶさかほせたるまゝおもことなく寐入ねいりちごの、ほゝ薄絹うすぎぬべにさしたるやうにて、何事なにごとかたらんとや折々をり/\ぐる口元くちもとあいらしさ
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その活けるが如き預言者等の形は一個々皆大册の藝術論の資をなすに餘あるべし。その力量ある容貌風采とこれを圍める美しき羽あるちごの群とは、我眼を引くこと磁石の鐵を引く如くなりき。
そばには可愛かはゆちご寐姿ねすがたみゆ、ひざうへには無情むじやうきみれを打捨うちすたまふかと、殿との御聲おんこゑあり/\きこえて、外面そともには良人をつともどらんけたるつきしもさむし、たとへば良人をつといま此處こゝもどらせたまふとも
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)