かつ)” の例文
そして、そのすべてがかつゑて死んだ餓鬼の如く痩せ衰へた姿で、どうして呉れる、どうして呉れると叫ぶのである。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
だがその前二年ってものは、馬鹿めが! あいつはかつえていやがったんだよ。奴は乞食をする、盗みはやる、人殺しをやる、おまけに飢死うえじにと来るんだからなあ!
かつえた雄鷄おんどり一生懸命いつしやうけんめいさがしはじめました。ほかとりひろはれないうちに、自分じぶんむしつけるためには、いやでもおうでもばなければりませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
窮屈な文部省の綱目に支配された女学校の課程の中で、教育だけは先生の自由にまかされていたと見え、飢えかつえていた若い知識慾が、始めて満される泉を見出したのであった。
弟子の心 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
敵味方とも牛乳ミルクや新しい肉にかつゑてゐるので、うとかして、自分達の塹壕に引張り込まうとするが、ひよつくり頭でも出すと、直ぐ弾丸たまが鳴つて来るので、そんな険呑けんのんな真似も出来なかつた。