かつ)” の例文
青木愛之助が、如何いかに刺戟にかつえていたからとて、又彼がどれ程の賞金をけたとて、金ずくで自由になる事柄ではないのだ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そんならくが好い。丁度ステーションのそばに何軒か普請中ふしんちゆううちも有るから、煉瓦でも運んで居りや、かつゑもしまい。たゞ酒だけはつゝしむんだぞ。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
が、それは罠の中の餌に、わしが喰ひ付いたのと、丁度同じだつたのだ。彼奴は、わしを散々かつゑさした揚句、わしの旧知を買収して、わしに罠をかけたのだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「おやおや、こん畜生、行儀がよくていやがらあ、こんなにせっこけてかつえているくせに」
「猪のはん、女護の島へ行きなはつた折の話しとくなはれ、猪のはんみたいな男でも、女子をなごはんが大勢で引ツ張らはりましたやろ。……皆かつゑてゐやはるさかい。おほゝゝゝ。」
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
売溜うりだめ金子かねはいくらあろうと鐚一銭びたいちもんでも手出てだしをしめえぜ。金子で買ってしのぐような優長な次第わけではないから、かつえてるものは何でも食いな。寒い手合は、そこらにあるきれでも襯衣しゃつでも構わず貰え。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほんたうに親子拾何人がかつゑるでせう。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
とうとう洞窟内でかつえ死んでしまう。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、それは罠の中のえさに、俺が喰い付いたのと、丁度同じだったのだ。彼奴は、俺を散々かつえさした揚句、俺の旧知を買収して、俺に罠をかけたのだ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)