かつ)” の例文
いのがあつたら二つばかりかついツて、ねえさんが小遣こづけえれやしたから、何卒どうぞわつし丁度ちやうどさそうな世辞せじがあつたらうつておんなせえな。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
汽車きしや新橋しんばし昨夜さくや九時半くじはんつて、今夕こんせき敦賀つるがはいらうといふ、名古屋なごやでは正午ひるだつたから、めし一折ひとをりすしかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつでもおなことみゝにたこが出來できくすりにはならぬ、さけでもかつてくれまぎれにんでやうと
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此花このはなうしたんです。かつたんですか」といた。三千代はだまつて首肯うなづいた。さうして
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あなかず孔中こうちゆう堂宇だうゝの二證據しようこで、石は雲飛うんぴのものといふにきまり、石賣は或人より二十兩出してかつしなといふことも判然はんぜんして無罪むざいとなり、かくも石は首尾しゆびよく雲飛の手にかへつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
五両も六両もかりてるもんに一銭があになるべいと思つたが、よく/\思ひ直して、今夜つける油もねいから、よし/\これで蝋燭らふそくちやうかつてぢいさんとふたり暗闇くらやみで今夜泣くとこを、このおかげに
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
卯平うへい其麽そんな果敢はかない仕事しごとでも、かれ身體からだとゞこほりなくまた勘次かんじとのあひだ融和ゆうわされてるならばかれきなコツプざけの一ぱいかたむけるついでに、さけびんかつ勘次かんじあたへることさへ不自由ふじいうかんじもしなければ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かつたと申が然樣さやうに相違無やと尋ぬるに十兵衞脇差を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いたからとてかつてやらうとひと猶更なほさらなし、あの時近處ときゝんじよかはなりいけなりあらうならわたしさだめげて仕舞しまひましたろ、はなしはまことの百分一、わたし其頃そのころからくるつたのでござんす
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
請取し時さし出したるなりと云にしかと夫に相違なきやと申せば然樣さやうに御座りますと云時原田シテ其脇差わきざしは何所からかつた其賣口は知て居樣ゐやうなと云れ治助は甚だ氣味わるく思ひながら其品そのしなは稻荷町の十兵衞と申者の宿やどに於てきよ月のいち買取かひとりたり然し其節は二十品ばかりの買物かひものにて賣主はたれやらしかとは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)