かつ)” の例文
新字:
くはかついで遺跡ゐせきさぐりにあるき、貝塚かひづかどろだらけにつてり、その掘出ほりだしたる土器どき破片はへん背負せおひ、うしていへかへつて井戸端ゐどばたあらふ。
かれこもつくこをかついでかへつてとき日向ひなたしもすこけてねばついてた。おしな勘次かんじ一寸ちよつとなくつたのでひどさびしかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
サン やい、グレゴリー、誓言せいごんぢゃ、こちとらは石炭コールなんぞはかつぐまいぞよ、かりにも。(不面目な賤しい仕事しごとなんぞはすまいぞよ)
續いて、ドツと立ち騷ぐ人垣、鳴物も踊り手も後見も、不意の出來事に驚きながらも、この美しい犧牲いけにへを、八方からかつきあげたのです。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「それで一日いちんち幾何いくらすといてれるんです」と小六ころくいた。「鐵砲てつぱうでもかついでつて、れふでもしたら面白おもしろからう」ともつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此日雲飛はちにつた日がたので明方あけがた海岱門かいたいもんまうで見ると、はたして一人のあやしげな男が名石めいせきかついで路傍みちばたに立て居るのを見た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
鍬をかついで野路を行く人は誰れであるかと、千代松は若い時から自慢の眼の、強い視力のまだ衰へぬのを試すやうにしてゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
受し者なればお里のお豐は洗濯せんたくをし又惣内の甚兵衞は日傭ひよう駈歩行かけあるき手紙使てがみづかひつちこね草履ざうり取又は荷物にもつかつぎ何事に依ず追取稼おつとりかせぎを爲し漸々其日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大祝賀會だいしゆくがくわいもようすとのことその仕度したく帆木綿ほもめんや、ほばしらふるいのや、倚子いすや、テーブルをかつして、大騷おほさわぎの最中さいちう
大きな金持のところへはいつては、百兩二百兩といふ金をふんだくる。中には鐵砲をかついではいる者もあるといふ風で、深川ふかがは木場きば淺草あさくさ藏前くらまへで、非常に恐れた。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
貧乏びんぼうなればこそしゞみかつがせて、此寒空このさむそらちいさなあし草鞋わらじをはかせる親心おやこゝろさつしてくだされとて伯母おばなみだなり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もう此時このときは、ひと御神輿おみこしかつぐのでない。龍頭りうとうまた鷁首げきしゆにして、碧丹へきたん藍紅らんこういろどれる樓船やかたぶねなす御神輿おみこしはうが、いますれいとともに、ひとなみおもふまゝるのである。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みんなが威勢ゐせいよくみづんだりかついだりするのをるのもたのしおもひました。そればかりではありません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
けれど、實際じつさいはそれこそ麻雀マージヤン人達ひとたち魅惑みわくする面白おもしろさなので、だれしもすこしそれにしたしんでくるといつとなくそのそのとき縁起えんぎまでかつぐやうになるのも愉快ゆくわいである。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
信吾は好んで其麽そんな問題をかつぎ出し、對手に解らぬと知り乍ら六ヶ敷い哲學上の議論までする。氣をつけて聞けば、其謂ふ所に、或は一貫した思想も意見も無かつたかも知れぬ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
するとアグレイアは彼の方へ飛んで行つて、叫ぶ、「とうちやん、ダムズをお家へ連れてつて。」彼は彼女を肩にかつぎ上げて、矢張り粉挽の歌をうたひながら、路の向うの家へ歸つて行く。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
天幕をかついで
「文公、六助、久太——又惡戯わるさか。いくら貰つたか知らないが、止せ/\、そいつは人殺しの片棒だ。迂濶うくわつかつぐと命がねえぞ」
振分ふりわけにして、比較的ひかくてきかるさうなのをかついでると、おもいのおもくないのと、おはなしにならぬ。肩骨かたぼねはメリ/\ひゞくのである。
もう幾人いくにんあるいたあとなので、おもふやうにはけなかつたがそれでも勘次かんじはおしなにひかされて、まだのこつて蒟蒻こんにやくかついでかへつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それで準備じゆんびをして、下男げなん藥箱くすりばこかつがせ、多田院ただのゐんからのむかへのしやきにてて、玄竹げんちくはぶら/\と北野きたのから能勢街道のせかいだう池田いけだはうあるいた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これよとおほせらる、一しきりおはりての午後ひるすぎ、おちやぐわしやまかつめば大皿おほさら鐵砲てつぽうまき分捕次第ぶんどりしだい沙汰さたありて、奧樣おくさま暫時しばしのほど二かい小間こまづかれをやすたま
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
權勢家けんせいかなにがしといふが居てこの靈妙れいめうつたき、一けんもとめた、雲飛うんぴ大得意だいとくいでこれをとほして石を見せると、なにがしも大に感服かんぷくしてながめて居たがきふぼくめいじて石をかつがせ
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
着せたるをとこ六個むたりかつがせ音羽へ至り路次口にまたせ置つゝ進入り昨日きのふれいのべたる上𫥇人なかうどを立て良辰よきひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なに稼業かげふならいではないか、天秤棒てんびんぼうかついだつて楫棒かぢぼうにぎつたつて、だれに、なにきまりがわるいね。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのてんでとりわけ物事ものごと縁起えんぎかつ支那人しなじん如何いか苦心くしん焦慮せうりよするかはいろいろかたられてゐることだが、まつたほかのことでは如何いかなるかつでもないぼく麻雀マージヤンとなると
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
『それ、このに。』と武村兵曹たけむらへいそう紀念塔きねんたふかついではしたので、一同いちどうつゞいて車外しやぐわいをどで、日出雄少年ひでをせうねん見張みはりやくわたくしつちる、水兵すいへいいしまろばす、武村兵曹たけむらへいそう無暗むやみさけ
大桶を二つかついで、お定は村端むらはづれの樋の口といふ水汲場に行つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かつぎ出し、不忍の池へ投り込めるわけはねえ。お吉は間違ひもなく水を呑んでゐるから、池へ投り込まれる前は生きてゐた筈だ
みつはと振り返へると、横のこみちからくはかついで來た百姓に小腰をかゞめつゝ、物をいてゐたが、やがて嬉しさうな顏をして小走りに小池に追ひ付き
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「どうしたもんだかな、おれでもかついてあるつてんべかな、かうしていたんぢややうねえかんな」おしな相談さうだんしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れば平日ひごろまでに臆病おくびやうならざるはいも、船出ふなでさいかく縁起えんぎいはひ、御幣ごへいかつぐもおほかり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おもて鹽物しほものやが野郎やらうと一しよに、しゞみしてはあしおよぶだけかつまわり、野郎やらうが八せんうれば十せんあきなひひはかならずある、一つは天道てんたうさまがやつこ孝行かう/\見徹みとほしてか、なりかくなり藥代くすりだいは三がはたら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日けふ天氣てんきいからとて、幻花子げんくわし先導せんだうで、狹衣さごろも活東くわつとう望蜀ばうしよくの三が、くわかついで權現臺ごんげんだい先發せんぱつした。あとからつてると、養鷄所やうけいじよ裏手うらて萱原かやはらなかを、四にんしきりに掘散ほりちらしてる。
急ぐ物から大家たいけの事ゆゑ出入でいりの者まで萬事行屆かする其爲に支度にかゝりて日を送りまだ當日さへさだめざりけりさても此方は裏店うらだな開闢かいびやく以來いらい見し事なき釣臺三荷の結納物をかつぎ入ける爲體ていたらくに長家の者は目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たうかついで武村兵曹たけむらへいそういきらしながら大佐たいさむか
多勢の彌次馬は、此時やうやく氣がついたやうに、母娘おやこ二人に手を貸して、死骸をあまり遠くないお樂の茶店にかつぎ込みました。
蝙蝠傘かうもりがさかつぐやうにして、お光は肩で息をしてゐた。薄鼠の絽縮緬ろちりめん羽織はおりは、いで手に持つてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
昨日きのふ川田かはだやがみせでおちやつぴいのお六めと惡戲ふざけまわして、たくもない往來わうらいへまでかつしてちつたれつ、あんないた了簡りようけんすゑげられやうか、まあ幾歳いくつだとおもふ三十は一昨年おとゝし
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……そしてくるまいた商人あきんどの、一人々々ひとり/\穗長ほながやりいたり、かついだりしてかたちが、ぞろ/\かげのやうにくろいのに、椰子やししげつたうへへ、どんよりと黄色きいろた、つきあかりで、白刃しらはばかりが
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄子げんし器具きぐなどかつぎ、鶴見つるみにて電車でんしやり、徒歩とほにて末吉すゑよしいた。
平次のさう言ふ顏色を讀むと、ガラツ八はつい目と鼻の先の物置に飛んで行つて、三間梯子ばしごを輕々と引つかついで來ました。
玄竹げんちく藥箱くすりばこなりおもいものであつた。これは玉造たまつくり稻荷いなり祭禮さいれい御輿みこしかついだまちわかしうがひどい怪我けがをしたとき玄竹げんちく療治れうぢをしてやつたおれいもらつたものであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
今日けふよりはわたしうちかへりて伯父樣おぢさま介抱かいほう活計くらしたすけもしまする、らぬこととて今朝けさまでも釣瓶つるべなわこほりらがつたは勿躰もつたいない、學校がくかうざかりのとししゞみかつがせてあねなが着物きものきてらりようか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あたりは蝙蝠傘かうもりがさかついで、やごゑけて、卍巴まんじともえを、薙立なぎた薙立なぎた驅出かけだした。三里さんり山道やまみち谷間たにまたゞ破家やぶれや屋根やねのみ、わし片翼かたつばさ折伏をれふしたさまなのをたばかり、ひとらしいもののかげもなかつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それで一先ひとまづそれを、雜木林ざふきばやしなかかつんで。
「その上文句も、小唄の文句のやうで、身につまされるところはないぢやないか。お前がかつがれたんでなきや、辰三が一杯喰はされたに違ひない」
ふねがまた一間半けんはんばかりきしはなれたとき玄竹げんちく下男げなんうながして兩掛りやうがけをかつがせ、大急おほいそぎできしけて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
太吉たきち何時いつしかだいより飯櫃めしびつとりおろして、よつちよいよつちよいとかつす、坊主ぼうずれがそばいとてつむりでつゝはしるに、こゝろなにおもふとなけれどしたおぼえのくてのどあなはれたるごと
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あきれた野郎だ——抱くと言つて惡きや、ちよいとかついで見るが宜い。そいつを二三十動かすにはどんな力が要るか」