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驅出
幾度か
越前街道の
往來に
馴れて、
賃さへあれば、
俥はひとりで
驅出すものと
心得て
居たからである。しかし、
此の
上下には、また
隨分難儀もした。
せめての
腹愈しには、
吾鐵拳をもつて
彼の
頭に
引導渡して
呉れんと、
驅出す
袂を
夫人は
靜に
留めた。
私を
起して
下され、
何故か
身躰が
痛くてと
言ふ、それは
何時も
氣の
立つまゝに
驅出して
大の
男に
捉へられるを、
振放すとて
恐ろしき
力を
出せば
定めて
身も
痛からう
生疵も
處々にあるを