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かつ
ふりがな文庫
“
曽
(
かつ
)” の例文
旧字:
曾
真実
(
ほんと
)
に愛せられることも
曽
(
かつ
)
てなかった。愛しようと思う鶴さんの心の奥には、まだおかねの亡霊が潜み
蟠
(
わだか
)
まっているようであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
吉本さんは
曽
(
かつ
)
て浅見先生の家塾に身を寄せていたこともあるという。捨吉に取ってのこの二先輩はそれほど深い縁故を有っていた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尠
(
すくな
)
くとも時雄の孤独なる生活はこれによって破られた。昔の恋人——今の細君。
曽
(
かつ
)
ては恋人には相違なかったが、今は時勢が移り変った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
曽
(
かつ
)
て若い頃にこの「日本の伝説」を読んで、半分でも三分の一でも記憶して居て下さる人であったら、興味は恐らくやや深められたことと思います。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いや大助との交わりも親友だと信じているのは大助のほうで、秀之進はそういう意味を表示したことは
曽
(
かつ
)
てなかった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
去年か今年か、なんでも
曽
(
かつ
)
てこんな楽しい記憶があったように思いながら、小坂部はそれが
何時
(
いつ
)
のことであったかを、はっきりと思い出すことが出来なかった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
出征した兄は
曽
(
かつ
)
てその町の祭礼に、喧嘩をして人を
傷
(
きずつ
)
けたことがあったし、柔道も初段になっていたような事から、両親のみならず仲人役の先生も兄の怒を恐れたのである。
噂ばなし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此者の咄、将軍家
曽
(
かつ
)
て伝聞の通り既ニ発足。東海道通行軍旅候て、人数五万と申事のよし、一件に付岩下左兄(
方平
(
みちひら
)
)早々蒸気船を以て御国許ニ帰られ、今月十日頃ニハ西吉兄(西郷吉之助)及
手紙:015 慶応元年閏五月五日 渋谷彦介あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
この常夜燈という三字、これを見てかれは胸を
衝
(
つ
)
いた。この三字をかれは
曽
(
かつ
)
て深い
懊悩
(
おうのう
)
を以て見たことは無いだろうか。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
寂しい暗い道を黙し勝ちに
辿
(
たど
)
って来た。彼は
曽
(
かつ
)
て自分が
基督
(
キリスト
)
教会で洗礼を受けたということまで、このお母さんに告げ知らせようともしなかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかしこんな話が弘まらぬ筈はない、なにしろ浜松城下を通じて珍しいような美男であるし、浪人に似合わず
身嗜
(
みだしな
)
みが良く、
月代
(
さかやき
)
も
髭
(
ひげ
)
も
曽
(
かつ
)
て伸びたところを見せない。
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたくしは
曽
(
かつ
)
てこの逸事を
角田音吉
(
つのだおときち
)
氏が水野越前守と題した活版本について見たのである。
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
恩人の家の方へ帰って来て見ると、捨吉は
未
(
いま
)
だ
曽
(
かつ
)
てその屋根の下で
遭遇
(
であ
)
ったことも無いような動きの渦の中に立った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
芳子の家は新見町でも第三とは下らぬ豪家で、父も母も厳格なる
基督教信者
(
クリスチャン
)
、母は
殊
(
こと
)
にすぐれた信者で、
曽
(
かつ
)
ては同志社女学校に学んだこともあるという。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
曽
(
かつ
)
て将軍家光から師範に懇望されたこともあるが、既に柳生、小野の二家がある以上は無用のことだと云って受けず、その気骨と特異の刀法を以て当代の一勢力を成していた。
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
冨山房も大きな本屋ですが私が
曽
(
かつ
)
て春陽堂から出した「下谷叢話」を是非出さしてくれと云うから改訂して出すと、後から郵便で出版契約書を送って来て印をおせと云うのです。
出版屋惣まくり
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
城代家老の
満信
(
みつのぶ
)
文左衛門は温厚な徳人である。思慮綿密、喜怒を色に表わさず、
曽
(
かつ
)
て人を
叱
(
しか
)
ったことなく、声をあげて笑わず、沈着寛容、常に春風
駘蕩
(
たいとう
)
といった人格であった。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
堂後の崖に在ったヒュースケンの墳墓が、もし無事に残っていたなら、わたくしが
曽
(
かつ
)
て見た一
樹
(
じゅ
)
の梅は、十余年の星霜を経ただけその幹を太くし、間もなく花をさかすであろう。
墓畔の梅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おせんがある医者のところへ
嫁
(
かたづ
)
いたという噂は、何か重荷でも卸したように、大塚さんの心を離れさせた。
曽
(
かつ
)
て彼の妻であった人も、今は最早全く他人のものだ。それを彼は実際に見て来たのだ。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
曽
(
かつ
)
てわたくしは小説作法なるものを草して、小説をつくろうとする青年に示して、小説述作の基礎とすべきものは人物に対する観察と、全篇を構成すべき思想とである事を説いた。
細雪妄評
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……笙子嬢はひどく
羞
(
はに
)
かんで、
俯向
(
うつむ
)
いて、肩をすぼめるような姿勢で(これまで
曽
(
かつ
)
て見たことのない)
嫋々
(
なよなよ
)
とした身ごなしでそこへ坐り、しなしなと両手をつき、甘い、溶けるような声で云った。
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御落胤は
痩
(
や
)
せているのではないか、
曽
(
かつ
)
て出奔し去った五人の婿の如く、……すでにかなり痩せて、眼光はとろんとなり、唇は垂れ
蒼
(
あお
)
ざめて、常に虚脱的なべそをかいて、漠然と天床や壁を見たり
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
保守的な国許ではこんな縁組は
曽
(
かつ
)
てなかった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“曽”の解説
曽(そう、曾)は、漢姓のひとつ。『百家姓』の385番目。
2020年の中華人民共和国の第7回全国人口調査(国勢調査)に基づく姓氏統計によると中国で32番目に多い姓であり、805.85万人がいる。一方、台湾の2018年の統計では第17位で、338,779人がいる。
(出典:Wikipedia)
曽
常用漢字
中学
部首:⽈
11画
“曽”を含む語句
曽祖父
曽祖母
曽孫
木曽路
木曽川
曽遊
木曽義仲
木曽駒
未曽有
曽而
木曽
木曽冠者義仲
曽我
湯桧曽
木曽義仲公
湯檜曽
長曽弥虎徹
長曽我部氏
木曽渓
阿古久曽
...