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舁
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かつ
ふりがな文庫
“
舁
(
かつ
)” の例文
も一人は、
鋤
(
すき
)
を
舁
(
かつ
)
いだ。そして、大熊を刺し撲殺して麓の村のわが家へ持ち込んだのだ。なんと勇ましく、命がけのことではないか。
香熊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
親の代から長屋で成長し、現在では共同して
辻駕籠
(
つじかご
)
を
舁
(
かつ
)
いでいる銀太と金太という二人の若者は、中んずく
斯様
(
かよう
)
に公言しておった。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
踊りがすっかり済みますと、最前の舞い姫が又大勢現われて、二人を胴上げをするように
舁
(
かつ
)
ぎ上げて、雪の塔の絶頂に登りました。
雪の塔
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
持って、外へ出ると言えば八人
舁
(
かつ
)
ぎの
轎
(
かご
)
で出るくせに、エラクないだって、ふん、そんなことを言ってわたしを
瞞
(
だま
)
すつもりですかい
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
不平だけでは旗じるしとして
舁
(
かつ
)
ぐに足らない。やはり家門は良くなければならず、人物、器量、声望もある人でなければならない。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「解らないことを言うナア——なにも、そんな訳で親を
舁
(
かつ
)
ぎ出したんじゃなし——奉公人は親ぐらいに思っていなくって使われるかい」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
門前に足を止めて見下ろすと、勿論会葬者などの群れは無くて、ただその駕籠を
舁
(
かつ
)
いで来たらしい二三の人足の影が見えるばかりである。
寺町
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
そこで、当番御目付土屋長太郎、橋本
阿波守
(
あわのかみ
)
は勿論、大目付
河野豊前守
(
こうのぶぜんのかみ
)
も立ち合って、一まず手負いを、
焚火
(
たきび
)
の
間
(
ま
)
へ
舁
(
かつ
)
ぎこんだ。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、いいいい、地蔵様の前へ、男が二人で
密
(
そっ
)
と
舁
(
かつ
)
ぐと、お道さんが、笠を伏せて、その上に帯を解いて、畳んで枕にさせました。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
喬は孝廉の家へいって、連城を
弔
(
とむら
)
ってひどく悲しむと共にそのまま息が絶えてしまった。孝廉はそれを
舁
(
かつ
)
がして喬の家へ送りとどけさした。
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
といったのは
前棒
(
さきぼう
)
の駕籠屋。偶然にも、その駕籠を
舁
(
かつ
)
いで行く
権三
(
ごんざ
)
と
助十
(
すけじゅう
)
は、あのとき机竜之助を乗せた二人であるらしい。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
船室に残つてゐた
単衣
(
ひとへ
)
と夏帽子とを棺に入れて
舁
(
かつ
)
ぎ、お袋さんがおい/\泣きながら棺の後について行つてH院の共同墓地に埋めましたがね
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
舁
(
かつ
)
ぐ人足は雲助で、五十三次の駅々に問屋があって、そこへ藩の者といって、掛合えば幾人でも雲助を出してくれる。また荷馬も出してくれる。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
何でも女房は仆れた
儘
(
まゝ
)
気絶した様子でしたが其暇に検査官は亭主を引立て
直様
(
すぐさま
)
戸表
(
とおもて
)
に待せある馬車へと
舁
(
かつ
)
いで行きました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
洋服
出立
(
いでたち
)
で鉄砲をもった若い男三四人、それに兎だの鴨だの一ぱい入れた
網嚢
(
あみぶくろ
)
を
舁
(
かつ
)
いだ男が一人——此れは島の者だ——どやどや騒いで立って居る。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
その夜おそく一挺の駕籠が、その屋敷から
舁
(
かつ
)
ぎ出された。戸ヶ崎熊太郎と清三郎とが、駕籠の左右に附き添っていた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
気紛
(
きまぐ
)
れにこの土地へ
御輿
(
みこし
)
を
舁
(
かつ
)
ぎ込んだものだったが、銀子がちょっと
気障
(
きざ
)
ったらしく思ったのは、いつも
折鞄
(
おりかばん
)
のなかに入れてあるく
写真帖
(
しゃしんちょう
)
であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たとえば祭礼の日にも宿老たちだけは、
羽織
(
はおり
)
袴
(
はかま
)
で
扇子
(
せんす
)
をもってあるくが、
神輿
(
みこし
)
を
舁
(
かつ
)
ぐ若い衆は派手な
襦袢
(
じゅばん
)
に新しい
手拭鉢巻
(
てぬぐいはちまき
)
、それが
定
(
き
)
まった晴着であった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あちらこちらの
杉
(
すぎ
)
の下に車などを
舁
(
かつ
)
ぎおろして、木の間にかしこまりながら源氏の通過を目送しようとした。
源氏物語:16 関屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ええッ。——」と同じようにインバネスに中折帽子という
扮装
(
いでたち
)
の向うの二人は
駭
(
おどろ
)
きの声をあげ、二人で
舁
(
かつ
)
いでいる第三の人物を地面に取り落しそうにした。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
駕籠
(
かご
)
を
舁
(
かつ
)
ぐ人足でも無人のときには
吾々
(
われわれ
)
は
問屋場
(
といやば
)
に
行
(
いっ
)
て頼んでヤッと出来た処に、アトから例の葵の紋が来ると、出来たその人足を横合から取られて仕舞う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
人々の満足そうな微笑みのうちに轎は静かに
舁
(
かつ
)
ぎ上げられて、ゆらりゆらりと進み始めるのであったが
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
赤児の
風呂桶大
(
ふろおけほど
)
の
飯櫃
(
おはち
)
が持て来られる。食事
半
(
なかば
)
に、七右衛門爺さんが来て切口上で挨拶し、棺を
舁
(
かつ
)
いで御出の時
襷
(
たすき
)
にでもと云って新しい手拭を四筋置いて往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
曾が二人の僕に
一甕
(
ひとかめ
)
の
薬浸酒
(
やくしんしゅ
)
を
舁
(
かつ
)
がしてきたので、二人はそれを飲みつくすことにして飲んだが、甕の酒はもうなくなりかけたのに、二人はなおまだ酔わなかった。
黄英
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
普通葬列は、馬に引かれず、人の肩に棒で
舁
(
かつ
)
がれて行くべきだ。それも巡警の疑念を深くした。が、二人の巡警は、棺車を守る七八人の屈強な男の敵じゃなかった。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
乘せたれども
舁
(
かつ
)
ぎ
人
(
て
)
のなきゆえ後藤は
膝
(
ひざ
)
を
打
(
うち
)
是
(
これ
)
はしたり氣の付ざりしがこんな事なら惡漢の二三人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
たゞね、
舁
(
かつ
)
ぐやうで変だけど、あたし、これまで、二度も人の世話になつて、二度とも、いざ正式につていふことになると、不思議によくないことがあるんですからね。
浅間山
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
加州の家来
奥村主殿
(
おくむらとのも
)
、若党四人に大唐櫃を
舁
(
かつ
)
がせ、手代りの人足二人を従え、外に侍姿の若い男——
大野
(
おおの
)
の
鶴次郎
(
つるじろう
)
と連れ立って茶店の縁台にドカドカと腰をおろしました。
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その余の者は思い思いの半裸のすがた、
抜身
(
ぬきみ
)
の
大刀
(
たち
)
を肩にした数人の者を先登に、あとは一抱えもあろうかと思われるばかりの
檜
(
ひのき
)
の丸太を四五人して
舁
(
かつ
)
いで参る者もあり
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
世間からは故人に
佞
(
ねい
)
しもしくは故人を
舁
(
かつ
)
いだものかのように受取られたことが多いのです。
子規と和歌
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
折からこの地の
祇園祭
(
ぎおんまつり
)
で
樽神輿
(
たるみこし
)
を
舁
(
かつ
)
いだ子供や大供の群が目抜きの通りを練っていた。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
玄関
(
げんくわん
)
の
式台
(
しきだい
)
へ戸板に載せて
舁
(
かつ
)
ぎ込まれたのは、薩州の陣所へ
入浸
(
いりびた
)
つて半年も帰つて来ぬ朗然和上が、法衣を着た儘三条の
大橋
(
おほはし
)
で
会津方
(
あひづがた
)
の浪士に一刀眉間を遣られた
負傷
(
ておひ
)
の姿であつた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
時に或いは神輿を
舁
(
かつ
)
ぐ等の事をなしたが、主として警察事務に従事したのであった。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
仮にこれを演劇に
譬
(
たと
)
へて見ると今千両役者が甘酒の荷を
舁
(
かつ
)
いで花道を出て来たといふやうな有様であつて、その主人公はこれからどうするか、その位置さへいまだ定まらずに居る処だ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
私は椅子に二本の竹を渡したものに乘つかつて急坂を
舁
(
かつ
)
がれて行つた。昨夜リヤカーを曳いてくれた若者の他に洋服を著た土地の人も汗を流し息を切らして舁いで呉れてゐるのであつた。
横山
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
結婚式のある久左衛門の裏口から出て来た参右衛門は、袴をつけたまま、荷物を荷馬車の上に
舁
(
かつ
)
ぎこんだ。馬子が手綱で一つひっ叩くと、
鬣
(
たてがみ
)
を振り上げた馬は躍り上り、車が動いていった。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
通行の者が認め
直
(
ただ
)
ちに駈附けたるに同家の主人にして愛猟家たる近藤進(三〇)は全身に大火傷を
蒙
(
こうむ
)
りて書斎の
床上
(
しょうじょう
)
に打ちたおれ苦悶中なりしをもって即刻附近の医院に
舁
(
かつ
)
ぎこみて応急手当を
鼻に基く殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
其側
(
そのそば
)
を
小使
(
こづかひ
)
や、
看護婦
(
かんごふ
)
が
靴
(
くつ
)
で
煉瓦
(
れんぐわ
)
の
床
(
ゆか
)
を
音高
(
おとたか
)
く
踏鳴
(
ふみなら
)
して
往來
(
わうらい
)
し、
病院服
(
びやうゐんふく
)
を
着
(
き
)
てゐる
瘠
(
や
)
せた
患者等
(
くわんじやら
)
が
通
(
とほ
)
つたり、
死人
(
しにん
)
も
舁
(
かつ
)
ぎ
出
(
だ
)
す、
不潔物
(
ふけつぶつ
)
を
入
(
い
)
れた
器
(
うつは
)
をも
持
(
も
)
つて
通
(
とほ
)
る。
子供
(
こども
)
は
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ、
通風
(
とほりかぜ
)
はする。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其処
(
そこ
)
へまた下男の一人は大きい重箱二つを一荷にして
舁
(
かつ
)
いで来ました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
平井勝家に会うて
手水
(
ちょうず
)
を請うに、
缸
(
かめ
)
に水満ちて小姓二人
舁
(
かつ
)
ぎ出し、平井洗手済んで残れる水を小姓庭へ棄てたので平井還って城内水多しと告げ、一同疑惑するところへ勝家撃ち出で
勝軍
(
かちいくさ
)
したと記す。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
舁
(
かつ
)
ぐの孤児戦場に
趁
(
おもむ
)
く
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
父の墓地は岡の上の小松の
側
(
わき
)
と定まつて、
軈
(
やが
)
ていよいよ野辺送りを為ることになつた時は、住み慣れた小屋の軒を
舁
(
かつ
)
がれて出た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
纏
(
まと
)
いを威勢よく
舁
(
かつ
)
いで、館林の町をはじめ、近所近在の消防組を狩り集め、十数里の路を、一瞬の間に厩橋城下へ駆けつけた。
老狸伝
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
孝廉はその言葉に従って、連城の死骸を
舁
(
かつ
)
がせて来たが、その室に入ったところを見ると、もう生きかえっていた。連城は父を見ていった。
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
中でも松平
兵部少輔
(
ひょうぶしょうゆう
)
は、ここへ
舁
(
かつ
)
ぎこむ途中から、最も親切に
劬
(
いたわ
)
ったので、わき眼にも、情誼の
篤
(
あつ
)
さが忍ばれたそうである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
駕籠舁
(
かごかき
)
にもしたたか飲ませているものだから、見ていられない恰好をしてこの騒ぎの中へ、よたよたと
舁
(
かつ
)
ぎ込んだものです。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
火に迫られて下宿の家族と一しよに私が駒込西ヶ原へ避難する時、修一は私の重い
柳行李
(
やなぎがうり
)
を肩に
舁
(
かつ
)
いでくれたりした。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「大日殿でござったか。それはそれはご苦労千万」番卒の中の頭目らしい老年の武士はこう云ったが武者之助の背後に
舁
(
かつ
)
ぎ据えられた
輿
(
こし
)
へ鋭く眼を注ぎ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すすめられたのは
轎
(
かご
)
である。前後八人の子分が
舁
(
かつ
)
ぐ。いうまでもなくここはすでに梁山泊下の一
寨
(
さい
)
であったのだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちに大勢の舞姫は踊りながらだんだん二人へ近寄って来て、手に手に二人を
舁
(
かつ
)
ぎ上げたと思うと、そのまま踊りをやめて雪の塔の中へ連れ込みました。
雪の塔
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
舁
漢検1級
部首:⾅
9画
“舁”を含む語句
舁夫
舁出
舁込
駕籠舁
駕舁
御輿舁
手舁
棺舁
輿舁
舁上
舁据
籠舁
舁揚
轎舁
駕籠舁共
舁入
舁役
舁者
舁送
駕籠舁夫
...