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舁据
行先が
案じられて、
我にもあらずしよんぼりと、
門に
彳んで
入りもやらぬ、
媚しい
最明寺殿を、
手を
採つて
招じ
入れて、
舁据ゑるやうに
圍爐裏の
前。
君御用の
品なれば
費用は
構はず
急ぎ
造りて
參らすべしと
命じてより
七日を
經て
出來しけるを、
御居室の
縁に
舁据ゑたるが、
善美を
盡して、
眼を
驚かすばかりなりけり。
縁側を
背後に、
端然と坐った、お君のふっくりした
衣紋つきの帯の処へ、中腰になって
舁据えて置直すと、正面を
避けて、お君と
互違いに肩を並べたように、どっかと坐って