かつ)” の例文
フランス文学にあらわれているこういう真面目な収穫は、今日の所謂いわゆる事変かつの入った作家たちに深く暗示するところあるわけなのだが。
もしこの超人にかつをいれて、彼をさますことができたとしたら、「超人X号」は、ここに始めてこの世に誕生するわけになる。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
在るが故によろこぶべきか、きが故にいたむべきか、在る者は積憂の中にき、亡き者は非命のもとたふる。そもそもこのかつとこの死とはいづれあはれみ、孰をかなしまん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
夏の日永ひながのだるい時などは、絶息したまま五分も道場に死んでいて、それからかつを入れさせると、生れ代るような好い気分になる——ただし人の話だが。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、ひとりが河原かわらりていくと、ひとりは竹童ちくどうきおこしてかつをいれ、口に水をあたえただけで、ことばはかけずにスタスタといきぎてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ舞台には一方から、署長とその部下とがけつけて来た。が、偽目くらと挌闘中、ピストルの弾丸たまあたった巡査は、もう昏々こんこんと倒れていた。署長はすぐにかつを入れた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今までぐでん/\に酔いしれていた国経は、急にかつを入れられたようにしゃんとして立っていた。言葉も呂律ろれつが廻らなかったのが、てきぱきした物云いで、りん/\と響き渡るように云った。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
武術のかつ——それを、そのままソッと、指さきが、絶気している子どもの、鳩尾みぞおちに当てられる。かすかに、その先きに力がはいると、ピリピリと、小さい、和らかいからだが、神経的にうごめいた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そこへマートン技師が駆けつけて、かつを入れてくれたので、ネッドは息をふきかえした。助けられた者も、助けた者も、共に顔はまっ黒で、全身から油がしたたり、まるで油坊主のようであった。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「じゃあ、かつをいれてみようか」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)