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担
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かつ
ふりがな文庫
“
担
(
かつ
)” の例文
旧字:
擔
中畑さんが銃を
担
(
かつ
)
いで歩いているのである。帽子をあみだにかぶっていた。予備兵の演習召集か何かで訓練を受けていたのであろう。
帰去来
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その四人の侍が、長方形の箱を
担
(
かつ
)
いでいる。と、その後から二人の侍が、一挺の
厳
(
いか
)
めしい駕籠に付き添い、警護するように現われた。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
裸のベラン氏は助手に
担
(
かつ
)
がれ、横になってその孔から硝子壜の中に入った。氏は中に長々と寝ながら、満足そうな笑みを浮べている。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「だけれど、心配しないでくんな。おら、用がすめば帰ってくるよ。ここへ帰ってくるよ。みんなの好きな土産をうんと
担
(
かつ
)
いで——」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからその荷物を運んで
遣
(
や
)
ろうと云うので、
夜具包
(
やぐづつみ
)
か何の包か、風呂敷包を
担
(
かつ
)
いだり
箪笥
(
たんす
)
を担いだり中々働いて、段々
進
(
すすん
)
で行くと
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
世界的団長自ら広告
幟
(
のぼり
)
を
担
(
かつ
)
いで、ビラを配って、浅草
界隈
(
かいわい
)
を歩いているなんて、なんとまあインチキな、人を喰ったしわざであろう。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いまから考えてみればあの時代の私の懐疑は新思想を
担
(
かつ
)
ぎ廻って新しがらんがための懐疑であり、自己の虚栄心に
媚
(
こ
)
びんがための
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
ままよと濡れながら行けばさきへ行く一人の大男身にぼろを
纏
(
まと
)
い肩にはケットの
捲
(
ま
)
き
円
(
まる
)
めたるを
担
(
かつ
)
ぎしが
手拭
(
てぬぐい
)
もて顔をつつみたり。
旅の旅の旅
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
町へ出る時にも、やっぱり米友は
烏帽子
(
えぼし
)
を
冠
(
かぶ
)
って
白丁
(
はくちょう
)
を着ておりました。それから例の杖に油壺をくくりつけて肩に
担
(
かつ
)
いでおりました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
で、五月と六月のふた月はやはり竹槍を
担
(
かつ
)
ぎ歩いていたんですが、さすがに悪いことだと気がついて、怱々に故郷へ逃げて帰りました。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
道満
(
どうまん
)
と
晴明
(
せいめい
)
が
右左
(
みぎひだり
)
に
別
(
わか
)
れて
席
(
せき
)
につきますと、やがて
役人
(
やくにん
)
が四五
人
(
にん
)
かかって、
重
(
おも
)
そうに大きな
長持
(
ながもち
)
を
担
(
かつ
)
いで
来
(
き
)
て、そこへすえました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「オクレているっては、あなたのことでしょう。こんなオモチャ、大まじめな顔で
担
(
かつ
)
ぎこんでくるなんて、頭の程度が知れるわね」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あれからすぐ病院へ
担
(
かつ
)
ぎこんだのよ。けどその時はもう駄目だったのね。お小水が詰まって、三日目にお
陀仏
(
だぶつ
)
になってしまったの。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それを支那の下男が石油缶へ移して
天秤棒
(
てんびんぼう
)
で
担
(
かつ
)
いで、どこかへ持って行く。風呂に
浸
(
つか
)
りながら、どこへ持って行くんだろうなと考えた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
というは、
轎夫
(
きょうふ
)
として
担
(
かつ
)
げば、相当の
賃銭
(
ちんせん
)
を受ける一つの商売である。しかし壮丁として行くのは公利公益のために力を尽すのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
巧
(
うま
)
く拵えて膏薬を貼って居て「これだから
担
(
かつ
)
げません」と云うから「
手前
(
てめえ
)
は
何
(
ど
)
のくらい力がある」「
私
(
わたくし
)
は五十人力ある」と云うと
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
診察室の隣の座敷の方には、そこにも医者の身内の遭難者が
担
(
かつ
)
ぎ込まれているとみえて、怪しげな断末魔のうめきを放っていた。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
多勢の野次馬は、このとき
漸
(
ようや
)
く気がついたように、
母娘
(
おやこ
)
二人に手を貸して、死骸をあまり遠くないお楽の茶店に
担
(
かつ
)
ぎ込みました。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが真柄の領内で、この太刀を
担
(
かつ
)
げる百姓はたった一人で、常に家来が四人で
荷
(
にな
)
ったというから、七尺八寸という方が本当かも知れない。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
鍬
(
くわ
)
を肩に掛けた男もあり、
肥桶
(
こえおけ
)
を
担
(
かつ
)
いで腰を
捻
(
ひね
)
って行く男もあり、
爺
(
おやじ
)
の煙草入を腰にぶらさげながら随いて行く児もありました。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は、今朝、五時間も歩き回った揚句、
空
(
から
)
の獲物
嚢
(
ぶくろ
)
を提げ、頭をうなだれ、重い鉄砲を
担
(
かつ
)
いで帰って来た。
暴風雨
(
あらし
)
の来そうな暑さである。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「あの、
屑屋
(
くず
)
いって。踊にゃないね、問屋でも芝居でもなけりゃ、それじゃ、
外
(
ほか
)
にゃねえ、屑い、屑いッて、
籠
(
かご
)
を
担
(
かつ
)
いだ、あれなんで?」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おらあかどわかしの片棒を
担
(
かつ
)
ぐなあまっぴらだ」と文次が云った、「尤も、百両というのも怪しいし、娘の来るっていうのも怪しいがな」
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
以来私は絵の道具を
担
(
かつ
)
いで坂路を登ることを大変
厭
(
いや
)
がるようになった、坂路を見ると目がくらむ心地が今もなおするのである。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
と云ううちに、二人の塩漬けの樽と鞄を結びつけた棒を
担
(
かつ
)
ぎ上げて、まだお酒の残っている樽を右手に持ちながら梯子段を降り初めました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
私から
引
(
ひ
)
っ
攫
(
たく
)
り取った鞄を、片手にヨチヨチと、
鍬
(
くわ
)
を
担
(
かつ
)
いで通りかかった下男が、またその鞄を受取って、甥を取り巻いて
洟
(
はな
)
を垂らしながら
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
家の側面にある
白樫
(
しろかし
)
の下には、蟻が、黒い長い一列になつて進軍して居るのであつた。彼等の或るものは大きな家宝である食糧を
担
(
かつ
)
いで居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
ことに電線が邪魔になる位な巨大な紙張りの人形を作り、それを日中から
担
(
かつ
)
ぎまわるなどは秋田
能代
(
のしろ
)
にも新潟にも宇都宮にもないことである。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼の文学が軍国主義者に
担
(
かつ
)
がれたのも、軍人のもつ表面的な気質と趣味、そのセンチメンタリズムと、反女性的な態度とによったものであった。
迎合せざる人:尾崎士郎の文学
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
本当
(
ほんと
)
かね、お前さん、あまり
出抜
(
だしぬ
)
けで、私も
担
(
かつ
)
がれるような気がするよ。じゃ、本当に立つとすると、今日何時だね。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
瀕死
(
ひんし
)
の者を
担
(
かつ
)
いでる男の肩に反射し、貧しい事物や
凡庸
(
ぼんよう
)
な人々の上に広がって、すべてが温和になり聖なる栄光を帯びる。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
其れから
皆
(
みん
)
なして
遺骸
(
おからだ
)
を、御宅へ
担
(
かつ
)
いで
参
(
めえ
)
りましたが、——御大病の
御新造様
(
ごしんぞさま
)
が
態々
(
わざ/\
)
玄関まで御出掛けなされて、御丁寧な
御挨拶
(
ごあいさつ
)
、すると旦那
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そしてこの天幕の
裡
(
うち
)
を、夢の姿を以て満しましょう。
皆
(
みんな
)
に重い悲哀を
担
(
かつ
)
がせて、よろよろと行き悩ませてやりましょう。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
若党与作に素槍を
担
(
かつ
)
がせ、同じく熊蔵を従えた主従十一人鎖帷子厳重に、馬子人足と共に二十人の一群、一文字の道を上野の城下へ乗入れてくる。
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
と安子さんが
担
(
かつ
)
がれたことを覚った時には、もう一方の縁側から忍び込んだ芳子さんが机の中の写真を盗み出していた。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
はじめにとびあがった男が、綱を
担
(
かつ
)
いで引きよせた。
舷
(
げん
)
はぴったり棧にくっついた。けれどもひどく揺れた。先をあらそってとび上るからである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
かなり
厖大
(
ぼうだい
)
なトランクを二つ
担
(
かつ
)
いで来て、それぞれの位置にそれを置いて、自分は、一行の一番
端
(
はず
)
れに老紳士と並んで坐り、
頻
(
しき
)
りに何か話し初めた。
動かぬ女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
尤
(
もつと
)
も女に惚れられても、大した損はする男にあらず。
永井荷風
(
ながゐかふう
)
、ゴンクウル、
歌麿等
(
うたまろら
)
の信者なりしが、この頃はトルストイなどを
担
(
かつ
)
ぎ出すことあり。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしはわっと云ったのですが、それといっしょにわたしは電車に触れて気を失って、病院へ
担
(
かつ
)
ぎ込まれていたのです
雪の夜の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼ハ郁子ヲ
担
(
かつ
)
ギ込ンデカラソノママ寝室デウロウロシテイタノダガ、(腰掛ケルニモ
餘分
(
よぶん
)
ノ
椅子
(
いす
)
ガナイノデ、僕ノ寝台ト妻ノ寝台ノ間ニ立ッテイタ)
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
頗る
背高
(
のッぽう
)
で、大の男四人の肩に
担
(
かつ
)
がれて行くのであるが、其方へ眼を向けてみると、まず肩が見えて、次に長い
疎髯
(
まばらひげ
)
、それから漸く頭が見えるのだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
おくみには
担
(
かつ
)
がれて行く桶のなまぬるいやうな水に、赤い色がせぎ/\に動いてゐるのが目に見えるやうな気がした。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
ことに、小籠の
担
(
かつ
)
ぎ荷役が、ウインチ捲きになってから、急激に遭難者が増した。ロープが切れて落下した大籠の下敷きになって、死んだ者は多い。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
棺台に載せて、四人して
担
(
かつ
)
いだ。——そして、そのあとから、身寄りのもの、念仏衆、村のたれかれ、見物がてらの子守ツ子たちがぞろ/\と続いた。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
峠を越して少し下り道のところで若者に別れ、これからは独りでかなり重い道具を
担
(
かつ
)
いでゆく。
何処
(
どこ
)
も霧で、数間先もよく見えぬ、心細いこと夥しい。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
太田が用意された担架の上に移されると、二人の看病夫はそれを
担
(
かつ
)
いで病舎を出て行った。
肥
(
ふと
)
った医務主任がうつむきかげんにその後からついて行く。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
杖
(
つえ
)
には長く
天秤棒
(
てんびんぼう
)
には短いのへ、
五合樽
(
ごんごうだる
)
の
空虚
(
から
)
と見えるのを、
樹
(
き
)
の皮を
縄
(
なわ
)
代
(
がわ
)
りにして
縛
(
くく
)
しつけて、それを
担
(
かつ
)
いで
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
七八年前の冬休みに、
兎
(
うさぎ
)
を一匹
需
(
もと
)
めて、弟と
交互
(
かたみ
)
に
担
(
かつ
)
いで、勤先から帰省したことが、ふと彼れの心に浮んだ。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
一団の先頭には騎馬に
跨
(
またが
)
った反絵が立った。その後からは、
盾
(
たて
)
の上で輝いた数百本の
鋒尖
(
ほこさき
)
を従えた卑弥呼が、六人の兵士に
担
(
かつ
)
がれた乗物に乗って出陣した。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
坂の中段もとに
平生
(
ふだん
)
並んで居る左右二頭の
唐獅子
(
からじし
)
は何処へか
担
(
かつ
)
ぎ去られ、其あとには中々馬鹿にはならぬ舞台花道が出来て居る。
桟敷
(
さじき
)
も左右にかいてある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
“担”の解説
担(たん dàn、本来は擔)は、中国の伝統的な質量の単位である。
1担は100斤と定義されているが、1斤の定義が国によって異なるため、1担の大きさもそれによって異なる。中国大陸の市制ではちょうど50 kg、香港では60.478982 kg、台湾の台制では日本の尺貫法に従い、ちょうど60 kgとなる。
(出典:Wikipedia)
担
常用漢字
小6
部首:⼿
8画
“担”を含む語句
荷担
差担
担桶
荷担夫
担売
加担
担架
引担
加担人
担保
担夫
担棒
担荷
担込
御幣担
石担
担人
担当
一担
分担
...