-
トップ
>
-
引担
チラリ/\と雪が
降出しましたから、
傘を借り、番場の森松と云う者が番傘を
引担いで供をして来ますと、雪は追々積って来ました。
丹治はもう山におるのが
厭になった。そこから向うの
渓へ降りる
捷径が
岐れている。丹治は銃を
引担いでその
径の方へ往きかけた。鶴は動かなかった。
濡色を
含んだ
曙の
霞の
中から、
姿も
振もしつとりとした
婦を
肩に、
片手を
引担ぐやうにして、
一人の
青年がとぼ/\と
顕はれた。
婦は、と
云ふと、
引担がれた
手は
袖にくるまつて、
有りや、
無しや、
片手もふら/\と
下つて、
何を
便るとも
見えず。