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嚇
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おど
ふりがな文庫
“
嚇
(
おど
)” の例文
それは本道筋を離れた御法度の脇往来にひとしいものだ、左様心得て居らぬと飛んだ災難に遭わぬとも限らぬぞと暗に
嚇
(
おど
)
している。
紙魚こぼれ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
江戸の侍の機嫌を損じると店の商売にかかわるばかりか、どんな
咎
(
とが
)
めを受けるかも知れぬぞと、彼女は主人から
嚇
(
おど
)
されて来たのである。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今朝の地震には
嚇
(
おど
)
かされました。何しろ地震と聞くと妙に神經質になつてゐるものですからですが、今朝のは確かに恐しい一つでした。
樹木とその葉:32 伊豆西海岸の湯
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
この頃んなって、信吉は、〔八字伏字〕というものについて、自分がどんなウソ八百をきかされ、
嚇
(
おど
)
かされていたか、つくづく知った。
ズラかった信吉
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ひょっとすると、この船中にこっそりと
潜
(
ひそ
)
んでいて、船客を
嚇
(
おど
)
かしておいて何かの物品を盗もうとする奴がいないとも限りません。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
▼ もっと見る
川勝
(
かわかつ
)
の寺の
堤
(
どて
)
で、賊と見誤られて財布を投げ出して行かれた、心にもなくそれに手をかけてみると、人を
嚇
(
おど
)
すことの
容易
(
たやす
)
いのに
呆
(
あき
)
れる。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
始めて鳥獣の
嚇
(
おど
)
しのこの人形を立てた人の心持は、これが自分達の姿のように見えて、相手を誤解させようというのではなかった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
女の子だから
嚇
(
おど
)
かせると思ってさ、この男のおばかさんたちはほんとにおかしいや。何をこわがろって言うのよ。なるほどそうね。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
などと
嚇
(
おど
)
しに人に逢うと喋るから怖くって惣次郎は
頓
(
とん
)
と
外出
(
そとで
)
を致しません、力に思う花車がいないから村の者も心配しております。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
リット少将は、
嚇
(
おど
)
したりすかしたりして、ハバノフ氏を口説きおとすのに大車輪の態だった。
老獪
(
ろうかい
)
とは、こういうところをいうのだろう。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あのお方なのでございますよ、左内様とお菊の仲を裂こうと、このごろしげしげとお越しになって、この私めを
嚇
(
おど
)
しますのは」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「玉井の奴が、組合を作ろうたって、出来るわけがないよ。それに、うちの親分から
嚇
(
おど
)
かされて、釘を刺されちょるけ、作りきりゃせん」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そこへまた、これくらいな
嚇
(
おど
)
しに乗せられて、尻込みするような自分ではないと云う、子供じみた負けぬ気も、幾分かは働いたのであろう。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
美妙の書斎のように
嚇
(
おど
)
かし道具を
列
(
なら
)
べる余地もなかったし、美妙のように何でも来いと
頤
(
あご
)
を
撫
(
な
)
でる
物識
(
ものしり
)
ぶりを発揮しなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
さんざんに
嚇
(
おど
)
かされたり
賺
(
すか
)
されたりして——それから気がついて見ると、いつの間にかお隅の身体は番人の腕の中に在ったとか言うことで。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
翌朝法界屋が立つて行つた後、お夏は門口に出て、其男の行つた秋田の方を眺め/\、
幾等
(
いくら
)
叱つても
嚇
(
おど
)
しても二時間許り家に入らなかつた。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
もし彼女から罰せられようとすると、病気になりかかって
嚇
(
おど
)
かした。それは彼が幼少なときから用いて成功してる策略だった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お初、もとより雪之丞の、真の手腕を知っているわけがない——
嚇
(
おど
)
して、追っぱらおうとしたが、例の、帯の間の
匕首
(
あいくち
)
を、キラリと抜くと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そしてある
晩
(
ばん
)
、にわかに甚兵衛の
所
(
ところ
)
へ
押
(
お
)
し入り、
眠
(
ねむ
)
ってる甚兵衛を
縛
(
しば
)
りあげ、
刀
(
かたな
)
をつきつけて、人形をだせと
嚇
(
おど
)
かしました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「君、大丈夫かい。今から
嚇
(
おど
)
かしちゃこのまま逃げるぞ。僕は癲癇なんてどうしたらいいんか知らないからね、僕にとっちゃ革命みたいだ。」
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私は心の中で彼の
嚇
(
おど
)
かしを笑つてゐた。「今私は道理に叶つたやうにあなたを喰ひ留めてゐられるのです。」と私は考へた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
松つぁんは
嚇
(
おど
)
かしに云っているのであるが、私たちは鳴子の音に驚く雀っ子のように、しんから震えて逃げ出したものだ。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
一人の威張りくさった白人の酔漢がヘンリに向い山刀を振上げて、「貴様の首をぶった切るぞ」と
嚇
(
おど
)
しつけたのだそうだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そして、こう言った時、突然彼の顔に不機嫌な影がさし、彼は片手に掴んでいる私の手を強く握ると、私の眼の前に
嚇
(
おど
)
すように人差指を挙げた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
「
嚇
(
おど
)
したって驚きやしないよ。吉川さんが余りうるさく附き纏うから、百合子は厭がって、逃げッちまったんでしょ」
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
コケ
嚇
(
おど
)
しでない、真の威力ができねばいけませんね。大切にお暮らしなさいませ。私はあなたの成長を祈っています。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
『
何故
(
なぜ
)
だと。』と、イワン、デミトリチは
嚇
(
おど
)
すやうな
氣味
(
きみ
)
で、
院長
(
ゐんちやう
)
の
方
(
はう
)
に
近寄
(
ちかよ
)
り、
顫
(
ふる
)
ふ
手
(
て
)
に
病院服
(
びやうゐんふく
)
の
前
(
まへ
)
を
合
(
あは
)
せながら。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
阿呆
(
あほ
)
らしい。———この手紙のことやったら、
中姉
(
なかあん
)
ちゃんに
云付
(
いつ
)
けてやる云うて、こないだから
嚇
(
おど
)
かされててんわ」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
鬼面
人
(
ひと
)
を
嚇
(
おど
)
すというやつだ——
妖
(
あや
)
しむことはない。恐れることもない。破邪の剣を
揮
(
ふる
)
って馳け崩してみろ。化けた孔明も
跣足
(
はだし
)
になって逃げ出すだろう。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
板刀麺
(
ばんとうめん
)
が喰いたいか、
餛飩
(
こんとん
)
が喰いたいか、などと分らぬことをいうて宋江を
嚇
(
おど
)
す処へ行きかけたが、それはいよいよ写実に遠ざかるから全く考を転じて
句合の月
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「ええ、わたしどもは御馳走になったよ。初めはお前のとこのものは、要らなかったんだが、ね、御覧、お前はわたしの蝦を
嚇
(
おど
)
かして逃してしまったよ」
村芝居
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
といつて、その言葉に
嚇
(
おど
)
される訳ではない。あの人にだつて、私とおんなじく別れるなどゝいふ意志が毛頭ないことを、私は何よりもようっく信じて居る。
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
そうすると、その老女は何か
辻褄
(
つじつま
)
の合わない
嚇
(
おど
)
し文句を残して、そのままいなくなってしまいました。それから間もなくご病気が起こったのだそうで……。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
それが途中警官に
嚇
(
おど
)
かされて追い帰されたり、渡し舟を隠されたりして、やっと利根川を渡れたのが半分です。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
次第に、荒々しい騒音が激しくなっていき、やがて
臆病
(
おくびょう
)
な犬のそれのように、
嚇
(
おど
)
しの、
喉
(
のど
)
をいっぱいにふくらませた、一つの叫び声にまとまっていくのだった。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ガロエイ卿は娘の方へジリジリと詰めよっていたが、彼は自分では小声のつもりで彼女を
嚇
(
おど
)
しつけていた。
秘密の庭
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
とはいへ彼らの老獪な詭弁も到底単純無垢な子供の慈悲心をくらますことができないのをみ、彼らは終に慣用手段の大きな声でひとを
嚇
(
おど
)
かしてしまはうとした。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
此
(
この
)
書面
(
しょめん
)
を
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
う
親御樣
(
おやごさま
)
へ
渡
(
わた
)
してくれいと
申
(
まう
)
され、
速
(
すみや
)
かに
此處
(
こゝ
)
を
立去
(
たちさ
)
らずば
殺
(
ころ
)
してしまふぞと
嚇
(
おど
)
されました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼は半信半疑の心で、自分自身を
嚇
(
おど
)
しながらも、黄金の都会へでも来ているかのように独り言を
囁
(
ささや
)
いた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
あゝ重右衛門がやたら無性に『マツチ一本お見舞ひ申しませうかな』と言つて人を
嚇
(
おど
)
かし、米や金を取つては生活を立てゝゐた、それにはいかなる警察も舌を巻き
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
金ぴかの燻んだのは、鼻髯の薄いのと一緒で、
他人
(
ひと
)
を
嚇
(
おど
)
しつけるのに余り都合のいいものではない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
このように日本人を軽蔑するフロベニウスであるから、フロベニウスの処へ行くなら、その積りで、よく覚悟をして行くがよかろうと、まあ大いに
嚇
(
おど
)
かされたのである。
回顧と展望
(新字新仮名)
/
高木貞治
(著)
冷え切つた小さい寝床の中に子供を
臥
(
ね
)
かして、彼は小声で半ば
嚇
(
おど
)
かすやうに半ば教へるやうに、是れからは決して夜中などにやんちやを云ふものでないと云ひ聞かせた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
どうするのかは言わなかったが何かを「思い知らしてやる」という不思議な
嚇
(
おど
)
し文句で、彼等を追っ払ってしまってから、一つ一つ正規の順序を逐うて病人を囘復させ
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「自分はただ頼まれたので、委しいわけは知らんが、君が当人をひどく
嚇
(
おど
)
かしたのが原因で気が狂ったそうじゃないか。そのために親類一同の者が大変君を怨んでいる」
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
第二の糸、第三、第四とすぐに捕虜の死ものぐるいの骨折りに打ち勝つてしまひます。で、今蜂は締められてゐますけれど、十分活きてゐるのです。そして
嚇
(
おど
)
してゐます。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
あーやって
嚇
(
おど
)
かして置くと、後で正直に仕事をすると思ったからさ、トレーガーを一日雇ったって、身代限りはしやしまいし、怒る奴があるものか、僕は何か掛け合う時は
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
獨
(
ひとり
)
で
畫
(
ゑ
)
を
書
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
るといへば
至極
(
しごく
)
温順
(
おとな
)
しく
聞
(
きこ
)
えるが、
其癖
(
そのくせ
)
自分
(
じぶん
)
ほど
腕白者
(
わんぱくもの
)
は
同級生
(
どうきふせい
)
の
中
(
うち
)
にないばかりか、
校長
(
かうちやう
)
が
持
(
も
)
て
餘
(
あま
)
して
數々
(
しば/\
)
退校
(
たいかう
)
を
以
(
もつ
)
て
嚇
(
おど
)
したのでも
全校
(
ぜんかう
)
第
(
だい
)
一といふことが
分
(
わか
)
る。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
なおもお六を
捉
(
つか
)
まえて、
嚇
(
おど
)
かしたり、すかしたり、一と晩がかりで責め抜いてみると
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嚇
(
おど
)
かしても
駄目
(
だめ
)
だよと
顏
(
かほ
)
を
振
(
ふり
)
のけるに、
憎
(
にく
)
らしい
當
(
あ
)
てられて
仕舞
(
しま
)
つたと
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
す。
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
嚇
常用漢字
中学
部首:⼝
17画
“嚇”を含む語句
威嚇
嚇々
嚇怒
威嚇的
脅嚇
畏嚇
嚇迫
大威嚇
嚇然
威嚇射撃
威嚇性
一嚇
恐嚇
犬嚇
猪嚇
畏嚇法
白痴嚇
脅嚇手段
鬼嚇