第一日 夜なかに不図目がさめた。雨の音がする。ぱらぱら寝台車の屋根を打つ音が耳に入った。私は、家に臥て静に夜の雨音を聴くようなすがすがしいいい心持がした。 午前六時何分かに、鳥栖で乗換る頃には霧雨であった。南風崎、大村、諫早、海岸に沿うて遽 …
著者 | 宮本百合子 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行 |
初出 | 「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約14分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約23分(300文字/分) |