翻倒ほんとう)” の例文
三面から翻倒ほんとうして来る水が、この谷に溢れ返る時の怖ろしさも、相当に峡東こうとうの地理の心得のある竜之助にとっては、理解ができないでもありません。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ようやく、船底が洲を離れたと思うと、今度は昨夜以上の烈風が吹き出してきて、諸船もろぶねはみな虚空に飛揺ひようし、波は船楼を砕き人を翻倒ほんとうし、何しろ物凄い夜となってきた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)