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ほんとう
ふりがな文庫
“
本統
(
ほんとう
)” の例文
しかし
疫病
(
えやみ
)
は日一日と益〻猛威を
逞
(
たくま
)
しゅうし、
斃
(
たお
)
れる人間の数を知らず、それこそ
本統
(
ほんとう
)
の
死人
(
しびと
)
の丘が町の真ん中に出来そうであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして果せる哉、
本統
(
ほんとう
)
に伊勢鰕のように真赤な顔になった。
乃公
(
おれ
)
は困ったと思うと、富田さんが
突然
(
いきなり
)
乃公の手を捉えたのには
喫驚
(
びっくり
)
した。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そんなことを訊いてどうするんだ。お前は
本統
(
ほんとう
)
にわかるのかね。冗当を言っているんじゃないかな。きょうは大層いい天気だよ」
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
何でも私に
目認
(
みと
)
められまいと思う様に
本統
(
ほんとう
)
に憎いじゃ有ませんか廊下の
燈明
(
あかり
)
が充分で無いのを幸いちょい/\と早足に
通過
(
とおりすぎ
)
ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
A イヤ、あれは
本統
(
ほんとう
)
だよ
君
(
きみ
)
。ちやんと
新聞
(
しんぶん
)
に
書
(
か
)
いてあつた。それを
精密
(
せいみつ
)
に
記憶
(
きおく
)
してるのが
即
(
すなは
)
ち
俺
(
おれ
)
の
頭腦
(
づなう
)
の
明晰
(
めいせき
)
なる
所以
(
ゆゑん
)
さ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
▼ もっと見る
もっともこれはお歴々の先生方には初めから失礼であったかもしれませんが——今伺ってみますと、なるほど
本統
(
ほんとう
)
のことを
狙
(
ねら
)
ってあるものでげす、な
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
鉄梃まで
使
(
つか
)
って
本統
(
ほんとう
)
にごつごつ岩を
掘
(
ほ
)
って、
浮岩
(
うきいわ
)
の層のたまり水を
干
(
ほ
)
そうとしたりしているのだと思うと、私どもは
実
(
じつ
)
は少しおかしくなったのでした。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あなたさまは
本統
(
ほんとう
)
にお健やかでおわすのでしょうか、それならそれ以上の
倖
(
しあわ
)
せはないとしても、ひょっとしたらお健やかでないのではないでしょうか
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
無論偉くない人だから
本統
(
ほんとう
)
に啓発するほど教えなかったが、教場に立って先生と呼ばれ、生徒と呼んだことは確かにある。なお自白すれば、熊本に来たてであります。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
君は
本統
(
ほんとう
)
に仕合せものだぜ。黙っている奴が
曲者
(
くせもの
)
とは君のことだ。今まで女嫌いを看板にしていた君が、東京や大阪の社交界にだって、滅多に見当らぬ様な、日本一の美人を
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それは
本統
(
ほんとう
)
はクララが始めから考えていた事なのだ。十六の
歳
(
とし
)
から神の子
基督
(
キリスト
)
の
婢女
(
しもべ
)
として生き通そうと誓った、その神聖な
誓言
(
せいごん
)
を忘れた報いに地獄に落ちるのに何の不思議がある。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
失ひ花見と
言
(
いへ
)
ば上野か
隅田
(
すみだ
)
又は日暮里飛鳥山人の
出盛
(
でさか
)
る
面白
(
おもしろ
)
き所へ行が
本統
(
ほんとう
)
なるに如何常より
偏屈
(
へんくつ
)
成
(
なる
)
若旦那とは言ながら
遠
(
とほ
)
き王子へ態々行夫も
賑
(
にぎは
)
ふ日暮里をば
嫌
(
きら
)
ひて
見榮
(
みばえ
)
なき
土地
(
とち
)
の音羽を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私が
本統
(
ほんとう
)
に彼を知っていたのなら、彼もまた私を見覚えていて、たとえ街上でなりと二度目に出会ったのだから、目付でなり立ち止まるなりして、その心持を表示しなければならぬわけだが
誰?
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「いや、
本統
(
ほんとう
)
だよ、奉公どころか、嫁に欲しいと望む人も出て来るよ」
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
分ッたにも、
最
(
も
)
う明白に分ッたよ、罪人は此老人が死切れた物と思い安心して逃て仕舞ッたが実は
是
(
こ
)
れが
本統
(
ほんとう
)
に
天帝
(
てんてい
)
の見張て居ると云う者だろうよ
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「きょうは変なことばかりあったのよ。お湯屋の時計が停っていたし、うちのも三時で止っていたし、それに
本統
(
ほんとう
)
に妙よ。あたしののも止っていたの。」
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
人がともだちをほしいのは自分の考えたどんなことでもかくさず話しまたかくさずに
聴
(
き
)
きたいからだ。だまっているということは
本統
(
ほんとう
)
につらいことなのだ。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
つまり人格から出た品位を保っている
本統
(
ほんとう
)
の紳士もありましょうが、人格というものを
度外
(
どがい
)
に置いて、ただマナーだけを以て紳士だとして立派に通用している人の方が多いでしょう。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
始めて
本統
(
ほんとう
)
の事情を知った妻から
嫉妬
(
しっと
)
がましい
執拗
(
しつこ
)
い言葉でも聞いたら少しの
道楽気
(
どうらくげ
)
もなく、どれほどな残虐な事でもやり兼ねないのを知ると、彼れは少し自分の心を恐れねばならなかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
さア
今度
(
こんど
)
は
本統
(
ほんとう
)
だ。いよ/\
掘當
(
ほりあ
)
てた。けれども
矢張
(
やつぱり
)
横穴
(
よこあな
)
であらう。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
吾々
(
われ/\
)
は曲者の計略に載られて居たのだ、藻西太郎に罪は無い、爾とすれば
本統
(
ほんとう
)
の罪人は誰だろう警「爾さ誰だろう目「夫を見出すは判「目科君、君の役目だ」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
どういうものか、私は私の姉の話をきいていると、話してくれることがすっかり目の前にはっきり浮んできて、まるで
本統
(
ほんとう
)
の実景を見ているような気がするのです。
不思議な国の話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
須利耶
(
すりや
)
さまは
何気
(
なにげ
)
ないふうで、そんな
成人
(
おとな
)
のようなことを
云
(
い
)
うもんじゃないとは
仰
(
お
)
っしゃいましたが、
本統
(
ほんとう
)
は少しその天の子供が
恐
(
おそ
)
ろしくもお思いでしたと、まあそう
申
(
もう
)
し
伝
(
つた
)
えます。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
とにかく二通りの人間があるということを言うが、これはこの両面を持っているというのが、これが
本統
(
ほんとう
)
の事でしょう。いくらオリヂナルの人でもイミテーションの分子を何処かに持っている。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
有
(
あ
)
つたかも
知
(
し
)
れぬが、
今
(
いま
)
は
無
(
な
)
いのが
本統
(
ほんとう
)
らしい。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかしこれは
本統
(
ほんとう
)
かも知れないとも思われた。ただ、ふいに
此処
(
ここ
)
にいるという事はうそではなかった。そのさきを覚えていないことも、ありそうな事に考えられた。
童話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
大鞆は心の底にて「ナニ生意気な、人を試すなどと其手に乗る者か」と嘲り
畢
(
おわ
)
ッて「
夫
(
そん
)
なら
本統
(
ほんとう
)
の所ろアレは何の傷だ(谷)夫は未だ僕にも少し見込が附かぬが
先
(
まあ
)
静かに聞く可し、 ...
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
どうだかさっぱりわからないのが
本統
(
ほんとう
)
だ。とにかく窓を開いて
挨拶
(
あいさつ
)
しよう。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
本統
(
ほんとう
)
に何も起ってはいなかろう……が
併
(
しか
)
し、あれは又毎時の壁を見詰めて、こうして
此処
(
ここ
)
に坐ってこの女と話していることをすっかり考えあてたとすると、
若
(
も
)
しくば考えあてようと
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして私は
本統
(
ほんとう
)
にもうその三人の天の子供らを見ませんでした。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
たましいに生きのあるものなら、うつつに、ゆめに、そらごとのおもいに、早く早く、ひと刻も早くおしらせくださいませ、ああ、あなたは
本統
(
ほんとう
)
に生きていられるのでございますか
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「それは
本統
(
ほんとう
)
ですか。」
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「
本統
(
ほんとう
)
でしょうか。」
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
本
常用漢字
小1
部首:⽊
5画
統
常用漢字
小5
部首:⽷
12画
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