不思議な国の話ふしぎなくにのはなし
そのころ私は不思議なこころもちで、毎朝ぼんやりその山を眺めていたのです。それは私の市街から五里ばかり隔った医王山という山です。春は、いつの間にか紫ぐんだ優しい色でつつまれ、斑ら牛のように、残雪をところどころに染め、そしていつまでも静かに聳え …