本当ほんとう)” の例文
旧字:本當
あれは本当ほんとうといえば本当ほんとう、ゴマカシといえばゴマカシでござる。われわれは肉体にくたいぐるみ人間にんげん遠方えんぽうれてくことはめったにござらぬ。
しかし、いくら考えてみても、さっきまでのことがゆめであるかまたは本当ほんとうであるか、どうもはっきりしませんでした。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そんなとおくにいたんじゃ、本当ほんとうかおりはわからねえから、もっと薬罐やかんそばって、はなあなをおッぴろげていでねえ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「ああ、」とおとうさんがった。「それは本当ほんとうこまったね。全体ぜんたい、おれにだまってくなんてことはありやしない。」
「お祖父じいさんのいうことが本当ほんとうなんだろう。あの人はたいへん学者がくしゃだ。音楽のことはなんでも知っている。ところがおれは、音楽のことはあまり知らないんだ。」
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
だからこのページ一つが一さつ地歴ちれきの本にあたるんだ。いいかい、そしてこの中に書いてあることは紀元前きげんぜん二千二百年ころにはたいてい本当ほんとうだ。さがすと証拠しょうこもぞくぞく出ている。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたし本当ほんとうまない事をしたと思つて、後悔してゐるのよ。けれども拝借するときは、決して貴方あなただましてうそつもりぢやなかつたんだから、堪忍かんにんして頂戴」と三千代は甚だくるしさうに言訳いひわけをした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
○「馬鹿にしてるよ、本当ほんとうに」
なにかくしましょう、わたくしはそのとき、このひとには、こいするひとの、本当ほんとう気持きもちわからないと、こころうちたいへんにあなたを軽視みおろしたのでございます。
その万人まんにん万人まんにんきできでたまらねえおんなの、これが本当ほんとうにおいだろうじゃねえか。ほどはだにおいもある。かみにおいもある。ちちにおいもあるにァちげえねえ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
本当ほんとうだとするには、あまり不思議ふしぎきわまることでしたし、ゆめだとするには、あまりはっきりしすぎていました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
本当ほんとうだ、どんなものを歌う必要ひつようがあるか?……彼はやさしさとかなしみでむねが一ぱいになるのをかんじた。牧場まきばを、河を、空を、なつかしいほしを、むねきしめたかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
まえうのが本当ほんとうなら、ここにあるラプンツェルを、おまえのほしいだけ、たしてあげるよ。だが、それには、おまえのおかみさんがおとした小児こどもを、わたしにくれる約束やくそくをしなくちゃいけない。
本当ほんとう本当ほんまのつて僕あ、嫁が貰ひ度って仕方がないんだ」
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おんなあぶらつぼ断崖がけうえりまして、しきりに小石こいしひろってたもとなかれてるのは、矢張やは本当ほんとう入水にゅうすいするつもりらしいのでございます。
なにをおいいだえ。そんなよわいことでどうするものか。ひとくちは、どうにでもいえるもの。急病きゅうびょうといったところが、どこまで本当ほんとうのことかわかったものではあるまいし。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
本当ほんとうに高い所へつれていってくれるのか、ぼくのぞむだけ高いところへ?」
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)