真当ほんとう)” の例文
旧字:眞當
「それは変った話を聞くものだな、本所の狸囃子というのは話の種にはなっているが、真当ほんとうにそんなものがあるとは思わなかったよ」
僕あ男だもの……それに長く巴里パリに棲もうってのにこんなことぐらい平気にならなくっちゃ真当ほんとうに巴里の味が分りっこないからなあ……。
オペラの帰途 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「すりゃ真当ほんとうに私を、お捨てなさるのでござりまするか……」
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
無名の青年 ——それが嘘であろうが、真当ほんとうであろうが、あなたの行く処へは僕も必ず行って見せます。教えて下さい。その世界へ行く道を。
ある日の蓮月尼 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「だがな、八、手前が身投げを助けて、五両で命を買った女が、真当ほんとうにあの娘なら、話はなかなか洒落しゃれているぜ。俺の代りに行ってみる気はないか」
「主人の弱い尻をつかんでいるのだろうとか、主人の命の恩人だとか言いますが、真当ほんとうのことは解りませんよ」
ええ、有難う…………でもあなたの真当ほんとうの処が判って見れば…………それにもう何もかも最後のお別れだわ。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
絶対に真当ほんとうの話で、嘘も偽りも、話術的な技巧も加えては居りませんが、そんな馬鹿なことが——とおっしゃる方があるかも知れませんので、本題に入る前に、これによく似た例で
「あんた真当ほんとうにそんな真似をする気⁉」
唇草 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
鳥羽とばの海女が幾度か東京へ来て、浅草公園や上野の博覧会で海中の作業を見せましたが、これは風俗上の問題から中形の浴衣ゆかたか何かを着せて、真当ほんとうの裸体は客に見せませんでしたが
浅五郎はお町に逢ったのは真当ほんとうでございますが、それからズーッと、寺島新田の叔母の家に居りました。長命寺境内と申したのは遠方へ行くのはお許しがむずかしいと思ったからでございましょう。
「えっ、それは真当ほんとうか」