真正しんせい)” の例文
旧字:眞正
そのとき貴方あなたひとに、解悟かいごむかいなさいとか、真正しんせい幸福こうふくむかいなさいとかうことの効力こうりょくはたして、何程なにほどうことがわかりましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
億万斤の「パン」といえども決して為し得べきものにあらず、神の口よりづるすべてのことばこそ真正しんせいの「パン」なりママ、爾の天職は世のいわゆる慈善事業にあらざるなり」と。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
真正しんせいの油は彼らの知るところではない。彼らは生れてより以来この油について何らの工夫くふうも費やしておらん。何らの工夫を費やさぬものが、この大道徳を解せぬのは許す。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
官営芸術の虚妄なるに対抗し、真正しんせい自由なる芸術の勝利を立証したるものならずや。宮武外骨みやたけがいこつ氏の『筆禍史ひっかし』はつぶさにその事跡を考証叙述して余すなし。余またここに多くいふの要あるを見ず。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いや、やさしいおこころがけです。それでこそ、ほんとうの人間にんげんです。わたしは、こうして真正しんせいのくまのいをさがしていますのも、ひといのちたすけたいためからで、ただかねもうけのためばかりではありません。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くうくう」だとか、内部ないぶだとか、外部がいぶだとか、苦痛くつうや、たいする軽蔑けいべつだとか、真正しんせいなる幸福こうふくだとか、とこんな言草いいぐさは、みなロシヤの怠惰者なまけもの適当てきとうしている哲学てつがくです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
な然らざるなり、余は今は真正しんせいの事業家となりしなり、事業とは形体的のものなりとの迷信全く排除せられてより余は動くべからざる土台の上に余の事業を建設し始めたり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
解悟かいごむかいなさい、真正しんせい幸福こうふくむかいなさい。とこううです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)