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半圓
愛ちやんは
軟かい
梢を
押し
分けて、
其首を
突ッ
込み、
半圓を
描きながら
巧みに
青葉の
中に
濳らうとしました、
愛ちやんは
此時まで、
木の
葉は
只樹の
頂上にのみあるものだと
思つてゐました
太陽が、
朝日が、
彼自らが、
山と
空とを
劃つた
雪の
線に、その
輝く
面を
表はしかけてゐた。
光は
直線をなしてその
半圓の
周圍に
散つた。
彼を
見ようと
思へば
私は
眼をつぶらなければならなかつた。