せん)” の例文
五百が強いて帰ろうとすると、宗右衛門は安の生んだおけいせんの二人のむすめに、おばさんを留めいという。二人の女は泣いて留める。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
せん」という両方に握りのついた刃物で竹の皮を削りながら、それが固い節にぶっつかるたびに、枯枝のような腕がしばらくトコロテンのようにふるえていた。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
宗右衛門はまだ七歳のせんに読書を授け、この子が大きくなったならさむらい女房にょうぼうにするといっていた。銓は記性きせいがあって、書を善く読んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
跡にのこったのは未亡人安四十四歳、長女けい二十一歳、次女せん十九歳の三人である。五百は台所町のやしき空地くうちに小さい家を建ててこれを迎え入れた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)