せん)” の例文
みん王審知おうしんちはかつてせん州の刺史しし(州の長官)でありましたが、州の北にある桃林とうりんという村に、唐末の光啓こうけい年中、一種の不思議が起りました。
思うに、ここの味方内から離反者が簇出ぞくしゅつしたばかりでなく、せつせんいったいにわたる日和見ひよりみ的な武族もまた
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの『葬式とむらい機関車』の『オサせん』が、いつも花環を買う店は何処だと訊いて見たら、直ぐ機関庫の裏手附近の、H市の裏町にある十方舎じっぽうしゃと呼ぶ葬具屋である事が判ったんだ。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
貴方あなたのとこのせんちゃんには、よくいますよ」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
せん州の人が或る夜、ともしびの前で自分の影をみかえると、壁に映っているのは自分の形でなかった。
この間、かれの馬蹄ばていのめぐり歩いた地は、せつせんの四州にわたっている。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
めぐって、兄弟相背あいそむくようなことはしてくれるなよ。汝ら、家の名をはずかしめ、義にそむくようなことがあると、孫策のたましいは、九せんもとにいても、誓ってゆるさぬぞ。……ああ!
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)