せん)” の例文
数百せんの矢かぜが、一せいに、苫へむかって、放たれた。堪るものではない。苫の下には、何とも、名状しがたい人間の悲鳴が起った。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言いつつ、射て放ったはまことに早矢の達人らしく一せん! 二箭! 飛んだかと見るまにヒュウヒュウと藩士の身辺におそいかかりました。
みなみそらからはしきりに、金色きんいろせんんできました。けれど、ここまでたっせずに、みんな野原のはらうえちてしまいました。
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太陽の第一せんが雲間を破って空を走った。このとき、次郎の愛撫あいぶに身をまかせていたフハンが、両耳をキッと立てて鼻を鳴らすと、河岸かし上手かみてへ走った。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
せんがんずといえども、一雁を失わず、一計双功を収めずと雖も、一功を得る有り。永楽帝のあにあえて建文をもとむるを名として使つかいを発するをさんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
四度目の太刀を振りかざしたとき、ぴゅんと、一せんは唸って、木鹿ののどに立った。同時に、下から突き上げた関索の槍もその頤を突きぬいていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まさに一せん、はっしと射放たれたかと見えたせつな、むっつりの名人また、身のさばきみごとです。つうつうと身を走らせて、依田の重三郎が射構えた右前深くへさっとはいりました。
「京へ、鎌倉の兵を入れるな。尾張美濃の境、墨股河すのまたがわせ下って、義経に、鎌倉討伐の第一せんを放たすがよい」
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱戦半日の果て、小李広しょうりこう花栄かえいと醜郡馬とは、互いにおもてをあわせての接戦となったが、弓の花栄といわれた彼の射た一せんが、カン! と醜郡馬の背なかの護心鏡あてがねにあたったので
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そこの門扉もんぴへ、一せんを射て引っ返した、などという一場いちじょうの勇壮なる話もある。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さらば、見給え」と張苞は気負って、まず三百歩の彼方に、旗を植えならべ、その旗の上に、紅の小さいまとをつけて、弓を放つに、一せん一箭、紅的こうてきを砕いて、一つとしてあやまらなかった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城壁の上には無数のいしゆみを据えている。それは一に十せんを射ることができ、やじりには毒が塗ってあるので、これにあたると、負傷ということはない。みな皮肉ただれ五臓を露出して死ぬのである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(余と共に起つのを好まないなら、手をこまぬいて見物していよ。また、望みならば、頼朝の敵に立って、一せん交わしてみるもよい。妻は妻。しゅうとは舅。武門の道に立っては、私情の斟酌しんしゃくには及ばぬことぞ)
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ともあれこの一日に、関羽は一せんの傷をうけたわけであるから
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操の左のひじにも、一せん突き通った。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地速星 中せん 丁得孫ていとくそん
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)