“銀箭”の読み方と例文
読み方割合
ぎんせん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
廊下には裏の林のが雨にれて散り込んで来てゐる。銀箭ぎんせんのやうな雨脚が烈しく庭に落ちて来てゐるのが、それと蝋燭らふそくの光に見える。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
茫々ぼうぼうたる薄墨色うすずみいろの世界を、幾条いくじょう銀箭ぎんせんななめに走るなかを、ひたぶるに濡れて行くわれを、われならぬ人の姿と思えば、詩にもなる、句にもまれる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次の瞬間には山という山が四方から放つ鋭い銀箭ぎんせんの光に射竦いすくめられてしまった。其時私は一年の間心の隈々に暗い影を投げていた大なる欠陥が今既に半ば満たされたような気がした。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)