せん)” の例文
旧字:
平岡の言葉は言訳いひわけと云はんより寧ろ挑せんの調子を帯びてゐる様にこえた。襯衣シヤツ股引もゝひきけずにすぐ胡坐あぐらをかいた。えりたゞしくあはせないので、胸毛むなげが少しゝゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
川島郷の七人衆の原士、あの方々も寛永かんえいの昔、島原しまばらの一せんがみじめな敗れとなった時、天草灘あまくさなだから海づたいに、阿波へ漂泊ひょうはくしてきた落武者の子孫なのでございました。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陛下の愛信して股肱ここうとする海陸軍警視の勢威を左右にひっさげ、りん然として下に臨み、民心をしてせんりつするところあらしむべしと上書している中で、同時に窮困不平の士族を政府に馴致し
暗夜あんやの空を一文字もんじにかけり、いまや三かくせんのまっ最中さいちゅうである人穴城ひとあなじょうの真上まで飛んできた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)