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爛
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たゞ
ふりがな文庫
“
爛
(
たゞ
)” の例文
と
思
(
おも
)
ふと、
立
(
た
)
つ
泡
(
あは
)
が、
雪
(
ゆき
)
を
震
(
ふる
)
はす
白
(
しろ
)
い
膚
(
はだ
)
の
爛
(
たゞ
)
れるやうで。……
園
(
その
)
は、ぎよつとして、
突伏
(
つきふ
)
すばかりに
火尖
(
ひさき
)
を
嘗
(
な
)
めるが
如
(
ごと
)
く
吹消
(
ふきけ
)
した。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
振り返ると、油で煑締めたやうな四十五六の古女房が、取亂し切つた姿で、赤黒く燒け
爛
(
たゞ
)
れた、小僧の死體を抱き上げて居るのでした。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は兄の指す儘にその赤く
爛
(
たゞ
)
れた空の下を見た。黒い屋根と樹木との幾輪廓かを隔てたその向うに、伸びたり縮んだりする一団の火があつた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
そして
爛
(
たゞ
)
れたやうな舌のさきで、口のなかの蠅を一匹一匹押し出してはそれを指さきで
撮
(
つま
)
み出して、机の上に並べたものだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
卓子
(
テエブル
)
に就けば、いつも、がつ/\と喰ひ、それで
膽汁質
(
たんじふしつ
)
なので、ぼんやりした眼が
爛
(
たゞ
)
れ、頬に締りと云ふものがなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
はいま、
血
(
ち
)
みどろな
沼
(
ぬま
)
のやうに、まつ
紅
(
か
)
な
夕
(
ゆふ
)
やけに
爛
(
たゞ
)
れてゐた。K
夫人
(
ふじん
)
は
立
(
た
)
つて
西窓
(
にしまど
)
のカーテンを
引
(
ひ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
眼の下へポツリと
訝
(
おか
)
しな
腫物
(
できもの
)
が出来て、其の腫物が段々
腫上
(
はれあが
)
って来ると、紫色に少し赤味がかって、
爛
(
たゞ
)
れて
膿
(
うみ
)
がジク/″\出ます、眼は一方
腫塞
(
はれふさ
)
がって
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何か劇しい藥でも付けられて肉を
爛
(
たゞ
)
らし、骨を燒く苦みが、今にもやつて來るやうに思はれてならなかつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それは一帖の屏風の片隅へ、小さく十王を始め
眷属
(
けんぞく
)
たちの姿を描いて、あとは一面に
紅蓮
(
ぐれん
)
大紅蓮
(
だいぐれん
)
の猛火が剣山刀樹も
爛
(
たゞ
)
れるかと思ふ程渦を巻いて居りました。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は道ゆくにも眼を蚊の眼のやうに細めてバットの甘い匂ひに舌を
爛
(
たゞ
)
らして贅澤に嗅ぎ乍ら歩くのである。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
酒飮みらしく赤く
爛
(
たゞ
)
れて、そのどんよりと濁つた眼つきには踊りが餘り手に入り過ぎたせゐでもあらうが、
太々
(
ふて/″\
)
しく落ち着いた、人を馬鹿にしたやうなところがある。
二月堂の夕
(旧字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
見るから酒毒で
爛
(
たゞ
)
れたと云う赤ら顔や、はだけた胸のだらしなさは、痩せて仙骨を帯びたと云った風の兄の小林氏とはこれが兄弟かと疑われる程似もつかなかったが
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
勝手
(
かつて
)
な
氣焔
(
きえん
)
もやゝ
吐
(
は
)
き
疲
(
くた
)
ぶれた
頃
(
ころ
)
で、
蓋
(
けだ
)
し
話頭
(
わとう
)
を
轉
(
てん
)
じて
少
(
すこ
)
し
舌
(
した
)
の
爛
(
たゞ
)
れを
癒
(
いや
)
さうといふ
積
(
つも
)
りらしい。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
……
其
(
その
)
唇
(
くちびる
)
を、
時
(
とき
)
とすると、マブめ、
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
って
水腫
(
みづぶくれ
)
に
爛
(
たゞ
)
れさせをる、
息
(
いき
)
が
香菓子
(
にほひぐわし
)
で
臭
(
くさ
)
いからぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
カムパニアの廣き野は、この頃の暑さに焦げ
爛
(
たゞ
)
れて、
些
(
いさゝか
)
の生氣をだに留めざりき。黄なるテヱエルの流の、層々の波を
滾
(
まろが
)
し去るは、そをして海に沒せしめんが爲めなるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
其社会の為に涙を流して、
満腔
(
まんかう
)
の熱情を注いだ著述をしたり、演説をしたりして、筆は折れ舌は
爛
(
たゞ
)
れる迄も思ひ
焦
(
こが
)
れて居るなんて——
斯様
(
こん
)
な
大白痴
(
おほたはけ
)
が世の中に有らうか。はゝゝゝゝ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
三歳の時、
囲炉
(
ゐろり
)
に落ちしとかにて、右の半面焼け
爛
(
たゞ
)
れ、
偏
(
ひと
)
へに
土塊
(
つちくれ
)
の如く、眉千切れ絶え、
眥
(
まなじり
)
白く出で、唇、狼の如く釣り歪みて、鬼とや見えむ。獣とか見む。われと鏡を見て打ち
戦
(
をのゝ
)
くばかりなり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
はた、
爛
(
たゞ
)
れ泣くヸオロンの空には赤子飛びみだれ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
曲馬
(
きよくば
)
の馬の
爛
(
たゞ
)
れて
癒
(
い
)
ゆる
間
(
ま
)
なき
打傷
(
うちきず
)
と
何
(
いづ
)
れぞ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「ときか。」と湯村は
爛
(
たゞ
)
れた息を吐いた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
「可哀想なのは友吉だ。身も心も燒き
爛
(
たゞ
)
れるほど玩具にされて、戀文まで笑ひ草にされては、居ても立つてもゐられなかつたに違ひない」
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、
小鼻
(
こばな
)
の
両傍
(
りやうわき
)
から
頤
(
あご
)
へかけて、
口
(
くち
)
のまはりを、ぐしやりと
輪取
(
わど
)
つて、
瘡
(
かさ
)
だか、
火傷
(
やけど
)
だか、
赤爛
(
あかたゞ
)
れにべつたりと
爛
(
たゞ
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そしてその火の粉の散ずる所、かつかと
爛
(
たゞ
)
れた雲の褪せていく処には、永久の空がぢつと息をひそめて拡がつてゐた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
皮
(
かは
)
が
破
(
やぶ
)
れ、
肉
(
にく
)
が
爛
(
たゞ
)
れて、
膿汁
(
うみしる
)
のやうなものが、どろ/\してゐた。
内臟
(
ないざう
)
はまるで
松魚
(
かつを
)
の
酒盜
(
しほから
)
の
如
(
ごと
)
く、
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
されて、ぽかんと
開
(
あ
)
いた
脇腹
(
わきばら
)
の
創口
(
きずぐち
)
から
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
してゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
盲目
(
めくら
)
の生意氣者よ! その
爛
(
たゞ
)
れた
瞼
(
まぶた
)
を開けて、お前の淺ましい愚かさを見るがいゝ! 結婚する心のあり得ない年長者から
稱
(
ほ
)
められることは女にとつて決していゝことではない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
黄ばんだ秋の末の日が
最早
(
もはや
)
私の眼にある。何となくそこいらが黄ばんで見える。土まで黄色く見える。激しい霜の為に焼け
爛
(
たゞ
)
れたやうに成つた土は寒い日影の方に震へて居るやうに見える。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
されば車に火をかけたら、必定その女めは肉を焼き骨を焦して、四苦八苦の最期を遂げるであらう。その方が屏風を仕上げるには、又とないよい手本ぢや。雪のやうな肌が燃え
爛
(
たゞ
)
れるのを見のがすな。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
血の
甲板
(
かふはん
)
のうへにまた
爛
(
たゞ
)
れて叫ぶ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
爛
(
たゞ
)
れた傷を見るやうに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
寶は決して深くは埋めて居ないのですが、
四方
(
あたり
)
はもう薄暗くなり始めると、數千人の慾が、大地も
爛
(
たゞ
)
れさうに燃え立ちます。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まあ……
堪
(
たま
)
らない。
貴方
(
あなた
)
、
此方
(
こちら
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ます……お
日樣
(
ひさま
)
に
向
(
む
)
いた
所爲
(
せゐ
)
か、
爛
(
たゞ
)
れて
剥
(
む
)
けたやうに
眞赤
(
まつか
)
に
成
(
な
)
つて……」
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なべて世は日さへ
爛
(
たゞ
)
れき。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それから、河豚の毒なら身體が
痺
(
しび
)
れる筈だが、そんな事がなくて、腹の中が燒け
爛
(
たゞ
)
れるやうで、血を吐いたのは
南蠻渡
(
なんばんわた
)
りの毒藥に違ひない。玄道さんもさう言つて居る
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
當時
(
たうじ
)
寫眞
(
しやしん
)
を
見
(
み
)
た——
湯
(
ゆ
)
の
都
(
みやこ
)
は、たゞ
泥
(
どろ
)
と
瓦
(
かはら
)
の
丘
(
をか
)
となつて、なきがらの
如
(
ごと
)
き
山
(
やま
)
あるのみ。
谿川
(
たにがは
)
の
流
(
ながれ
)
は、
大
(
おほ
)
むかでの
爛
(
たゞ
)
れたやうに……
其
(
そ
)
の
寫眞
(
しやしん
)
も
赤
(
あか
)
く
濁
(
にご
)
る……
砂煙
(
すなけむり
)
の
曠野
(
くわうや
)
を
這
(
は
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爛
(
たゞ
)
れ
弾
(
ひ
)
く
猩紅熱
(
しやうこうねつ
)
の火の
調
(
しらべ
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
五月二十八日の川開きから、八月二十八日までの三月の間、江戸の歡樂と
贅
(
ぜい
)
を此處に集めて、兩國の橋を中心に、この一帶の水陸は、
爛
(
たゞ
)
れるやうな興奮が續くのでした。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
背中
(
せなか
)
に、むつとして、いきれたやうな
可厭
(
いや
)
な
声
(
こゑ
)
。
此
(
これ
)
は、と
視
(
み
)
ると、すれ
違
(
ちが
)
つて、
通
(
とほ
)
り
状
(
ざま
)
に
振向
(
ふりむ
)
いたのは、
真夜中
(
まよなか
)
の
雨
(
あめ
)
に
饂飩
(
うどん
)
を
食
(
く
)
つた、
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の一
筋
(
すぢ
)
ならびの、
唇
(
くちびる
)
の
爛
(
たゞ
)
れたあの
順礼
(
じゆんれい
)
である。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それから半刻あまり、猫が鼠を玩具にするやうに、酒に
爛
(
たゞ
)
れた半老人の脂ぎつたのが、お春の初々しさ、美しさを滿喫して、飽くことも知らずに眺め盡したことでせう。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
爛
漢検1級
部首:⽕
21画
“爛”を含む語句
燦爛
爛熟
腐爛
金色燦爛
爛々
絢爛
爛酔
燎爛
糜爛
天真爛漫
爛壊
赤爛
煮爛
焦爛
爛漫
霉爛
爛熳
不爛
爛然
爛醉
...